No.79(2007年12月号から)

在日米大使館の国有地賃料の問題

際立つ福田政権の弱腰外交


  北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議は、9月30日、非核化に向けた「次の段階の措置」について暫定的に合意した。

 在日アメリカ大使館が建つ東京・赤坂の一等地(一万三千平方メートル)は日本の国有地である。

 日本政府はこの土地の賃貸料を1997年まで年額250万円を受け取ってきたが、物価水準の上昇を考慮し、98年から段階的値上げ案を提示したところ、アメリカ側が支払いを拒否し、以後10年間にわたり未納となっている。

 イギリス大使館がある東京・一番地の3万5千平方メートルの国有地の賃貸料は年3500万円であり、イギリス政府はきちんと支払っているそうだ。日本が国有地を在日公館の敷地として貸し出している相手は、米英を含め4カ国である。

 アメリカ政府が在日大使館の土地賃貸料を10年もの長きにわたって支払わず、今年12月には時効が成立する事態となる。アメリカ側がここまで放置した背景には、日本に対する属国意識があり、宗主国の横暴というべきである。

 アメリカ政府が在日大使館用地賃貸料の値上げに不服であるなら、その根拠を明らかにすべきであった。おそらく正当な理由が無いので一方的不払いを決め込んだのであろう。

 日本政府は物価水準を考慮して段階的に10倍程度まで値上げすることでイギリスとのバランスを図ることを狙っていたが、逆にアメリカは賃上げを不服として10年間も賃料を支払わず、あろうことか賃料を踏み倒そうとしているのである。

 アメリカにしてみれば、日本に多数ある米軍基地の土地代も一切支払っていないのだから、大使館の土地代を支払う必要が無いと考えているのであろうが、こうした横暴ともいえる態度は日本国と日本国民をあまりにもバカにした話である。

 在日アメリカ大使館のある国有地の賃貸借契約は、1890年(明治23年)に日米両政府の間で結ばれており、その後物価水準の上昇を考慮して74年と83年の2回賃料の引上げがおこなわれたのである。

 普通土地の賃貸料の債権は、民法の規定では5年で消滅する。朝日新聞によれば日本政府が02年12月に納入を督促する署名を送付したため時効は中断し、結果今年12月に時効を迎えることとなったという。

 国会や官庁街に近い一等地一万3千平方メートル賃貸料が年額250万円というのはあまりにも格安で、値上げは日本の国民感情からも当然である。それにしても10年間も賃貸料を支払わずにすませるとはアメリカ政府の振舞いは大国のとるべき態度ではない。

 おそらく放置しておけば在日米軍基地賃貸料とおなじように“思いやり予算”で肩代わりしてくれると思っているのである。

 アメリカという国は、侵略戦争で他国の土地を奪い取ることを続けてきた侵略国家、“強盗国家”であるために大使館の正当なレベルの土地賃料を支払うことに慣れていないのか?それとも従属国の政府と日本国民をなめているのか?おそらく両方だと思うが、この問題を報道せずに隠している日本のマスコミにも問題がある。

 対米追随一辺倒の自民党・公明党は当たり前として野党がアメリカを非難しないのは、アメリカが怖いからなのか?だとすれば情けない話である。

 この文章を書いている中に12月8日、日米両政府は、10年間の賃貸料を1年当たり700万円を支払うことを合意し発表した。この金額自体イギリス大使館の賃貸料を比べても桁違いに低い額である。今回の合意では、08年〜27年は年1500万円に引き上げられることになっている。これも民間水準の地代と比べて割安となっており、日本政府の弱腰が現れている。

 日米間ではこのほか来年3月末に期限がくる在日米軍駐留経費の日本の負担いわゆる「思いやり予算」の改定交渉が大詰めを迎えているが、アメリカ側が強硬に減額に反対していることが報告されている。日本政府は厳しい財政事情から思いやり予算の約250億円の削減(光熱費と基地従業員の大幅削減)を要求したが12月12日に3年間で総額8億円の微減で合意した。

 また米国産牛肉の輸入条件の緩和問題でも日本政府は「30ヶ月未満」への緩和を受け入れる方向であることを認めている。

 福田政権のアメリカに対する弱腰外交は際立っている。北朝鮮外交に見るアメリカの身勝手な方針変更を見ても、まるで日本を属国としかみていないのである。

 日本国民はへなちょこな、この従属政府にはうんざりしているのである。今こそ日本の国民は、“対米自立”の旗を高く掲げなければならない。