No.73(2007年6月号から)

焦りから幕引きを急ぐ安倍政権

既得利益集団の腐敗の構造を絶て!


 長期にわたる自民党政権と官僚と企業の癒着は、税金に群がる“既得利益集団“を形成している。

 農水省の天下り機関であった緑資源機構の官製談合事件は、松岡農水大臣の地元熊本県に捜査の手が延び、もはや「何とか還元水」のごまかしの答弁で逃げられる問題ではなかった。放置すれば松岡の下に集まった巨額の資金が誰に流れたのかを含め参院選を前にして一大スキャンダルが露呈しかねなかったのである。

 前代未聞の現職大臣の自殺は、否定や辞職で済まされないところまで追い詰められていたことの結果と見なければならない。

 緑資源機構の黒幕の元官僚と松岡の自殺で真相を闇に葬ることで政治と金の問題は幕引きできたとしても、年金問題が5000万件以上も「宙に浮いた」問題は、事が人々の老後の生活に関わるだけに簡単に幕引きとはいかなかった。

 安倍首相が年金記録問題を「今の制度を作ったのは民主党の管直人さんではないか」と責任転嫁とも取れる発言をしたことも無責任であった。戦後の長期政権を担ってきたのは自民党であり、安倍の責任逃れの無責任が支持率の急落につながった。

 そもそも年金は強制加入で社保庁が一元的に管理してきたのである。転職のたびに年金番号が変更されてきたことは国民は一切知らなかったことであり、始めから一元化していれば、またきちんと管理しておればこんな問題はおきなかった。

「忠に浮いた」5000万件全てに年金を支払うと20兆件を超える額になるらしい。社会保険庁は年金を始めから支払う気は無かったのでないか?と国民が思うのは当然である。

 社会保険庁は年金資金を株式にでたらめに運用し、何兆円もの損失を出しグリーンピア等全国にデタラメに何兆円も資金拠出し、本来給付に使うべき年金資金を事務費等にデタラメに流用し、挙句に無責任な年金記録の管理を行っていたのである。読売新聞によれば「過去に職員による保険料の着服事件が相次いで発覚」したそうで、領収書が存在しているのに社保庁に記録が無い分は、職員の保険料の着服の可能性があると見られている。

 安倍政権が年金の未払いの時効を撤廃し、約5000万件の年金番号を1年で再調査し,社会保険庁を廃止・解体することを急いだのは、目前に迫った参院選への影響を考慮したからに過ぎない。

 国民の年金については本当に「救済」する気が無いことは、立証義務が証拠を握っている社保庁では無く、国民の側に課せられていることを見れば明らかだ。安倍は小沢との討論で「申し立てをした人全てに支払えというのか」と開き直ったことがそれを示している。

 事は社保庁の不始末であるのに「年金は国民の申請義務」というのは納得が得られるわけがない。

 年金記録が消えて年金を受けられなくなった人が多数いるのに、わずか半日の国会審議で幕引きを急ぐ安倍首相の姿は、国民の目には“またごまかすのか”という風にしか見えないのである。

 小泉の時自民党は「郵政民営化」問題で圧倒的多数派を形成したが、安倍はこの数を頼みに悪法を数多く強行採決したのである。権力の驕りで強行採決を連発しながら自分たちの政治腐敗について(政治と金の問題・税金の不正な使い方)は闇に葬ろうとしていることは国民を愚弄している。

 国民の怒りや、不信が見えないところに“ぼっちゃん政治家”の甘さがある。

 このような“政治家の孫“ばかりの政党が長期に政権を握ってこれたのは、強力な既得利益集団の支えがあるからである。

 年金記録の表面化で安倍首相の「改憲で参院選を闘う」という選挙戦略は崩壊した。焦りから幕引きを急ぐほどに国民の不信が高まる局面となっている。多くの人が不信から年金保険料を支払わなくなっていることは、政府の無責任・社保庁の無責任が招いた事である。

 自民党の長期にわたる一党支配が政治家と官僚の腐敗の根本原因である。これが既得利益集団が長期に利権漁りを続けた基盤なのだ。談合とは、この集団の税金の配分のことなのである。

 政治と金の問題も、年金記録の問題も政権交代によらなければ根本的解決は不可能である。安倍政権の支持率の低下は当然である。