No.95(2009年4月号から)

麻生内閣15兆円のバラマキ

衆院選対策のムダ金となる補正予算!?


   4月10日政府が追加経済対策を正式決定した。財政支出15兆4000億円、国債40兆円超の事業費56兆8000億円と史上空前の規模である。

 その内訳は贈与税減税(対象は住宅取得で上限500万円)子供家族応援手当、失業者に住宅手当最大6ヶ月間支給、小中学校への太陽光パネル導入や耐震化、エコカー、省エネ家電への買い替え補助、公共事業の地方負担分の補助のための交付金(2.4兆円)などで、明らかに選挙対策のバラマキである。

 アメリカ政府がG20で各国に財政出動を呼びかけたのに政府が応える形をとっているが、その多くが新たな経済成長や新産業の育成につながらないバラマキとなっており、その多くがムダ金となる可能性もある。

 麻生首相は、日本経済を「全治3年」と表現したが、この過去最大の景気対策は「両刃の剣」と見られている。来年度予算で国債の新規発行が税収を上回るほどの規模の約40兆円台半ばに達するのであるから、国家財政破綻を心配しなければならず、少なくとも国債の大量発行が長期金利の上昇を招き、景気の足を引っ張ることもあり得るのである。また日本の銀行は国債を大量に保有している。金利が上昇し、国債の時価が下落すれば数千億円規模の含み損を抱えることになる。

 政府の補正予算によるバラマキは、近い将来の消費税の大増税を前提としているのである。つまり選挙のためのバラマキのツケは、いずれ国民に回されるという事である。

 そもそも今回の世界同時不況は政府が金融自由化を行い、その結果日本の資金が投機資金となって世界に流出し、それがアメリカの信用恐慌につながったものであり、また政府が外需依存型の経済構造にした結果、不況の影響を大きく受けることになったのである。その責任も明確にせずして財政出動に走ることは無責任と言うべきである。

 自民・公明の悪政が日本社会にもたらした結果を見れば、それは明らかである。国民経済の疲弊、後継のいない農業、消えた年金、急病人のたらい回し、何百万人の解雇、不安定雇用(非正規)の増大、生活保護受給者の急増、11年連続の年間自殺者3万人台、失業しながら失業手当を受給できない労働者の割合が先進国の中で日本が最悪の77%(210万人)にもなっている。

 一方で金持ちのために株価の下支えを図るとして政府は株買い取りに50兆円の政府保証枠を用意するという。また上限500万円の贈与税減税も金持ちのためのものである。政府の大企業・金持ちのための政治が日本経済を輸出中心にし、経済危機を招き、それが社会的危機にまで深刻化しているのである。社会保障制度の破綻、展望を持てない若者、深刻な雇用情勢、社会的閉塞感、格差社会は政治の硬直性に原因がある。

 政・財・官の既得利益集団の利益のみを優先する自公の政治は結局のところ道路重視の土木資本主義である。この自民長期政権の下で巨額の政府資金がムダに投入され、その財政赤字のツケは消費税増税となって人民の上に転嫁されることになる。ただ選挙に勝つための税金のバラマキなのである。

 愚かとしか言いようがないし、利益誘導型の政治である。

 経済という言葉は「経世済民」(世の中を治め、人民の苦しみを救うこと)から日本人が作り出したものである。ところが、その経済をコントロールする政治が一部の既得利益集団のものであれば、その愚劣な政治は、経済危機を招き、格差社会を作り、社会的危機を招くことになる。

 それが今、日本の社会で起こっている事の意味である。日本は一日も早く、新産業を育成する方向へ、国内に設備投資を促す政治が求められている。

 政治誘導によって、バイオエネルギーや、風力発電や地熱発電や太陽光発電や、航空機産業の育成や福祉産業等の内需中心の経済の実現が必要なのである。ところが自民党の政財官のゆ着構造が、日本の政治を硬直化させ、政権交代が起こりにくくなっている。

 今日本の政治に求められているのは「よりましな政府」を作ることであり、政権交代によって既得利益集団から予算編成権を奪い取らないかぎり、日本社会の閉塞感を一掃できないのである。

 野党第一党である民主党への国民の期待を挫くための「小沢おろし」の陰謀に反対し、政権交代を実現しなければならない。