No.63(2006年8月号から)

自民党の「改憲」は政治的フェイント ?!

狙いは保守二党制に向けた社・共つぶし


 アメリカは日本の改憲ではなく集団的自衛権の憲法解釈の変更を求めているのに、自民党が「9条改憲」をしきりに語るのに違和感を感じている人は少なくない。

 日本の議会を保守二党制に持っていくことが自民党や財界の課題となっており、そのために「見せかけ」の改憲が必要となっている。その狙いは共産党と社民党を9条護憲・非武装中立に誘い込むことである。

 アメリカの課題は、日本の戦略的取り込みで力不足を補うことである。小泉とその後継者である安倍の「日米同盟の強化」は、すなわち“戦争の道”にほかならない。彼らは当面集団的自衛権の憲法解釈の変更を目指している。

 一方日本の野党の共産党と社民党は“9条は日本の宝”などとして護憲を方針の柱としている。

 “力の行使”が世界のすう勢となり、北朝鮮が長距離ミサイルを何発も発射する時代に、共産党や社民党の“非武装中立”で国の安全が守れないことは明白である。

 つまり自民党の「改憲」は“政治的フェイント”であり、共産党や社民党を非現実的な“非武装中立”に誘い込み、選挙で大敗させる事で、一気に保守二党制を実現しようとしているのである。

 日本の平和主義を守るには対米追随から対米自立へと“カジ”を切るほかないのに、社共は「9条の会」の運動一辺倒で、護憲で平和が守れると思っている。これは法的観念論であり、“不確かな野党”を没落させずにはおかないであろう。戦争は憲法9条の下でも出来るのである。「自衛権」あるいは「国際協力」の名ですでに自衛隊を海外派兵していることを見れば社共の誤りは明らかであろう。

 つまり現時点での自民党の「改憲」は野党を護憲と非武装に誘い込み、国民の支持を失わせて保守二党制を実現する“政治的ワナ”なのである。

 サッカーの試合ではディフェンスがフェイントで抜かれればディフェンスラインが崩壊して失点につながることが多いのである。

 法的観念論の野党が自民党の「改憲」の動きの真の狙いを見抜けず“9条命”の非武装に固執すれば“力の行使”が当たり前になった国際情勢の下でその国防に対する無責任性を露呈して、選挙で大敗するのは確実である。

 憲法学者や弁護士出身の党幹部の法的観念論の弊害を指摘しなければならない。

 共産党と社民党が日本の平和主義の堅持を主張するなら「護憲」ではなく“対米自立による平和”を掲げるべきである。

 現日本国憲法には、確かに日本を自立させたくないために9条や98条の従属条項が含まれている。しかし歴史の皮肉は、憲法制定権力のアメリカが、この憲法9条によって自己の戦争に日本を動員する法的障害となっていることである。

 アメリカは「日米同盟の強化」で日本の属国化を完成させないうちは、日本の改憲を許さないし、保守二党制にしなければ「改憲」は不可能なのである。

 つまり重要なのは対米追随一辺倒から、対米自立への転換であり、自立のための必要条件を整える“多極外交”なのである。

 小泉が悪らつなのは靖国参拝でアジア諸国を怒らせて“多極外交”を破壊していることである。

 日本の野党が“日本民族の自立”という民族的課題から目をそむけていることは誤りである。民族の願望を掲げて、はじめて統一戦線によって90%以上の国民の支持が得られるのである。

 日本人民の中に無党派層が多いのは、与党も野党も親米派であることが影響しているのである。

 共産党と社民党が自民党の政治的“フェイント”に引っかかって自滅の道を行くことは残念なことである。