No.74(2007年7月号から)

安倍“ボロボロ内閣”の危機せまる

裏目に出た会期延長のおそまつ


 安倍内閣発足後から現在までの不祥事は以下のとおりである。

(1)佐田前行政改革担当相の不 正経理問題
(2)松岡農相の巨額光熱水費問題
(3)柳沢厚生労働相の「女性は産む機械」発言
(4)農水省官制談合事件で松岡農水相が自殺
(5)宙に浮いた5000万件の年金記録問題
(6)久間防衛相の原爆投下は「しょうがない」発言による辞任
(7)赤城農相巨額「事務所費」問題

これでは安倍首相の大臣任命基準が問題であるのは明らかで、まるで安倍ボロボロ内閣とでも言うしかない。しかもこれらの不祥事の間には与党が「数の力」を振り回して20回近くも強行採決をして悪法を次々成立させている。こんなことは前代未聞というしかない。

 重要なことは、安倍首相が閣僚の不祥事をことごとく隠蔽し閣僚を守ろうとしてきたことである。

 事態を究明するのではなく、隠蔽しようとしてきて、ボロが出て閣僚を自殺まで追いつめたのである。

 参院選が近づけば近づくほど、安倍のあせりは激化し、年金問題では「1年ですべて照合する」と大見得を切ったが、記録の原本を消失した年金がたくさんある中ではそれも不可能で、選挙向けのホラとしか受け取れない事が悲しい。

 朝日新聞の調査によれば安倍政権の強行採決を支持している人は17%しかおらず、大多数の国民は多数の横暴と見ている(7月11日調査)当然にも安倍内閣の支持率は28%まで低下し、政党支持率は自民党は19%まで急降下し、民主は25%まで上昇した。

 国民がこの政権(自公)に絶対多数を与えるのは危険と考えていることは明白である。

 小泉首相の場合は選挙戦に向けて戦略を持っていた。北朝鮮から拉致家族を帰国させたり、郵政民営化で選挙を闘ったり、「抵抗勢力」と闘うというスタイルを演出して選挙に勝ってきたが、安倍首相にはそうした選挙戦略が見えないのである。

 「友達内閣」とか「仲良し内閣」とか言われ、党の有力者を内閣に入れずにきたことが、政権のもろさとなって現れている。

 アメリカの戦争に自衛隊を参戦させるための集団的自衛権をめぐる議論は、自分に都合のいい“憲法解釈見直し派”ばかりを集めて議論を進めている。“我田引水”とはこのことである。

 右派政権らしく、安倍は閣僚に右派ばかり集めたが広島・長崎で20万人以上が殺された国際法違反の原爆投下を、アメリカの顔色を見ながら「しょうがない」と言い捨てる思慮のない大臣を任命した首相自身に思慮がないのではないかと言わざるを得ない。とにかく政権発足後1年もたたない間に閣僚が4人も辞任するというのは異常である。しかも罷免は1人もいないのであるから、任命者の安倍首相の主体性と任命責任のなさは話にならないのである。

 参院選の投票日を1週間延長して、国民が年金問題や閣僚の不祥事を忘れると思っている点が“ぼっちゃん政治家”らしい甘さである。

 今や安倍首相にとっての頼みは“小泉の応援”だというので自民党議員の小泉への「ラブコール」が相次いでいるらしい。

 参院選直前の6月分給与から住民税の大幅上昇が始まったのも安倍にとっては痛い、住民税が上がれば健保の保険料も大幅に上昇することになる。国民の怒りは高まるばかりで、ふだん投票に行かない人までもが「今度は民主党に入れる」と言いはじめている。

 「政治と金」「年金のズサン管理」「住民税大増税」「強引な強行採決」の怒りを国民は参院選で自公に思い知らそうとしている。

 自公にとっての唯一の頼みの綱は、野党の票が割れることである。当選の可能性も無いのに候補者を出して、結果自民の勝利に手を貸す野党の存在が自公にプラスに働くかも知れない。

 巨大化した無党派層が、今回は民主に流れる可能性は高く、それ以外に自公の悪政にストップをかける手がないのが今の日本の現実なのである。