No.76(2007年9月号から)

誰がテロを生み出しているのか?

テロ特措法に欠けている視点


 ドル支配に基づくアメリカ1人勝ちの経済への誘導がグローバリゼーションの名で進められ、その反作用として各国のナショナリズムを高めている。ベネズエラは今年5月1日国際石油資本の4つのプロジェクトを国有化した。ロシアは石油、天然ガスなどへの外国企業の出資を制限することを決めた。カザフスタン政府は外資主導の油田開発の見直しに着手した。

 イランは中東の反米のチャンピオンであり、こうしたサウジをのぞく主要産油国の資源ナショナリズムの高まりと広がりが国際情勢の特徴となっている。

 グローバリゼーションとは、自由化の名で世界市場に途上国経済を取り込むことで、その国の民族経済を破壊し、ドルの支配を打ち立てるアメリカの戦略なのである。

 今ではグローバリゼーションが発展途上国とその国の貧困に及ぼす破壊的な作用は明らかとなり、中南米諸国家ではグローバリゼーション(新自由主義)に反対するナショナリズムが高揚している。

 アメリカの自由貿易の強要に抵抗する中南米諸国、中東イスラム圏における原理主義の高揚は、いずれもグローバリゼーションの反作用として存在しているのである。

 この反作用に軍事力で対決を望んだのがアメリカの反テロ戦争であり、イラク占領による石油権益の略奪であった。したがって中東情勢は現象的にはキリスト教文明とイスラム教文明の衝突だが、実際はアメリカの帝国主義的侵略であり、覇権維持のための石油戦略なのである。

 つまりアメリカはグローバリゼーション化戦略で巨大な敵を作り出しつつあると言える。アフリカのような部族社会・民族社会を自由競争に巻き込めば対立が激化し、結果として市場は乱れることになる。

 発展途上国に自由貿易を求めれば、生産力の低い民族経済は破壊されることになる。今アメリカはアフリカ・中南米・中東・ロシアで強い反米感情の高揚に直面している。

 旧ソ連の崩壊と中国の変質にもかかわらず、事実上の反米国際統一戦線が生まれているのは、アメリカの“グローバル化戦略”の産物なのである。今やグローバル化が世界を不幸にし、戦乱に巻き込みつつあることは広く知られるようになった。

 ところがアメリカの従属国である日本においては、アメリカ追随一辺倒の“コバンザメ路線”によって経済発展を遂げたこともあって、今や世界中から孤立しつつあるアメリカに、いまだに追随している。アメリカは「反テロ」の名で民族の自決権を侵害し、巨大な軍事力による内政干渉を、イラクとアフガニスタン等で展開している。

 その戦場は今や泥沼となって多くの戦死者を生産している。そしてその10倍以上の人民を無差別の空爆で殺している。

 今日本の政局の焦点となっている“テロ特措法”をめぐる問題は、対米自立か、それとも従属かという民族的視点から検討すべきであり、国際情勢の“反米の波”から考慮すべきであり、惰性的に超大国アメリカへの選択なき追随という卑屈な視点から決定すべきではないことを訴えたい。

 アメリカはイラクとアフガニスタンでは絶対に勝利できず、国力を消耗するだけであり、アメリカの戦費はすでにベトナム戦争を上回っているのである。

 “反テロ戦争”とはアメリカの侵略正当化のこじつけであり、実際にはアメリカの侵略がテロの原因なのである。

 自ら作った原因を、口実にすりかえる詭弁にだまされてはならないのである。

 日本はアメリカの侵略に加担しない勇気を持たなければ、国際社会で名誉ある地位を得られない時代が来ていることを知らねばならない。