No.73(2007年6月号から)

参院選で改憲を争点とする安倍の陰謀!

「国民投票法」成立を急いだ背景


 5月18日、安倍首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(座長・柳井俊二前駐米大使)の初会合が首相官邸で開かれた。

 安倍首相は同懇談会に4点の事例を挙げて「新たな時代状況を踏まえた、新たな安全保障政策の構築」の検討を指示した。その4点とは(1)公海上で行動をともにする米艦船への攻撃に対する応戦(2)米国に向かう弾道ミサイルの迎撃(3)国際平和活動をともにする他国部隊への攻撃に対する駆けつけ警護(4)国際平和活動に参加する他国への後方支援、の4点である。

 この安倍の集団的自衛権の憲法解釈を合憲へと変更するために作られた懇談会は、参加者全員が賛成派で構成されており、新聞各社の評論はいずれも「始めに結論ありき」の懇談会だと断じている。

 集団的自衛権の憲法解釈の変更は元々アメリカが求めているものであり、その意図は日本の軍事力と経済力を自己の戦略に取り込む狙いがある。

 資本主義の不均等発展の結果、アメリカの相対的国力が一国による世界支配を維持する上で力不足となってきていることが背景にある。アメリカは日本を自立させる気はないので改憲を求めず、集団的自衛権の憲法解釈の変更を求めているのである。

 安倍の諮問の内容は、自衛隊が米軍を守るために戦うこと、多国籍軍あるいは国連の名での内政干渉に参加し戦うことの2点にまとめることができる。

 現在の国際社会で「国際平和活動」の名で戦争をしているのは、すべてアメリカの指揮の下でやられているので、要するにアメリカと共に軍事力行使をすることが合憲だという結論を導き出そうとしているのである。

 安倍は日本の対米従属を軍事行動の面にまで拡大することで、現行憲法との矛盾を拡大し、改憲への国民的合意形成を狙い、大企業の海外権益を武力で守れる体制を狙っているのだが、それはアメリカの戦争に日本を巻き込む亡国の道なのである。

 アメリカは巨大な軍需産業と軍が利害を共有する国であり、この産軍複合体が戦争という消費行動で経済的に潤う特殊な国なのである。しかも「国際平和活動」の名で侵略戦争や干渉が展開されるのが現代であり、それゆえに世界は反米と親米に分断されているのである。

 人類が偉大なのは、歴史の中で「平和5原則」をすでに生み出していることである。それは@主権と領土保全の相互尊重A相互不可侵B相互内政不干渉C平等互恵D平和共存である。

 この「平和5原則」を守りさえすれば国と国との戦争はなくなるのである。現在の世界はアメリカが侵略し、被侵略国(イラク)の人民と民族が抵抗している。そしてその抵抗を「テロ」と呼び再び侵略の正当化に使っている。これがイラクとアフガンの戦争なのである。

 保守・右派の安倍はアメリカとの同盟(=従属同盟)の下で日本を軍事強国にしようとしているのである。

 つまり集団的自衛権の憲法解釈を変えることは、日米安保条約の双務協定化に近づくことである。

 それなら日米安保条約を双務条約に改定すればよいのに、それをアメリカが求めないのは理由がある。それをやると日本の対米自立をアメリカが公認することになるからである。

 アメリカが求めているのは日本の軍事的・経済的属国化であり、それが経済面での「構造改革」であり、軍事面での集団的自衛権を認めることである。

 ブッシュのプードル(忠犬)と呼ばれたイギリスのブレアが退陣し、イギリス国民がアメリカ追随に批判的となっている中で、アメリカの同盟国として参戦する国は少なくなっている。つまりアメリカの孤立が現在の国際情勢の際立った特徴となっているのである。

 日本が貿易立国をめざすなら世界とアジアで孤立してはならないのである。

 日本が平和を求めるなら、政治体制の違いや他国の歴史的発展段階を認め、尊重しなければならない。「内政不干渉」は国と国の戦争をなくす大原則であり、アメリカ覇権主義の傲慢な侵略がもはや勝利できる時代ではないことを知らねばならない。現実にイラクでアメリカ軍はベトナム以上の泥沼にはまり、撤退も勝利もできない局面に陥っているではないか!?  すでに世界は多極化の時代に向って動いており、アメリカに追随すれば国が安泰である時代ではないのである。

 つまり安倍首相らの追求する集団的自衛権の見直しの道は、日本の安全を危うくする「亡国路線」と断ずることができる。日本は多極化時代の国家戦略(=平和戦略)を持つべきであり、その大原則は対米自立・平和主義の堅持であるべきだ。

 没落する大国に追随して参戦することほど危険なことはないことは、人類の歴史に学べば明らかである。

 安倍首相の集団的自衛権見直しは、世界の戦略関係を分析できない“ぼっちゃん政治家”の火遊びと言うべきである。