No.79(2007年12月号から)

支持率低下で追い詰められる福田政権

政局は依然流動的


   福田首相は何が何でもアメリカの求める「新給油法」を可決成立させる気のようである。そのために国会を再々延長した。また衆院解散を計算に入れて予算のバラマキを計画している。財務省が12月15日発表した来年度一般会計は83兆円を上回る大型予算となる。

 福田内閣が「宙に浮いた年金記録」五千万件のうち約4割の年度内照合が困難なことを早々に発表したのは“早めに発表しておけば選挙への打撃が少ない”という計算が働いたものである。

 先の大阪市長選で自公の候補が民主党の候補に大差で敗北したことで早期解散は遠のいた。というのが大方の見方である。この選挙結果は自民党に衝撃を与えたそうである。先の参院選で自民支持層の4分の1が民主党に投票したが、今回の大阪市長選も同じ傾向だったことが衝撃の原因である。

 自民党は次の衆院選の公認を「勝てる候補を優先する」そうで、小泉チルドレンが公認されない局面もありうるそうだ。そうなると公認漏れの現職が勝手に立候補するので自民乱立の可能性も出てくる。

 次の衆院選は共産党が当選する可能性の少ない選挙区で立候補を取りやめるので、政権交代を求める大衆の声が一本化され民主党へ流れることになる。このことも自民党の不安材料だ。

 福田首相が五千万件の宙に浮いた年金の名寄せが困難なことを発表した時に「公約をしたかなあ」とごまかそうとしたのは失敗である。政府のいい加減さを二重の意味で露呈したのだから話にならない。支持率の低下は当然だ。

 薬害C型肝炎訴訟で大阪高裁の和解勧告で、原告団が政治決断を求めたのに、福田首相が直ちに決断できなかったことは、責任を明確にできず、後始末すらできないと言う意味で政権に打撃である。

 さらに問題なのが外交である。地球温暖化防止の問題を話し合う国連気候変動枠組み条約締約国会議で、アメリカが数値目標に反対したことに日本が最後まで追随したことは、主体性のない対米追随の福田外交を世界中に露呈した。

 省エネ先進国の日本が、世界最大のCO2排出国のアメリカに追随し、数値目標に反対し会議の骨を抜いたのであるから、まさに日本は世界中に恥をさらしたことになる。

 アメリカ政府の顔色ばかり見る外交は、いい加減に止めにしてほしいものである。“ごまかし”と“先送り”と“追随”の政治では話にならない。問われているのは自民党の政権担当能力なのである。

 国際貢献の問題で言うなら、荒れる世界の市場を整えるための外からの軍事介入は、それがアメリカの単独であろうと、国連の介入であろうと、内政干渉は必ず失敗することが経験から明白になっている。イラクもアフガニスタンも深刻な事態にしただけなのである。

 国会で討議されるべきは、海外派兵の恒久法ではなく、内政不干渉の原則と内乱の原因となっているグローバル化が途上国の民族経済・地場経済を破壊している問題への反省であるべきだ。

 日本はブッシュ米政権に言うべきことをきちんと主張するべきである。福田首相のアメリカへの貢献一辺倒の追随外交では、ブッシュの信頼は得られても、日本国民と世界の人々の信頼は得られるわけがない。

 福田首相は解散をサミット後の来年秋まで引き伸ばす考えのようである。しかしそれでは経済情勢が原油高・円高で悪化していくことを考慮すれば、解散の先延ばしは福田首相にとって“ジリ貧”となるので、追い詰められて開き直りの不意打ち解散も充分ありうる局面であり、政局は依然“流動的”と考えるべきである。

 各野党は政権交代を現実のものとするため選挙協力を強化すべきである。政権交代を求める国民の期待に応え、全野党共闘に踏み出すことが野党に求められている。

 国民は政治腐敗と利権の政治と対米追随外交にうんざりしているのである。