No.85(2008年6月号から)

中国・党と軍に反対勢力の存在

四川大地震で露呈した胡政権の弱点!


 5月12日に発生した四川大地震で、中国外交部は13日には日本の緊急救助隊の受入れに積極的であったが、これが一度は「受入れ拒否」となったことで日本の救助隊は解散した。

 15日町村官房長官が「受入れ拒否」を記者会見で発表した直後に、中国外交部は受入れを発表した。明らかに中国内部で日本の緊急救助隊の受入れをめぐって対立があったことがうかがわれる。

 現地に派遣された日本の救助隊は、生存の可能性のない遠方の山岳地域に行かされ、都市型災害救助を任務とする救助隊の能力は活かせないようにされ、一人の救出もできなかった。しかも日本の援助隊には中国軍の兵士から「帰れ!」と罵声が浴びせられたという。

 少なくとも中国軍の側に経験豊富な日本の救助隊に学ぼうとか、一人でも自国の民を救うという姿勢が見られなかったことは事実である。その後派遣された日本の医療援助隊も現場に投入されずに病院の手伝いに終わったのである。

 被災地に救援物資を輸送する中国軍や各地の政府当局者が物資を途中でかすめ取るため現地に物資が着いたときには3分の1に目減りするひどい状況らしい。らしいというには、このようなことは日本の新聞やテレビでは記事を配信できないからである。

 北京オリンピックを前にして中国政府の神経を逆なでする記事を載せようものなら、自社の特派員が国内退去になりかねず、したがって事実は一切報じられないことになっているからである。(こと中国の報道では週刊誌のほうがテレビや新聞より正しいといえる)

 被災地で非難住民用のテントが不足しているため、中国外交部が自衛隊機で運ぶことを一度は提案しながら、中国軍の反発で急遽中止を申し入れた事も、胡政権の“日中友好によって日本の技術と資本を取り入れ、労働集約型から知識集約型への転換をめざす”路線が中国軍の支持を得ていないことを示していると言える。

 四川大地震は中国社会の抱える問題を表面化させている。学校の手抜き工事(=おから工事)は党の指導者たちが校舎建設費の予算をピンハネした結果であることを示している。子供を殺された親たちの怒りは当然党指導部に向かうことになる。しかしこうした親たちの闘争は新聞やテレビでは放映されなくなり、変わって「中国頑張れ」の愛国運動が報道されることになる。今の中国からの報道はすべて中国政府の“官製報道”と見るべきである。

 中国製毒入りギョーザ事件も、刑事事件であるのに、相手が日本であるために中国人の犯人を逮捕すれば「外交で日本に屈服した」ということになるので真相究明はできない状況になっている。同様にチベット問題における武力行使(発砲)という強硬路線は、オリンピックを目前にした胡政権の政治判断とも思えない。反対派の胡政権への妨害狙いの可能性すらある。

 胡政権は発足後6年もたつのに軍部の中に政治的権威を打ち立てることができず、その外交路線に公然と反旗をひるがえす勢力がいるのが現実なのである。

 一方で日本の経済援助で今日の中国の経済成長があるにもかかわらず、他方で反日教育を展開して日本軍国主義への警戒心を煽り、中国軍の軍備増強に利用しようとする勢力がいる。今の中国の党・軍内に江沢民派などの勢力が今だ力を残しており、胡政権は決定したことがことごとく妨害される状況にある。

 一党支配の中国の政権は、4世代目の胡政権になってその弱点が党と軍に対する統率力・権威がないことが四川大地震への対応の中で表面化したのである。力を持った党長老がいなくなって、中国指導部の弱体化が地域覇権主義として軍の暴走となる危険を見ておかなければならない。中国軍が今も日本を仮想敵国と位置付けていることは事実であり、中国にこうした勢力を生み出したのは小泉らの靖国参拝であることを指摘したい。

 日本の対米従属派が靖国参拝で中国を刺激してアメリカ軍への従属による防衛依存を正当化してきた結果でなのである。彼ら従属派がかつての旧日本軍の侵略の歴史を見直し、正当化して中国軍部を刺激して反日を煽ったのである。

 胡政権が党と軍を完全に掌握していない内に世界同時不況に突入しつつある事は警戒すべき点である。再び“反日”が台頭する可能性が存在しているのである。