No.96(2009年5月号から)

旧郵政簡保も不払い問題!?

加入者の信用失う保険金不払い


   旧日本郵政公社時代の簡易生命保険不払い問題で、総務省は4月10日、約240万件の契約を再確認すると発表した。この約240万件は、点検作業で疑問があった契約で、実際の不払いは最大で80万件と見ているらしい。

 この不払い問題は、先に民間の生損保業界で不払い問題が発覚したことから07年夏に点検を開始したものである。公社時代の契約は政府保証が付いており、独立行政法人「郵便貯金・簡易生命保険管理機構」が引き継ぎ、かんほ生命に業務を委託した形になっている。

 今年3月末までに簡保で本来支払われるべき保険金額と実際に支払った金額に不一致があると思われる契約が約240万件もあったというのであるから驚きである。

 その原因が、入院や疾病、傷害、手術などの際に支払われる特約条項の条件チェックが不十分だったことだという。また契約者側から請求がないため養老保険の還付金などが不払いになっている契約が最大で60万件に達すると見られている。

 07年に発覚した、民間の火災保険や自動車保険などで保険料を取り過ぎていたのが約364億円、保険金の不払いが約400億円で、この問題以後民間保険会社は信用を失い保険加入が急減している。ところが簡保の養老保険でも巨額の保険金不払いが出てきたことは、加入者の信用を失い、新規加入が激減する可能性がある。

 保険金請求の時効は5年だが、総務省が保険金の時効を適用しないとしているのは信用の毀損(きそん)を避けるためである。

 生損保業界の保険金不払い問題の責任もあいまいに終わってしまった。保険金の不払い問題は詐欺行為に近いことであり、それが簡保においても存在したことを軽く見るべきではない。年金資金を管理する社保庁の無責任といい、保険業界といい、国民の金を預かる組織のズサン管理は深刻で、国民の信用を失うことになりかねないのである。

 保険金の不払い問題がなぜおきるのか?「加入者から支払い請求がなかった」ですむ問題ではない。ましてや支払い請求はあったが特約条項のチェックが不十分だったことが主な原因と言うが、不払いが巨額の利益につながるので、わざと不払いにしてきたのではないか?との疑いが残るのである。もし意識的に特約条項の保険金支払いを回避してきたのなら詐欺罪が成立するのではないか?調査すれば罪を逃れられるというのだろうか?保険業界の強欲が保険金未払い問題の原因ではないのか!  日本では長年自民党の一党支配が続き、政権交代が起きていないため、ありとあらゆる組織、政財官の既得利益集団が長年の権益の上にあぐらをかき、腐敗して、自浄能力を失っている。

 保険業界に共通する、保険金未払い問題は、組織の硬直化と腐敗の反映であり、社保庁のズサンな年金管理と共通する問題があると見なければならない。

 現代では、日本のあらゆる組織の上層が“腐臭”を放っていることを指摘しなければならない。それは60年以上も続く自民党支配の産物と言えるものである。

 何百億円という保険金の不払い問題で誰も責任を問われない事が問題なのである。

 元々保険に加入していても、加入者が死亡すれば、家族が知らない場合、支払い請求が無いことになる。こうした制度上の不備を放置していては保険業界自身が信用を失う事になるであろう。

 政府と生損保業界自身が保険金不払いの制度的解決と責任の所在をはっきりさせるべきである。そうしなければ保険業界は国民的信用を失う事になるであろう。これは自業自得と言うべき事である。