No.91(2008年12月号から)

自民の供託金引き下げ案の姑息な狙い!

野党票の分断で政権の維持計る


   自民党は11月21日の選挙制度調査会で、国政選挙の立候補者が納める供託金を引き下げ、供託金没収の基準を引き下げる公職選挙法「改正」案をまとめた。この「改正」の狙いは、共産党が候補を擁立しやすくして野党票を分断し、次期衆院選で自公が過半数を維持する狙いがある。

 読売新聞によれば、共産党は2005年衆院選で223選挙区に候補者を立て、総額6億6900万円の供託金が没収された。このため次期衆院選では共産党が候補者を決めた選挙区は148にとどまり、その結果共産党候補者が出ない選挙区では野党票が分散しないため民主党が有利になると見られている。

 つまり自民党の一党支配は、政権内で公明が支え、外から共産党が野党票を分断する結果、自民党の長期政権が成り立っているのである。

 アメリカやドイツでは供託金制度は設けておらず、イギリスやカナダでは供託金は約7万円〜8万円にすぎない。これに対し日本の供託金は衆参の選挙区で1人300万円、比例区では600万円となっており、事実上金持ちしか立候補できない仕組みになっている。

 しかも衆院の小選挙区で「有効投票総数の10分の1」参院選挙区の「有効投票総数を定数で割った数の8分の1」に得票が届かないとこの供託金は没収されるのである。

 自民党の「改正」案は、この供託金を衆参の選挙区で300万円を200万円に、比例選は600万円を400万円に下げるというものである。また供託金没収基準を有効投票総数の「10分の1」から「20分の1」に引き下げるという。つまり自民党は共産党が候補者を出しやすくすることで利益を受ける関係にある。

 国民は年金のズサン管理や、“現代版姥捨山”と言われている高齢者医療保険制度、さらには各種の福祉の切り捨て、農村・地方の疲弊に怒っており、多くの人々が本心から政権交代を望むようになっている。いまや全野党共闘は人々の切実な願いとなっているのである。

 自公の悪政から決別するには全野党共闘による「よりましな政府」によって自公の政財官の既得利益集団から予算配分権を奪い取ることが重要な国民的課題となっている。ところが共産党が当選する可能性もないのに候補者を出すため野党票が分散し、結果自民党を助けてきた。このため共産党は自民党から「安全装置」と評価されてきた経緯がある。

 共産党は今こそ「よりましな政府」の統一戦線的戦略を取り、当選の見込みのない選挙区では民主党への投票を呼びかけるべきだ。

 民主党を中心として政権を打ち立てることで保守大連合の陰謀は破綻し、自民と民主の矛盾は激化する。しかも民主党政権が国民の期待にこたえられなければ「次は共産党」という期待が国民の中に生まれることになる。

 共産党の票が伸びないのは、彼らがセクト的で、国民の政権交代の願いを無視しており、共産党に投票しても当選する可能性がなく“死に票”になるのが決まっているからにほかならない。

 自公の悪政に終止符を打つのが現局面の国民的課題であることを共産党幹部に分かってほしいと願うばかりである。