No.85(2008年6月号から)

後期高齢者医療保険の負担軽減のウソ!

厚労省の愚劣


   舛添要一厚労大臣は、後期高齢者医療保険の年金からの天引きが始まった時「保険料は7〜8割の人は下がる」と発言した。しかしなぜか?この発言はすぐに撤回された。人々が不思議に感じたのは多くの人が「保険料負担が重くなっている」と言っていることと、厚労省の説明の「7割の人が軽減されている」という発言のギャップであった。

 厚労省は6月4日、後期高齢者医療保険制度について、国保から移った高齢者世帯の69%で保険料が下がったとの「推計結果」を正式発表した。それによるとモデル世帯となったのは@単身世帯Aともに75才以上の夫婦世帯B夫のみが75才以上の夫婦世帯C子供夫婦との同居世帯の4形態で、それぞれ年金収入が年79.5万円の低所得者、201万円の厚生年金受給者、400万円の高所得者で比べたという。

 ところが、その後テレビニュースで民主党の議員達が厚労省の官僚を問いただしたが、官僚が69%で保険料が下がる計算式の内容を追求されて説明できずうつむくシーンが放映された。厚労省の官僚は、ごまかしの計算結果を出すためモデル世帯の構成から負担増となる世帯構成を除外するとともに、デタラメな計算式を作り上げていたのである。こうして実際には多くの人の負担が増加しているのに、厚労省の発表では69%の人の保険料が下がると強弁するのである。

 厚労省は当初「低所得者は負担が軽減され、高所得者ほど負担が増える」と説明してきたが、6月4日の発表は逆の結果だった、しかもこの日の数字もごまかしの計算式で出したものである。厚労省のやり方はまさに詐欺師の手法である。

 自民党と政府は衆院解散がありうる中での支持率の低下にあわてふためき、低所得者の保険料の軽減策を発表して支持率の回復を策している。

 国民が怒っているのは高齢者を別の保険に囲い込み、医療を制限し、しかも年金から保険料を天引きすること、しかも保険料が年々高額になる仕組みになっていることである。少しばかりの手直しで内閣の支持率が回復すると思っているのであろうか?

 厚労省の詐欺的やり方は「障害者自立支援法」で収入の無い障害者にサービス利用料の1割負担を決め、自立できなくする手法にも示されている。

 古くは薬害エイズから薬害肝炎の無責任、年金資金をグリーンピアなどに使いまくり、施設を安値で売却したこと、年金記録のズサン管理、派遣法の改悪で非正規雇用を大量に生み出し、社会保険に加入できない半失業者を大量に生み出したこと、さらに言えば医療費の膨張を恐れ、医者と看護師の養成をひかえ、病院のベッド数を削減し、医療切り捨てを策したこと、これらすべて所管が厚労省なのだから、この役所の愚劣さは話にならないのである。もちろん厚労省だけが悪いのではない、政府の福祉切り捨ての悪政の担当省庁がたまたま厚労省であっただけなのかも知れない。

 だからこそ国民の多くが自公政権に見切りを付け、政権交代がおこってほしいと願っているのである。多くの人々が心の底から政府・自民党や厚労省の愚劣に怒りを抱いている時、政府が高齢者の中の低所得者への負担の軽減で人々をだまそうとしているが、成功するとも思えない。

 サラリーマンの多くが保険料負担が重くなっているのであり、自民党の小手先のごまかしで福田政権の支持率が上昇することはないであろう。

 厚労省はかつて薬害エイズの証拠を隠蔽していたことがある。今回の厚労省の対応の愚劣を見ると過去の欺瞞的対応と変わらないと言わざるを得ない。この愚劣極まりない対応が政府の指示でやっていることなら、政府が愚劣だという事である。

 後期高齢者医療保険制度は、あまりにも欺瞞的で、政治の思いやりが一切感じられないことが特徴と言える。