No.72(2007年5月号から)

参院選で改憲を争点とする安倍の陰謀!

「国民投票法」成立を急いだ背景


 5月14日の参院本会議で憲法改正の手続きを定める国民投票法案が採決され、自民・公明の賛成多数で可決・成立した。

 国民投票法案の審議時間は約58時間であり、通常の重要法案の約半分であることを見ると安倍政権が成立を急いだことは明らかである。

 成立した国民投票法の問題点は

(1)投票テーマを憲法改正に限定していること
(2)投票年齢を満18歳以上としていること
(3)周知期間が短いこと
(4)「国民投票広報協議会」の設置が公平に作られる保証がないこと
(5)公務員の賛否の勧誘を禁止していること
(6)テレビ・ラジオ等広告の公平性が担保されていないこと
(7)最低投票率の規定がないこと

である。同法は明らかに改憲のハードルを下げることを狙っている。

 アメリカ政府に軍事的貢献を求められているといっても“忠犬”よろしく参戦のための9条改憲に突っ走るのは危険である。改憲ルールは賛成派と反対派も文句の出ない民主的で公平であるべきだ。

 今回のように「郵政民営化」だけで総選挙をやった議員が公約でもなかった重要法案を決定するのはおかしな話であり、国民投票法は改憲に限るべきではない。政党への政治資金や議員の歳費なども議会のお手盛りではなく国民投票にすべきである。

 投票年齢を18歳に下げるのは徴兵制導入を計算に入れているのではと勘ぐりたくなる。公務員の改憲反対を封じ込めるのも民主的とはいえない。先生達の間に戦争反対の声が強いことを考慮しているのである。

 最低投票率の規定がないこともおかしい。改憲という重要問題で国民的合意など不要という態度は問題がある。有権者を愚民化すれば投票率が下がり、改憲のハードルが下がるという読みがある。また棄権を反対の意思表示の現われとは捉えず「委任」と解釈するのは身勝手というものだ。

 公務員の反対を封じ込めておいて、自分達のテレビやラジオの宣伝は無制限というのは不公平だ。反対派も賛成派も同一時間の放送にすべきだ。

 安倍首相が「改憲を夏の参院選で訴えていく」と語っているのは参院選で格差是正や高負担を争点にするのは自民党が不利になると見ているのである。改憲を選挙の争点にすることで改憲派と護憲派が“同居”する民主党の分裂を狙っていることもある。

 さらには共産党や社民党が「9条は日本の宝」とばかりに法的観念論を振りまくので、自民・公明が参院選で勝利できると読んでいることがある。自衛隊という軍隊があるのに、また北朝鮮のように反日の軍事独裁国家があるのに「9条を守れ」という「非武装中立」論で国の防衛を無視した主張は観念論であり、選挙で多数を獲得できるわけがない。

 日本の平和主義を守る“カギ”は、憲法改正や9条護憲ではなく、対米自立が必要であることを鮮明にすることが重要である。対米追随の下では護憲でも改憲でも、日本の防衛をアメリカ軍に頼ることになり、日本がアメリカの求めに応じて自衛隊を海外派兵することになるのである。実際に自衛隊は中東とインド洋に派兵されているではないか!?  したがって対米自立か対米従属かが争点となるべきだ。

 戦争体制のためには徴兵制が必要になり、その点からも改憲が必要と安倍は考えている。

 日本が再び“亡国の道”に進まぬように対米自立による平和・中立の日本を目指す必要性を強く訴えなければならない。