No.81(2008年2月号から)

グローバル化がもたらした世界の変化

アメリカの衰退とかげり


   冷戦が終わって世界の覇権を獲得したアメリカは、世界市場を一つにすべくグローバリズム(グローバリゼーション)の経済戦略を展開した。アメリカは各国に自由化・民営化・規制緩和(ワシントンコンセンサスと呼ばれる)政策を要求し、IMFと世界銀行を使ってドル支配を拡大した。

 グローバリズムは、一方で世界中にドルをたれ流し、他国の生産物をアメリカが消費し、他方で他国に米国債を買わせることでドルを還流させるという、たった一つの政府(アメリカ)が多くの国を搾取するシステムであった。

 結果アメリカは債務大国となり、逆にそれを“武器”に一層自国の国債を買わせるようになった。

 グローバリズムは、中国やインドなど発展途上国の資本主義化をうながし、全世界的に見るとアメリカの経済は相対的に弱体化した。日本やEUや中国の輸出先に占めるアメリカ市場は20%へと縮小した。しかもグローバル化は世界の同時不況を準備した。

 アメリカのサブプライム問題での株価下落は一日で地球を一周するようになった。世界大恐慌を準備したという点でグローバリズムの歴史的意義がある。

 すでにアメリカの一極支配は“驕り”となって外交に現れている。グローバル化に反対するイスラム教原理主義者がアメリカの敵となった。アメリカは自作自演の9.11テロを口実にアフガニスタンとイラクを侵略した。イスラム原理主義のアルカイダは、CIAが創出した組織である。

 アメリカ軍の侵略は人々の反抗を生み、原理主義勢力を巨大にしていく。アメリカとアルカイダは今や双方が互いを必要とする関係となっている。こうしてアメリカは中東と中央アジアに軍事拠点を築き、イラクの石油権益を支配した。

 この侵略は、一極支配の延命を戦略目的としている。アメリカはアフガニスタンやイラクで公然と軍事力による内政干渉を行なっている。

 今年2月10日からアメリカを訪問したメキシコのカルデロン大統領は、アメリカ国民に「開かれた移民政策」を訴えたが、アメリカの保守派から「内政干渉」との批判を受け、ブッシュ大統領とも会えず帰国した。アメリカの言う自由化・民営化・規制緩和とは“アメリカの利益になる限り”のことであった。

 中国が衛星をミサイルで破壊する実験を行った時、アメリカは真っ向から批判したが、最近アメリカは衛星をミサイルで迎撃する実験をおこなった。宇宙の軍事利用はアメリカのみに許されることである。

 アメリカの身勝手に現れているのは、明らかに大国の驕りである。奢る者には敵が小さく、弱く見えるものであり、同時に足元が見えなくなるものである。イラクの占領統治の失敗や、気候変動による災害、サブプライム問題は「驕りの結果」と言える。原油高騰・ドル安・金融危機・イラク泥沼化は、アメリカの覇権にかげりがさしていることを示している。

 奢る者の覇権は決して長くは続かぬことを歴史は教えている。

 中国に「奢る者は心常に貧し」という言葉がある。今やアメリカは世界中で“嫌われ者”となり、アメリカ人民はそんなアメリカに嫌気がさして大統領選に“変革”を求めている。

 時代が大きく動こうとしている。一極支配から多極化への動きは誰も押し止めることはできない。

 それは「グローバリゼーション」がもたらした世界の戦略的変化であり、その反作用が今アメリカ大統領選に反映しつつあるオバマ人気であり、暗殺されることなくアメリカ初の黒人大統領が誕生するかが注目される。アメリカ大統領の交代はすなわち戦略の変化なのである。