No.83(2008年4月号から)

暫定税率めぐる姑息な自民党政治手法

漂流する日本の政治


   3月31日夜福田首相は「地方財政や国民生活の混乱を防げなかったのは残念。政治のツケを国民に回す結果になったことについて、心よりお詫び申し上げます」と国民に謝罪した。

 翌日からテレビはガソリンスタンドの「混乱」なるものを報道したが、国民の声はガソリン値下げを歓迎するばかりで、混乱はどこにもなかったのである。過去にガソリンの値上げは何回もやられたが、これまで混乱はなかったし、ガソリンスタンドの中には、地下のタンクに高い価格のガソリンが残っているからと言って値下げを遅らせるスタンドもあった。

 しかしこれまでの値上げ時には即日値上げをしていたし、タンクの中に安いガソリンが残っているからといって値上げを遅らせることもなかった。

 政府自民党は4月29日以降に衆院の再可決を目指しており、1ヵ月後にすぐガソリンは値上げになるプラス・マイナスゼロで「混乱は」あり得ない。あたかも「混乱」を騒ぎ立て、その責任は民主党にあるかのように偽装する福田首相の政治手法は姑息としか言いようがない。

 福田首相が3月27日の緊急記者会見で@09年度から道路特定財源を一般財源化するA道路中期計画を10年から5年に短縮し、新たに策定する。などの新提案を発表した。だがこの提案は誰が見ても実現性がない。自民党内の道路族の支持基盤の上に立つ首相が、この「決断」をしたのは、民主党が暫定税率の廃止を譲らないことがはっきりしているから「提案してみた」だけなのである。

 福田が本当に道路族に反して一般財源化と道路整備中期計画を見直す気なら、小泉が郵政族を除名したように、道路族を自民党から除名してからいうべきだ。できもしないことを言うのは「混乱」を民主党のせいにしようと姑息に考えたからである。

 福田首相は「後期高齢者医療制度」の評判が悪いので厚生労働大臣に名称の変更を指示した。それが通称「長寿医療制度」への変更である。名称を変えても、その中身は年金から収奪と医療差別の非情極まりないものに変わりはない。もとより名称を変えてごまかせる問題ではない。かつての「恒久減税」はたった8年で廃止された。暫定税率は30年以上も続いている。

 政治の世界では名称はどうでもよい事である。強力な道路族議員の財源は暫定であれ巨大な利権であるので、政権交代が起こらない限りいつまでも続くのである。

 日本経済の発展を考えれば、経済波及効果の少ない赤字で必要のない高速道路を建設するより、風力発電や、太陽光発電に予算を投入するほうが、産業の発展や、環境と言う点からもいいに決まっている。

 福田首相は、自民党道路族の各派閥のボスたちに支えられており、見たところなんの権限ももっておらず、やるべき政治的課題を持っていない。福田はただ現状の利権維持のために衆院の3分の2の多数で再可決するだけで「困った」「分からない」と愚痴をこぼすだけの首相では、国民には何がやりたいのか分からない。

 良い悪いは別として小泉は「改革」、安部は「改憲」というふうに政治家としての目指すべきテーマを持って首相の任を勤めた。福田首相には自分の政治生命をかけて何かを実現しようという政治家としての気迫もみられない。記者会見をしても国民に訴えるものも無い。

 日銀総裁人事も福田は、財務省のいいなりで結局日銀総裁ポストの不在を招いた。無能首相が官僚のいいなりで、ねじれ国会の中で政治的妥協もできず、強行採決にたよる結果、政治が事実上空白となって、“漂流”しているのが今の日本なのである。

 福田首相ができもしない道路特定財源の一般財源化を“軽々しく”主張したとき、大新聞の社説がこぞって「小沢代表が応える番だ」と主張したように、日本のマスコミの軽薄さも話にならない。首相が「何をしてよいか分からない」と公然と記者に語るのであるから、マスコミは首相に「今必要なのはお詫びではなく、衆院を解散して国民に信を問う事だ」とはっきり言うべきである。

 福田首相はサミット頼みで、支持率が回復してから衆院を解散しようとしているが、これも姑息である。その間長々と日本の政治が“ねじれ国会”の中で、“漂流”することになるのだから、福田首相のサミット頼みは国民に対して無責任極まりないと言うべきだ。