No.74(2007年7月号から)

危険で高くつく“日米同盟の強化”路線

従属から属国への「亡国の道」


 かつてアメリカは「日米同盟」にもとづく在日米軍を、日本の再軍備を防ぐ「瓶のふた」論で表現した。その結果自衛隊はアメリカ製兵器を装備しているが、その中身は奇形的で在日米軍を補完するものでしかない。

 しかし小泉から安倍へと受け継がれた「日米同盟の強化」の再編で日米の軍事一体化と米軍の再編で日本はアメリカに3兆円もの負担を強要されている。「日米同盟の強化」とは、アメリカの戦略に日本の経済力と軍事力を動員し、自衛隊を米軍の指揮下に置くという日本の属国化のことである。

 小泉と安倍は、この「日米同盟の強化」の路線を、まるで日米安保の双務協定化であるかのように見せかけている。

 安倍首相の私的懇談会「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(座長・柳井俊二前駐米大使)は、これまでに集団的自衛権に関する主要な議論を終え、(1)公海上の米軍艦船の護衛と (2)アメリカに向かうミサイルの迎撃について憲法解釈を「行使できる集団的自衛権はある」に変更し、アメリカのための自衛隊の武力行使を正当化しようとしている。

 小泉や阿部の「日米同盟の強化」とは日本の自立ではなく、従属関係を強化することであり、したがって日米安保条約の双務協定化では絶対にない。アメリカの指揮の下での日米の軍一体化(軍の統合)とは“従属”から“属国”へと変更することであり、戦略的な取り込みのことなのである。

 アメリカはイラク戦争の泥沼化で自己の力不足を痛感し、日米安保を日本の自立を防ぐ「瓶のふた」論から、日本の軍事力を利用する方向へ転換したのである。

 沖縄の米軍再編の名での日本の3兆円の負担は、海兵隊のグアム移転のためとなっているが実際は海兵隊は移転せず、グアムの米軍出撃基地建設費用を日本が負担するものである。つまり3兆円の持つ意味は、従属国の上納金なのである。

 ありもしない北朝鮮の脅威で日本がアメリカに買わされているミサイル防衛は、日本全土を守るためには10兆円以上かかるといわれており、しかも目標のミサイルに命中する保障はない。つまり「日米同盟の強化」路線とは衰退と戦争と“亡国の道”なのである。

 安倍の対北朝鮮への強硬方針も間違っている。拉致問題を解決する早道は北朝鮮との国交回復と侵略戦争の償いで、市場経済へと導くことで金正日体制は崩壊するのである。ちょうど自給自足の徳川幕府が開港に転じて崩壊するのと同じである。そういう意味で韓国の“太陽政策”は正しいと言える。

 アメリカという国は、巨大な軍需産業と軍の「産軍複合体」が政治力を持っているため、アメリカ経済は定期的な戦争を必要とする経済構造になっている。したがってアメリカへの属国化は、日本がイラクのフセイン政権のように「同盟国」ゆえに“使い捨て”にされる危険性を覚悟しなければならない。それゆえに“亡国の道”なのである。

 日本は対米追随一辺倒を転換し、多極外交によって対米自立の必要条件を整えていく外交が求められている。小泉・安倍と続く対米追随一辺倒に対して、小沢民主党の「国連重視」は、対米追随一辺倒ではないという意味で意義がある。

 対米自立を鮮明に打ち出せないところに小沢の限界があるが、安倍よりは日本民族の利益にかなっているし多極化時代にも対応できる。

 小泉はアジアにおける日本の周辺国全てを敵対的関係に置いた。安倍は中国と韓国との関係を改善させたが、ロシアとの関係はアメリカの顔色を見て関係改善へと動けないでいる。

 日本の対米自立は、アメリカ、中国、ロシアの三国とのバランス外交なしに不可能であり、したがって“多極外交による平和主義”が自立の必要条件となる。とりわけロシアとの戦略関係を展望した外交が重要となってくる。

 危険なうえに高くつく、安倍の「日米同盟の強化」の亡国路線に反対し、“対米自立の平和主義”を日本はめざすべきなのである。