No.71(2007年4月号から)

現職圧勝の地方選の示すもの

借金大国を生んだ利権政治の罪悪!


 第16回統一地方選が8日投開票された。東京など13都道県知事選や市長選、県議選など統一地方選前半戦の特徴は次のような点である。

(1)無党派層の支持を期待した「政党隠し」が目立ったこと
(2)現職の9知事が全勝したことに示されている“現職有利”
(3)争点隠しが行なわれた結果か、無党派層が動くほどの争点がなかった

 多くの選挙区で投票率も低下した。つまり今回の地方選で「勝ったのは自民党でもなく、民主党でもなく“現職”だった」(朝日新聞)といわれるのは日本の政治が硬直していることを示している。

 東京も地方も、既得利益集団が形成され、彼らが利権擁護から現職政治家を支えているのである。地方によっては与野党が“相乗り”して「現職」を支えている構図が選挙結果に現れている。

 選挙が「現職」を勝たせるための“セレモニー”と化しているため、政治は硬直化し、大衆が失望して政党離れし、いわゆる無党派層が「第1党」といえるほどに膨らんでいる。この無党派層も今回は投票へと動かなかった。したがって都市部(大阪など)の投票率は30%台の低率となっている。

 既得利益集団は当然にも変化を嫌う。与党と野党が“相乗り”するほど“うま味”があるということである。日本の地方選を活性化するには“3割自治”をやめ、地方に自主財源を与えて、政策で争える基盤を作る以外にない。“3割自治”であるために、中央政界とのつながり、したがって政権側の「現職」が有利となる図式が生まれ、政治が硬直するのである。

 こうした利権から生まれるのは、土建業者などの既得利益集団を儲けさせる政治であり、政治家が“口利き料”を懐にできる政治であって、真に人民のための政治では決してない。すなわち日本の政治の腐敗と硬直化は、戦後中央政権をにぎってきた自民党支配の“産物”であり、“結果”なのである。こうして現在の中央と地方の財政危機が生み出されたのである。

 「現職」有利の選挙が続く限り、日本は非生産的公共事業が続き、負債(借金)は巨大化し、腐敗は深刻化する。時に政治家の収賄(しゅうわい)が表面化することも多い。そうなると「選んだ選挙民が悪い」「国民が悪い」と悪政を人民に転嫁できるのが資本主義的選挙制度の支配者にとっての利点である。

 選挙が政策で争われている滋賀県では、新幹線の新駅を巡って選挙が戦われ、新人が数多く当選した。こうした経験から現職候補が争点隠し、争点ぼかしの対応を取ることとなる。

 こうして払いきれないほどの借金自治体になってもなお公共事業で“うまい汁”を吸う連中が選挙で勝つことになる。現職が必勝する選挙では、住民は選択権を奪われているようなものである。これでは大衆が投票所に足を向けなくなるのは当然だ!  日本の政治を活性化するにはアメリカのように候補者同士を討論させる場を作るべきである。政策と政策を戦わせて大衆に選択権を与えるべきで、地縁・血縁を基盤とし、土建業者に支えられた選挙は止めるべきである。

 公共事業の配分を背景にした利権政治は、地方公共団体を夕張市のように“倒産”に直面させており、それは国においても同様で、今や日本国は700兆円を超える借金を抱えている。それでもいまだに多額の国債を発行して子供や孫の代の税金まで公共事業で食いつぶしているのだ。日本を“土木資本主義”とし、借金政治の泥沼に陥らせた自民党の責任は重いといわなければならない。

 重要なことは国と地方の巨額の借金は、アメリカに要求されてプラザ合意で円高とともに430兆円の公共事業を強要されたことに起因している。今日の日本の利権政治の腐敗はアメリカ追随政治の結果であることを日本人民は忘れてはいけないのである。

 借金大国の責任は誰が取るのかを明らかにせよ!

 巨額の財政赤字の責任を抜きに財政再建と称して消費税増税を語るものがいる。財政赤字を作り上げた責任を取らぬものには財政再建を語る資格はないのである。