No.83(2008年4月号から)

“思いやり予算”の3年間延長反対!

米軍の思い上がり生んだ“上納金”


 今年は日本政府がアメリカに媚びるために始めた「思いやり予算」計上が30年になる。当初在日米軍基地で働く従業員の労務費の一部負担として79年度から62億円を計上したにすぎなかったが、それが基地内の施設や米軍家族住宅などの光熱水料金、硫黄島での夜間離着陸訓練(NLP)費、基地と米軍住宅の施設建設費と、次々膨れ上がり、今年08年度予算では2083億円にまでなった。

 この30年間に日本政府が在日アメリカ軍にかけた「思いやり」は総額5兆1000億円にも達しているのである。この金は事実上日本の軍事的支配者である在日アメリカ軍に対する上納金なのである。なぜ上納金なのかと言うと、この金は米軍地位協定にも支払い義務のない、属国ゆえの売国的予算支出であるからだ。

 アメリカは覇権主義ゆえに世界の27ヵ国に米軍を駐留させ、受け入れの各国に経費負担をさせているが、その総額の半分以上を日本の支払いが占めている。

 思いやり予算のうち労務費とはカウンターアテンダント(715人)コック(661人)バーテンダー(76人)や宴会係、マネージャーや観光ガイドなどの賃金の事で、本年度だけで総額1463億円に達する。

 政府はこの「思いやり予算」を定めた日米特別協定の期限を三年間延長する新協定の国会承認を計画していたが、これが“ねじれ国会”の空転で4月以降にずれ込み、米軍への「思いやり予算」の法的根拠に空白期間が生じる事となったのである。この新協定は毎年約1400億円を3年間にわったって日本が負担する内容となっている。

 この国会承認がずれ込んでも金をアメリカ政府が一旦支払い、後に日本政府が返済する事になっているため実質的な影響力はないのだが、野党は「思いやり予算」の不明朗な支出について国会審議で追求する構えを示している。

 基地内の米軍住宅は電気代が不要であるため、米兵家族は夏には外出中もクーラーをかけっぱなしにする為1ヶ月60万円も電気代を消費している例もある。このような無駄な支出は温暖化防止上からも許される事ではない。電気代は全額米兵家庭の負担とすべきである。

 来年度だけで「思いやり予算」を含めた在日米軍駐留関係経費の総額は約6200億円にも達している。これだけの金を現在の防衛費にプラスすれば米軍に帰国してもらって日本独自で日本の防衛をするに足りる金額なのである。とりわけ「思いやり予算」は米軍地位協定という法律上から見ても本来米軍の負担とすべきものである。

 日本政府は、「思いやり予算」という度を越した“思いやり”がアメリカの“思い上がり”を招いている点をしっかりと認識すべきである。それはアメリカの領土であるグアムへの海兵隊基地建設費用等として日本が約6070億円も負担を要求され、内740億円はグアム住民用の発電所や道路の整備やレクリエーション施設建設に充てる事になっている。これなどは在日米軍のためではなく、アメリカの基地再配備の費用なのである。

 日本政府はこうした米軍の再編のために総額3兆円を負担する事を約束している。在日米軍に”思いやり“をかけすぎた為に、日本の負担はハドメがきかなくなっているのである。

 一方で財政危機を口実に日本国民の福祉予算を削減し、国民に高負担を強いる中、他方で米軍に至れり尽くせりの「思いやり」は何のためなのかを考えないといけない。すでに自衛隊という名の軍隊はアジアで1番の戦力を保持している。在日アメリカ軍は、日本を出撃基地としており、日本の防衛のために駐留しているのではない。

 アメリカという国は産軍複合体の国家であり、常に侵略戦争を続けなければ経済が機能しない国家ゆえに、日本が米軍を支えることは、やがては海外派兵の「恒久法」を制定して、アメリカと共に侵略戦争を闘う道なのである。

 こうした侵略への道を正すためにも、この際思い切って「思いやり予算」を全額カットすべき事を提起したい。日本政府がたとえ米軍の駐留費用を全額支出したとしても、在日アメリカ軍を傭兵化することはできない事を知るべきである。

 政府は「思いやり予算」の法的根拠に空白期間ができたことで「米国の日本政府に対する信頼が損なわれる」(高村外相)「誰が特別協定の承認を遅らせているのか、米国に直接見てもらう必要がある」(外務委員会与党理事)などと売国ぶりを発揮している。

 彼らの言う「信頼」とは従属国が宗主国に与える“屈辱的忠誠”のことである。自民党政権下では、日本民族の対米自立など実現しようもないのである。