No.75(2007年8月号から)

アメリカの戦争への協力を拒否した小沢代表

テロ特措法延長に反対を表明


 先の参院選の大勝を受けて民主党の小沢代表は、7月31日テロ対策特別措置法(以下特措法)改正案への対応について「今まで我々が主張した通りだ。反対したのに、賛成というわけはない。」とし、インド洋に展開する米艦隊への自衛隊の無料給油支援の延長に反対する意向を表明した。

 翌日アメリカのシーファー駐日大使が小沢代表にテロ特措法の延長を求めて面会を申し入れたが、小沢氏側は「会う必要はない」と面会を断った。これにあわてたアメリカ大使館は、民主党内でテロ特措法の延長は必要だとの発言を繰り返してきた前原誠司前代表に小沢氏との会談の設定を要請した。

 8月7日、臨時国会の冒頭小沢は記者会見で、11月1日に期限切れを迎えるテロ対策特別措置法の延長に反対する考えを明確にした。

 また「衆院はいつ解散されるか分からないという意味で常在戦場、毎日、日常活動を徹底する」とし次期衆院選で300小選挙区の半数を獲得することをめざして選挙準備を急ぐ意向を表明した。

 小沢のこの記者会見は翌8日に設定されたアメリカ大使シーファーとの会談に先立っておこなわれたものである。

 8日の小沢・シーファー会談ではアメリカ側が「日本の貢献は非常に重要だ」としてテロ特措法の延長に理解を求めたのに対し、小沢は「米国を中心とした作戦は直接国連安保理で認められていないという認識だ。国際社会の合意を取る努力を最初にしなければならない」と持論である「国連中心主義」を繰り返し主張した。

 小沢は常々日米関係について「今は主従の関係、日米同盟は対等でなくてはならない」と主張しており、この日の会談も報道陣に完全に公開し、水面下でアメリカに譲歩しない強い意思を示した。

 日米関係では自民・公明政権下で、米軍再編の名でその積算根拠も示されないまま3兆円以上もの日本の資金負担を受け入れるなど日米の支配・従属関係が年々強まっている。

 本来日本の内政である問題で、アメリカ大使が説得に乗り出すことこそ内政干渉と言えるものであり、当初会談を拒絶した小沢民主党代表の態度は高く評価されていいきわめて原則的なものであった。

 アメリカ側は民主党内のテロ特措法賛成派である前原を使って、小沢との会談をせまった。小沢にすれば党内矛盾を激化させないためにもシーファーとの会談を避けることはできなかったのである。

 これまで日本政府はアメリカの意向を国民への説明もなく一方的に受け入れ、アメリカの従属国としての地位を情けなく見ていた日本国民にとって、民主党小沢代表の原則的な態度は胸のすく思いであり、自民党内には「小沢氏を一種のヒーロー的な存在にしてしまったのは小池防衛相の無目的な訪米にある」(山崎拓)との声も出た。

 小沢・シーファー会談と同じ8日訪米した小池防衛相は、アメリカの国防長官や副大統領と会談したが、その内容は国民にはまったくわからない。小池が自分をアメリカに売り込んだのか? 日本の支配者としてのアメリカの指示が出たのか、まったく不明なのである。

 安倍首相は先の訪米で従軍慰安婦問題についてアメリカに謝罪したが、これまでの「強制はなかった」とする安倍の持論を捨てたのかさえ、未だに国民には説明されていない。靖国参拝についても安倍の態度はわかりにくい。

 アメリカの原爆投下は「しかたがない」と表明した前防衛大臣の発言は、アメリカの顔色を読むことが習性になっている自民党の売国的政治姿勢の表れであった。

 第2次世界大戦中の広島・長崎への原爆投下は、国際的に見ても国際法違反であることは定着しているのに、それすら否定し、公娼制度の時代の従軍慰安婦問題で首相がアメリカに謝罪するとは情けない話である。

 従軍慰安婦問題で日本が謝罪するのは被害者であるアジアやオランダの人々に対してでなければならない。

 アメリカは北朝鮮に対して「テロ国家」と言っていたのに、今や手のひらを返して独裁者金正日に譲歩に譲歩を重ねている。キーティング米太平洋軍司令官が、アジアの覇権をめざしている中国の空母保有計画への「手助け」を表明したように、アメリカの身勝手に追随一辺倒では危険な時代がきていることを知るべきだ。

 小沢民主党代表は外交面においても自民党以上に政権担当能力を示したと言える。元々主人であるアメリカに追随するだけを「外交」とは呼ばないのであり、この先対米追随一辺倒の安倍では、日本の国家予算はいくらアメリカに略奪されるかわからないのである。

 先の参院選は、民族的誇りもなく、持論を捨ててアメリカに屈服・謝罪する対米従属派の時代の終りを示したものであった。すでにアメリカのブッシュ政権は“死に体”である。

 小沢民主党は正面から対米自立の旗を掲げて、自公の対米追随一辺倒との違いをより鮮明にして政権の奪取をめざすべきである。