No.67(2006年12月号から)

半島の対立関係温存する時間稼ぎ!

再開した6カ国協議


 12月18日「6カ国協議」が北京で再開された。昨年11月以来開かれていなかった「6カ国協議」は、北朝鮮による核実験実施で協議の内容が大きく変化することとなった。

 北朝鮮は「核保有国」としての扱いを求め、他の5ヶ国は北朝鮮の核放棄で一致している。しかし北朝鮮が“命綱”である核を簡単に放棄するわけがなく、焦点は北朝鮮の求める金融や貿易制裁の解除と、アメリカの要求する核施設の活動停止、国際原子力機関(IAEA)の査察受け入れなどと、北朝鮮への“見返り援助”を含めた妥協を探る交渉となる。

 アメリカはイラク戦争の泥沼化で2正面戦略は取れないので、北朝鮮に対して「話し合い解決」を決定しており、交渉は北朝鮮側が有利な局面となっている。

 アメリカと中国は、反日的な北朝鮮の金正日政権を存続することで朝鮮半島の対立構造を当面温存することに戦略的意義を見出している。したがって日本の核保有の口実となる北朝鮮の核保有は容認できないが、さりとてこの政権を打倒することも利益ではないと考えている。

 金正日政権は、対立関係があれば存続するのであり、そのために必要な援助は、口実を作って与えなければならないとアメリカと中国は考えている。

 ロシアはEUと北東アジアをシベリア鉄道でつなぎ、シベリア開発を推進する戦略を持っている。韓国もロシアと利害を同じくしており、「太陽政策」で半島の対立関係を終わらせる“南北統一”を構想している。

 日本は拉致問題があり「6カ国協議」では主導権は取れずアメリカに追従する外交を取っている。

 アメリカは、半島の対立関係を当面維持することでロシアと韓国の戦略的狙いをつぶすことを考えており、アメリカ抜きの“東アジア経済圏”の動きや、EUの北東アジアとの結びつき強化がアジアにおけるアメリカの権益と対立すると見ている。アメリカが「太陽政策」に反対する理由である。

 こうして北朝鮮にとって“見返り援助”と引き換えに“妥協”を繰り返す「瀬戸際外交」の余地が生まれているのである。

 アメリカがアジアで当面最も重視しているのは、日米同盟の強化による米軍と自衛隊の一体化とアメリカ金融資本による日本企業買収による日本の属国化である。

 それが終わるまではアメリカは半島の対立関係(冷戦構造)を維持しなければならないのである。
 アメリカが日本とロシアの北方領土問題の「二島返還論」に反対しているのも同様の理由からである。日本がシベリアの資源を手に入れれば、日本の対米自立につながる恐れがあるので認められないのである。

 中国は北朝鮮が、いかに問題のある国家であっても、中国とアメリカの緩衝地帯として存続させる戦略的決定をしている。またシベリアの資源を日本に渡さず、自己の手に入れようという狙いもある。したがって中国もまた半島の対立固定化で日本の自立を阻止しながら、アジアにおける盟主の地位をうかがっているのである。

 これが「6カ国協議」をめぐる各国の戦略関係であり、したがって“「6カ国協議」は半島の対立固定化の時間稼ぎ”と定義することができる。したがって「6カ国協議」は決裂してもおかしくなく、まとまっても一時的妥協で終わるしかないのである。