No.85(2008年6月号から)

日朝新合意の福田ヘボ外交

拉致再調査の虚構で制裁緩和へ


   政府は6月13日に、日朝の外務省実務者公式協議の合意事項を発表した。それによると北朝鮮側が「拉致問題は解決済み」との従来の立場を変更し、再調査を約束し、よど号ハイジャック事件関係者6人の帰国に向けて調整する。日本側は制裁を一部緩和し、人的往来の規制を解除、チャーター便の往来を認め、人道支援物資の積み込み目的に限り、北朝鮮籍船の入港を認める内容となっている。

 韓国政府によれば北朝鮮は非核化に向けた措置の見返りの支援として無煙炭のガス化施設の建設を求めており、その費用のうち約42億円を日本に負担するよう求めている。

 拉致問題の再調査の約束はこれまで何回もあり、振り出しに戻るようなもので、これで制裁の一部解除と言うのだから、被害者の生還を目指している家族の人たちの反発も理解できる。

 もともと6カ国協議とは、北朝鮮の周辺国とアメリカが金正日政権を存続させる目的で、核の無力化を口実に食料とエネルギーを支援することを狙いとしている。ところが拉致問題は、金正日政権が続く限り解決は難しく、日本は北朝鮮に「見返り援助」を一方的に取られてきた経緯がある。

 アメリカはイラクとアフガニスタンへの侵略が泥沼になったため、北朝鮮をテロ支援国家からはずし、北朝鮮は話し合い解決とすることを決定している。そのためのテロ指定解除なのである。

 日本を敵視する金正日政権の延命はアメリカにとって米軍を日本に居座らせる上で必要な存在であり、世界第2位の経済力を持つ日本を従属下におき、日本の軍事的脅威を抑制する“ビンのふた”としての在日米軍の再編(再配置)の費用(約3兆円)を日本に出させる上で、金正日政権にミサイルを発射させるなど、米朝はニューヨークで非公式接触して、気脈を通じてきたのである。

 アメリカと北朝鮮は6カ国協議で原子炉無力化と引き換えに重油支援と食糧支援を韓国と日本にやらせることで金正日政権の存続を図ることで利害が一致しているのである。

 「核放棄」も“抜け穴”がある。それは北朝鮮が建設中の2基の黒鉛減速炉が協議の対象外になっていること。またウラン濃縮型核開発の扱いが明確でないことに示されている。北朝鮮は「災害」や「見返り援助」で“ゆすり”“たかり”の外交をやっており、信用できない。

 政府・自民党が反日の金正日政権が続く限り、安保政策は「日米同盟」に頼らざるを得ないと考える限り、アメリカは金正日政権を支え続けるであろう。

 3年半前に北朝鮮が横田めぐみさんのものとして渡した「遺骨」が実は偽物であったと鑑定されたこと。これが当時の安倍政権の制裁につながったのであり、福田首相が一部とはいえ北朝鮮への制裁解除に踏み込んだことは、見返り援助への参加意志を表明したことになる。

 北朝鮮は古くなった原子炉を破壊することはあっても、核計画を放棄することは絶対にない。日本が拉致問題を解決しないまま、再調査でエネルギー支援に加わることは金正日の思うつぼである。

 日本の周辺国のいずれもが、日本がアメリカの従属国として存続することを願っている。そのため反日の金正日政権の延命もまた必要なのである。この二つの点から6カ国協議が位置付けられているのである。

 北朝鮮は半島国家としての特徴として外交におけるしたたかさを持っている。金正日は「日本反動」を批判し、日本を敵視して「ミサイル実験」をすることが、アメリカにとって10兆円以上もするミサイル防衛を日本が導入するうえで必要であり、したがって「見返り援助」が得られることを知っており、アメリカと北朝鮮は敵対関係を装いながら、互いに協力してきたのである。つまり「見返り援助」は北朝鮮にとって報酬なのである。

 日本は対米自立で平和主義を貫く立場に立たない限り、アメリカと中国などの“日本を自立させない”戦略の下でアメリカと北朝鮮に金をむしりとられる関係が継続することになるであろう。

 金正日政権に譲歩ばかりの“ヘボ外交”はいい加減にやめるべきなのである。