No.80(2008年1月号から)

対米追随一辺倒の給油新法成立を糾弾する!

自立戦略なき追随外交へのぬぐえぬ国民の疑念


   今国会の与野党の最大の対立点であった米軍への「補給支援特別措置法」(以下給油新法)が1月11日、参院本会議での否決後、衆院本会議で再議決され、3分の2以上の賛成で可決成立した。憲法59条に基づく再議決は57年ぶりである。

 今回の米軍等への補給の一時的中断を「国際社会の一員としての責任を放棄した」(読売新聞社説)として「海外から見れば日本は内向きの姿勢に終始し、何の国家戦略もなく漂流する国と映ったことだろう」(同)との主張があるが、これは完全に間違った主張である。

 今回の「テロとの戦い」とは、アメリカが中東の石油支配を狙って、ありもしない大量破壊兵器を口実に始めた侵略戦争であり、しかもアフガンもイラクも完全に行き詰まっている。

 外からの軍事介入による内政干渉は成功しないことが世界の常識になってきているのにアメリカが戦争を続けるのは、自国の軍事産業と石油産業の利益を代表しているからである。

 国際市場の内乱による荒廃は、発展途上国の地場経済、民族経済を破壊するグローバル化のアメリカの経済戦略に原因があるのであり、その原因を生み出している者が軍事力で市場をならそうとしてもうまくいくわけがない。

 今回の日本の給油の中断は、先の参院選の民意が反映したものであり、まったく正常なことである。むしろ直近の民意に反して3分の2で再可決した自民・公明の度を超した対米追随にこそ問題がある。

 衆院の再議決は、国民世論の多数が支持する法案に限るようにするべきことが、議会で多数を持つ党(自民党)の道義的責任と言うべきである。

 「給油新法」から、これまでの法律に書かれていた国会承認の規定を消したことは、文民統制の原則を否定することであり問題である。また日本が提供した燃料が事実上イラク戦争に転用されていることも法律の主旨に反することであり、これらの問題はなんら解決されていないのである。

 さらに重要なことは、この再可決をおこなった自公政権の手が防衛利権に汚れており、これらの不正を闇にほうむる意図が明らかになっている中での、自立戦略なき対米追随の「海外派兵」に国民の疑念が深まるのは当然と言うべきだ。

 アメリカの大統領選では、イラク戦争、「反テロ戦争」の誤りが論議されているのに、日本ではアメリカの侵略戦争への批判が未だにタブーとなっているのは、日本が対米従属下にある故であり、新給油法案もタブーに触れることを恐れて議論は低調だったのである。

 日本が「何の国家戦略もなく漂流する国」であるのは対米従属に根本的原因があるのであって、アメリカの求めに応じた給油活動を中断したからではないのである。

 多数の国がアメリカの「有志連合」から抜けて、イラクから撤兵している時に、日本政府の主体性のなさは属国意識の反映と言うべきである。日本が真にアメリカの同盟国であるなら、イラクとアフガンの泥沼の中で国力を消耗する危険を忠告すべきであった。それが真の友人というものである。

 ただブッシュ政権の怒りに触れることが怖いので「給油新法」を無理やり再可決したのなら、日本人としては恥ずかしい事である。

 読売新聞の“ボス”がまとめようとした「大連立」がアメリカの意図するインド洋での給油活動の継続のためであったのなら、それは日本民族のためではなく、自分の主人であるアメリカの利益を代表したものであることを指摘しなければならない。

 すでにアメリカ経済の深刻な不況局面が明らかとなっている中でドル安は避けられない。ドル崩壊もありうる。なぜなら国際通貨は今やドルだけでなく、ユーロが台頭しているのでドルの地位は揺らいでいるのである。

 アメリカの巨大な軍事力は、ドル支配によって支えられており、そのドルの価値は、日本と中国がアメリカ国債を買うことで支えている。アメリカの強さは今や“ハリコの虎”と言うべきで、日本の対米自立の好機がきているのである。

 いつまでもアメリカ言いなりの外交では日本はアメリカに食い潰されることになる。

 大政党も大新聞も、アメリカの顔色を見る卑屈な態度をこの際改めるべきである。

 自立戦略なき対米追随は、日本を亡国へと導くことになるであろう。