No.77(2007年10月号から)

小手先で国民欺く福田新内閣

ひたすら低姿勢で支持率の回復さぐる


  党役員と主要閣僚ポストにずらり並べた派閥会長。陣容は重厚だが福田が何をやりたいのかが見えてこない。小泉、安倍型の政治から脱却なのか、継続なのかわかりにくいのが特徴だ。

  福田は所信表明演説で「自立と共生」のキャッチフレーズを掲げ、民主党の小沢から「以前から僕が言っている言葉だ」とパクリを非難された。パクリであるために国会で共生を「共存」と言い間違う始末であった。

  福田は国会討論においても民主党に協力を呼びかけ、低姿勢を貫いている。まるで民主党にすり寄り、争点を隠すことに狙いがあるかのようで、民主党から“抱き付き戦略”とからかわれている。

  小沢民主党の方は、対決路線を早くから表明しており、福田の民主党との協力が実を結ぶわけがないのに、民主党へのすり寄りを続けているのは、98年の金融国会で参院の過半数割れの中で、当時民主党案を“丸飲み”して乗り切った経験を踏まえ、“2匹目のドジョウ”を狙ったものなのだろう。つまり小沢の対決路線に“肩透かし”を食らわせる作戦なのである。

  小泉「改革」の“負の遺産”で安倍前政権が選挙に負けたので小手先で安倍の逆をいくだけで、何をやる政権なのか、まったくわからない。最近になって自民党内から消費税大増税の声が出てきているが、総選挙前にそれを言うのは自殺行為に等しい。そんなわけで何をやる政権なのか隠しているのである。

  しかし福田の争点隠しの障害はテロ特措法の延長、あるいは新法問題だ。こればかりは小沢民主党が憲法違反として反対しているのだから、アメリカの手前民主党に擦り寄るわけに行かないのである。

  しかも衆院予算委員会で海上自衛隊の給油活動をめぐり、日本の補給艦から給油を受けた米空母やイージス艦がイラク戦争だけに従事していた事実が明らかになって、インド洋における給油活動がテロに名を借りたアメリカの侵略戦争支援にほかならないことがはっきりした。

  03年5月、当時官房長官だった福田は、米空母への給油が20万ガロンで、それは空母が1日に消費する量で、イラク戦争への転用はありえない、と説明した。しかしこのときの給油量が実際は80万ガロンで、事実上イラク戦争に従事した空母への給油だったのである。

  福田首相は、このときの給油量について「情報の取り方にミスがあった」と答弁してごまかしたのである。空母への給油量がウソであって、訂正するなら、転用疑惑を否定する福田の論拠は崩れ、自衛隊の給油活動は正当性もないことになる。

  つまり政府は「テロ特措法」に違反してイラク侵略戦争の米艦船に給油していたことになる。これは小沢氏が言うように憲法違反であり、日本国民を欺く(あざむく)行為である。追い込まれた政府はテロ特措法の延長をあきらめ、やむなく給油新法で、参院で否決されても、衆院で再決議する戦術に切り替えたのである。これも小手先のごまかしである。

  自民党も民主党も焦点は、衆院の解散総選挙までに、いかに有利な政治局面を切り開くかである。

  野党の民主党は追い詰めようとし、自民党は追い込まれないよう民主党との争点隠しを続けるという一見奇妙な局面も「テロ特措法」(新給油法)があるばかりに対米追随か国連重視かが争点となってきたのである。

  安倍前首相が民主党の「生活が第一」というキャッチフレーズに負けた後だけに、自民党にとっては「国際貢献」の争点化は歓迎すべき事と考えているのだろう。

  したがって政局は解散含みで推移することになる。

  国民にとって忘れてはならないことは、自民政治家と官僚と財界の既得利益集団の腐敗の構造と国民生活の破壊は、戦後60年以上にわたる自民党の一党支配から生まれたものだと言うことである。

  福田の欺瞞的な小手先のごまかしが成功するかどうか? 日本国民の政治的成熟度が試されることになる。