No.92(2009年1月号から)

中国の地域覇権主義を警戒せよ!

大国主義と“悪夢の経済危機”の先の不安


   中国の08年の貿易黒字額が2955億ドル(約26兆5千億円)でドイツを抜いて世界一になった。中国がミャンマーから昆明に、石油・天然ガスを運ぶパイプライン計画の経営権を取得した。中国海軍がミサイル駆逐艦2隻と補給艦1隻をソマリア沖へ海賊対策のため派遣した。このところ大国中国の勢いを示すニュースばかり見るようになった。

 しかしその影で、中国が世界不況の波に巻き込まれつつあるニュースも少なくないのである。例えば中国の昨年11月・12月の輸出額が前年同月比マイナスとなっていること、中国の株価が暴落し、資産を失った投資家が多く出ていること、中国の不動産市場から海外の資金が次々と引き揚げていること、中国の工場が受注減で多く閉鎖に追い込まれていること、昨年春から秋にかけて広東省で中小企業約7万社が倒産したこと、輸出主導の中国沿海部は特に金融危機の影響が深刻化していること、中国の民衆暴動が地方から都市部にも広がりつつあること、これらは中国が世界不況の波に巻き込まれつつあることを示している。

 中国共産党が「世論宣伝の管理を強化する」との内容の文章を出して「社会の安定」を維持しようとしていることも、情勢の不安定化を受けての事である。

 オリンピックや党の世論宣伝でいくら国威を発揚しても、輸出依存の中国経済の打撃は、まだまだこれから大きくなるのである。中国政府が民族教育を強化し、世論統制を徹底しても、今後出る何千万人もの失業者に、生活保障することはできないのである。

 中国政府は輸出の減少にそなえて内需拡大方針を出したが、元々中国の市場は小さいのである。人口は多くても購買力がない。中国政府の4兆元の内需拡大策が、輸出の減少をカバーできるとも思えない。つまり中国は経済危機の波及がこれから広がるにつれ、動乱が激化する可能性が高いのである。

 中国政府が日本政府と共同開発で合意した東シナ海の天然ガス田を、合意に違反して掘削し、すでに生産段階に入ったという報道が示しているのは、今も中国は、大陸棚は中国領との立場に立ち、尖閣諸島の領有を主張し、一部には沖縄まで中国の領土と主張し始めていることと関連している。つまり紛争の火種を残しているのである。

 中国政府の内需拡大策も、汚職腐敗がひどい状況では、逆に人々の怒りを招く可能性が強い。今後不況が深刻化し、社会動乱が激化すれば、中国政府が人々の目を外に逸らすために、日本との領土問題や反日運動を利用することになるであろう。

 毒入りギョーザ事件も中国政府が解決しようとしていない事も、反日運動の火種を残しているのである。中国の地方党幹部の汚職・腐敗はケタはずれであり、内需拡大計画は、これら幹部達の利権あさりで終わる可能性がある。

 中国政府の地方と軍の掌握力は小さいこと、逆にオリンピックで大国主義・中華民族主義が肥大化し暴走する危険を指摘しなければならない。

 中国軍による尖閣諸島占領や、軍事挑発や反日運動の動きを今後警戒しなければならない。とくにアメリカがオバマの内政重視になることから、また胡政権の軍部への影響力の弱さから大いにあり得るシナリオなのである。