No.82(2008年3月号から)

チベット人民への武力弾圧糾弾!

資本主義化で矛盾拡大する中国辺境地域


 中国チベット自治区のラサで、3月14日に発生したデモ鎮圧にともなう大規模な暴動で、国営新華社通信は「10人の死亡が確認された」と報じた。今回のチベット族のデモは四川省や甘粛省でも発生しており、極めて組織的である。

 また非公式報道では死者数は100人近くに達している。

 中国政府は暴動に対応するのに戦車や装甲車と武装警官を投入して武力鎮圧した。中国における天安門事件以来のこの武力鎮圧は中国走資派指導部の凶暴性を示している。

 中国沿海部を中心とした市場経済化(資本主義化)は、中国における都市と農村の矛盾、漢民族と少数民族の矛盾を激化させている。

 また、中国政府が辺境地域の資源や観光開発を漢族中心に進めているため、少数民族は発展から取り残されており、また外国の安い穀物の流入にとって農民の生活は窮迫している。辺境の少数民族は中国の沿海部の工業地帯へ出稼ぎに出ることもできず、しかも民族自治も一向に進まない中で不満が蓄積しているのである。中国農村では土地が流動化し、失地農民が出ており、貧富の格差が拡大していると言われている。

 つまり今回の中国チベット自治区の騒乱は、国内的には改革・開放路線(市場経済化)にともなう矛盾の暴発なのである。しかしこの騒乱は、外因から見るとアメリカとEUがセルビアのコソボ自治州の独立に、軍事的保障を与えた帰結でもある。

 国際法を無視した「コソボ独立」は、中国やロシアなどの多民族国家における民族矛盾を激化させる狙いを秘めていたのである。したがって北京オリンピックを前にした、今回のチベット騒乱はアメリカが背後から画策した可能性が強いのである。アメリカは大国として経済発展しつつあるロシアと中国を解体しつつ、その国力を削ぐことを狙っているのである。

 世界は、イラク占領の泥沼化でアメリカが一極支配を維持することが難しくなる中で多極化が避けられなくなっている。したがって多極世界の中でNATO(米とEU)勢力が主導権を確立するための戦略として人口200万のミニ国家コソボの独立で、中国とロシアを揺さぶっているのである。

 アメリカやEUが中国に民主化を要求しているのは、中国の解体を展望しているのである。

 一党支配の官僚独裁の中国は、今党官僚の上層が国家財産を横領して「新富人」と呼ばれる新興ブルジョア化しつつあり、したがって彼らは人民大衆に民主主義を保障できないのである。

 人民大衆に民主を保障すれば、自分達の横領を批判され、一党支配は崩壊し、台湾やチベットやウイグルや内モンゴルなどの独立を阻止できなくなる。そこで走資派幹部はオリンピックによって多民族国家中国の統合を図ろうとしていた矢先の騒乱であった。

 走資派幹部にとってオリンピックは国威の発揚の場であっても、抑圧されている少数民族にとっては、独立に向けデモや騒乱で国際社会にアピールできる絶好の機会なのである。したがって今回のチベット騒乱は、終わりではなくむしろ中国における少数民族反乱の始まりと考えた方がよい。オリンピック会場がテロの標的となる可能性を考慮しておくべきである。

 新聞報道によれば、アメリカ太平洋軍のキーティング司令官(海軍大将)が昨年5月に中国を訪問した際、会談した中国海軍幹部から、ハワイを基点に米中が太平洋を東西に「分割管理」する構想を提案されたという。この中国海軍の「戦略構想」は、将来中国が航空母艦を保有した場合の構想であるが、この構想が示しているのは、中国が覇権主義であり、世界を一国で管理できなくなりつつあるアメリカの相対的衰退を見越していることである。

 変質した旧社会主義国は、旧ソ連がチェコやアフガンに侵攻したように、また中国がベトナムに侵攻したように、危険な国であることを世界は承知しておくべきである。

 人口13億のこの国のバブル経済が崩壊し、国内矛盾が激化した時、中国軍の暴走が始まる可能性がある。中国人民への抑圧と巨額の軍事費の投入が西太平洋地域の軍事的管理を展望しているなら、北京オリンピックの位置付けはヒトラーと変わらないと見るべきである。中国は中華思想の国であり、今も反日教育をやっている国なのである。

 アメリカによる他国の民族問題への内政干渉は間違いだが、チベット人民の民族自決の運動を支持しなければならない。