No.70(2007年3月号から)

国家主義の本性現した安倍政権

教育の国家統制狙う教育3法案


 文部科学省の諮問機関の中央教育審議会は3月10日、今国会への提出が予定されている教育関連3法案(「地方教育行政法の改正」「教育職員免許法などの改正」「学校教育法の改正」)について伊吹文科相に答申した。この教育3法案は安倍首相が今国会での成立を狙っているものであり、そのための今回の答申なのである。

 答申の主な内容は以下のとおり

(1)「愛国心」教育と「公共の精神」といった徳目を盛ること
(2)副校長、主幹、指導教諭を新設し管理を強化する
(3)教員免許更新制(10年)を設ける
(4)分限免職となった教員の免許は失効
(5)指導不適切の教員に研修を義務づける
(6)国の教育委員会への指示もできるようにする

 今回の答申は反対意見も付記しているが、委員の中から「文科省の都合のいいように議論を集約している」との批判も出ている。

 最近の安倍首相は閣僚の不祥事や失言、政治資金報告の虚偽記載などで追いつめられてか?最近は「開き直り」とも思える強硬姿勢が目立っている。

 例えば「国家安全保障会議」(NSC)創設をめざし、対外情報機関を視野に入れて情報組織を整備する動きや、改憲姿勢をあらわにして国民投票法案の会期内成立を最優先する方針を出している。

 また従軍慰安婦問題では軍の強制連行について「強制性を裏付ける証拠がなかったのは事実」と発言(3月2日)し、国家主義、右翼政治家の本性をあらわにしている。

 こうした一連の流れの中で、今回の愛国心教育と、そのための教育の国家統制に道を開くための教育3法案成立に向けた答申なのである。

 安倍は当初夏の参院選までは右翼政治家としての本性を隠す方針だったのだが、支持率の急落傾向の中で、議会で多数の間に“やれることをやる”方向へ方針を変えたことは間違いない。

 こうした政治反動の経済的背景には、経済のグローバル化の中での「構造改革」で日本企業の高収益体質を達成し、日本企業は今や商品輸出による収益よりも、資本輸出による利子収入の方が巨大になり、日本経済が侵略性を増していることがある。

 おりからアメリカはブッシュ政権による侵略戦争の最中であり、イラク泥沼化で同盟国の支援がほしい時である。“今ならアメリカの要請で堂々と戦争体制が確立できる”というのが日本の対米従属派保守の考えである。海外に投資した権益を軍事力で守ってほしいという大企業経営者の要請もあるので安倍が強気になっているのである。

 予算案の強行採決や閣僚の不正や暴言についても一切国民に対する説明責任を果たさない安倍の政治手法を見ていると、安倍政権が平気で民主主義を踏みにじる右翼的危険を指摘しなければならない。

 世界はアメリカの一極支配から多極化の時代への過渡期にある。

 日の丸や「君が代」を強制し、愛国心を強制して“戦争への道”をめざす前に、日本の平和主義を堅持する戦略論議をするべきではないのか?

 日米同盟一辺倒が“戦争の道”なら、対米自立による多極外交で平和主義を守る方向へ転換する時がきているのではないか、肝心の戦略論議抜きの戦争体制作りと結びついた教育の国家統制強化を見逃してはいけないのである。

 愛国心教育と「公共の精神」を子供達に押し付けるために、副校長、主幹、指導教諭を新設して、教員への国家の統制を強化することは戦前と同じ軍国主義教育への道を切り開くものである。

 教員免許更新も分限免職となった教員の免許失効も、指導不適切の教員への研修義務付けも、また国の教育委員会への指示を可能にすることも、すべては戦争体制と結びついた教育の国家統制を狙うものである。

 対米追随一辺倒の“戦争の道”から、対米自立による日本の平和主義を堅持することこそ日本の進路であるべきだ。安倍反動政権打倒を掲げるべき時がきている。