No.71(2007年4月号から)

安倍のおそまつな歴史認識を利用

米議会の「従軍慰安婦」問題の狙いは何か?


  1月31日に米下院に提出されたマイケル・ホンダ下院議員ら7人による決議案について、安倍首相が記者団に「強制性について証明する証言や裏付けるものはなかった」「広義の強制性はあったが、狭義の強制性はあったとは言えない」と語ったことがアメリカやオランダ、中国、韓国の強い反発を引き起こした。

  安倍首相が“大東亜戦争は正しかった”と考えていることは広く知られている。また「狭義の強制性」を否定する発言は、外国では詭弁としか理解されないことは明らかである。

  旧日本軍は無条件降伏を受け入れるに当って「戦犯」に問われることを予想して、証拠となる文書類を焼却処分する命令を出している。したがって安倍のように、この問題で「強制性の証拠」のある無しを論じてもしかたがない。

  旧日本軍の戦争についての正しい見方、正しい歴史認識を安倍首相が持たないことが問題なのである。日本人民も中国人民も韓国人民も日本軍国主義の侵略戦争の被害者であり、日米の戦争は「強盗どうしの戦争」であったことを鮮明にすることが重要である。

  安倍発言は、アメリカ側の狙いを分析できず、現在の日本がまるで旧日本軍国主義の犯罪を隠しているような演出をすることに手を貸してしまったのである。

  日本政府が1993年の河野談話で従軍慰安婦問題について謝罪し、以後人道的保障もおこなわれている。

  米議会の従軍慰安婦問題の決議案の狙いは、日本が“先の戦争を反省していない危険な国”との印象を振り撒くことで、日本をアメリカの従属国にしておく必要性を関係国に認識させる狙いがある。

  日本を自立させないことで、アメリカと中国政府の間には共通の戦略的合意があると見てよいのである。アメリカは日本を従属下に置き、自己の一極支配に利用しようと狙い、中国はアメリカの覇権が破綻した後のアジア支配を展望して日本を対米従属に置くことで将来の競争相手の軍事的巨大化を阻止しようとしているのである。

  戦争中の従軍慰安婦問題で現在の日本政府が責任を問われるのなら、アメリカの広島・長崎への原爆投下や日本全国の都市への国際法違反の無差別爆撃も同じくその責任が問われなければならない。

  第一次世界大戦でドイツに過重な戦争賠償を強いた結果、第二次世界大戦を引き起こした経験から、現在では戦争賠償を要求しないことが国際的合意としてある。しかし人道上の賠償までは禁止されてはいないし、問題は安倍首相らの旧日本軍国主義の戦争を正当化する企てが、日本の対米自立の重大な障害となっていることである。

  戦後60年以上たって、なぜ今「従軍慰安婦」なのか、なぜそんな法案がアメリカ議会に提出されるのか?どのような狙いかを考えもせず、詭弁で「従軍慰安婦」の存在を否定することは愚劣で、一国を統べる政治家のやることではない。

  日本政府は、求められれば何回でも謝罪しなければならない。しかし、60年以上前のことを引っぱり出して謝罪を求める連中は、金が狙いであり、またそれを利用する政治家には政治的狙いがあるので、その狙いを見抜くことが必要である。

  毛沢東は、日中友好の視点から「先の戦争では日本人民も中国人民も日本軍国主義の犠牲者である」として戦争賠償が日本人民に与える負担を考慮して、一切の賠償請求を放棄した。こうした態度こそ真に正しいものであり、過去の戦争を正当化し、歴史を書きなおそうとする日本の右派政治家の態度は改めるべきである。

  同時に、これら右派政治家のおろかな反動的発言を利用して、日本と他のアジア各国の関係を対立させ、日本をいつまでもアメリカの従属下に置くことを正当化する試みにも反対しなければならない。

  アメリカが産軍複合体に支えられた侵略国家であるため、対米追随は“戦争の道”であり、対米自立こそ日本が平和主義を貫く道であることを広く宣伝しなければならないのである。

  今「日米同盟の強化」の名で日米の軍事一体化が進められ、「国民投票法案」によって、アメリカの戦争に参戦するための9条改憲を進め、集団的自衛権の研究もやられている。

  かつてナチスドイツに追随した旧日本軍国主義の暴走も、今のアメリカの暴走への追随も、同じ侵略の“亡国路線”であることを明らかにしなければならないのである。