No.62(2006年7月号から)

「新世紀の日米同盟」の危険

対米追随一辺倒の亡国路線を糾弾する!


 訪米した小泉首相は6月29日ホワイトハウスでブッシュ大統領と会談した。会談後に発表された共同文書「新世紀の日米同盟」では両首脳が「日米関係が歴史上最も成熟した二国間関係の一つであるとの見解で一致した」と“自画自賛”したが、その同盟とはすなわち日本の属国化を意味するものである。

 同文書は「21世紀の地球的規模での協力のための日米同盟を宣言し」て、「普遍的価値観と共通の利益に基づく日米同盟」を謳い、弾道ミサイル防衛協力や、日本の有事法制や、米軍と自衛隊の再編などの合意を「歴史的な前進」と評価した。その上で両首脳は北朝鮮のミサイルや拉致問題やイラン核問題でも協力していくことで合意している。

 共同文書は最後に「世界の中の日米同盟が一貫して建設的な役割を果たし続ける」との認識を確認し、「地球規模での協力関係が今後ともますます発展していくことを共に希望している」と述べている。

 今回の小泉訪米に、ブッシュはエアーホースワン(大統領専用機)を用意するなど破格の待遇で迎えた。世界中からイラク侵略を非難されているブッシュにとって「日本は常にアメリカの味方」(小泉)と無条件に追随してくれる日本は、今や得がたい属国なのである。

 日本の大新聞は、この日米首脳会談を「蜜月」として讃え、産経新聞にいたっては、日米同盟の強化を「普通の国・日本後押し」と讃えている。あたかも日米同盟が対等の同盟になったかのようである。

 小泉とブッシュの「新世紀の日米同盟」とは、アメリカが日本という“打ち出の小槌”を手にすることである。ミサイル防衛の開発に数兆円、自衛隊と米軍の再編と称する一体化に3兆円も、日本が一方的に負担させられるのである。 

 これでは“従属同盟”であって絶対に対等の同盟ではない。このような国を「普通の国」と呼ぶべきでない。

 6月30日に日米両政府が発表した日米投資イニシアチブ報告書の“米側関心事項”には、アメリカ企業が日本企業を買収・合併するために外国株との交換による三角合併を行う際、アメリカの株式から日本の株式かで取り扱いに差異がないことが重要だと指摘している。

 株価が100倍も違う、つまり資本主義の発展段階が違う株価を同等に扱うとしている。またアメリカは日本の病院,診療所経営に株式会社の参入拡大を要求している。

 日本の労働法制についてのアメリカの要求は(1)確定拠出年金制度の拠出限度額の引き上げ(2)解雇紛争に関し、復職による解決に代わる金銭による解決の導入(3)残業代を支払わなくてもよいホワイトカラーエグゼプション制度の導入(4)労働者派遣法による規制緩和を要求している。

 この日米投資イニシアチブは、日本経済のアメリカルールへの変更が目的であり、現在アメリカ財界が進めている「米日の経済統合協定」を最終目的としている。

 アメリカ財界は、技術力の高い日本企業と日本の金融資産を奪い取ることを狙っている。かつてイギリスの銀行が全てアメリカに奪い取られたように、である。

 すでに日本の株式市場の26%の株が外資に買い取られているのである。

 EUの統一通貨ユーロが国際通貨としての地位を高めつつある中で、アメリカは日本をドル圏に囲い込もうとしている。つまり多極化しつつある世界の中にあって、世界第2位の経済力を持つ日本を属国化することで、アメリカは覇権の延命を狙っているである。

 次にアメリカが狙っているのは、日本の集団自衛権の憲法解釈を変更することである。
 軍事的・経済的な日本の力を自己の戦略に利用すること、そのための「世界の中の日米同盟」なのである。

 この“新世紀の日米同盟”を日本の国民に「必要」あるいは「やむなし」と思わさせるために北朝鮮にミサイルを発射させたのである。

 前回テポドン発射時には、日本のミサイル防衛計画への取り込みがあったように、アメリカは狡猾な外交で、日本の戦略的取り込みを進めているのである。

 在日米軍は日本軍国主義を閉じ込める「ビンのふた」というアメリカの論は、小泉の靖国参拝とセットで、中国や韓国や北朝鮮を“反日”に取り込む狙いがあった。

 日本を自立させずアメリカの属国として疲弊させるという、日本の周辺国の戦略をアメリカが画策しているのである。それによってアメリカは日本の戦略的取り込みを計ったのである。中国政府が自国民に反日運動を煽ったのは完全に失敗だった。

 したがって「新世紀の日米同盟」とは、日本にとって属国化であり、アメリカの戦争路線の“片棒”を担ぐことであり、極論すれば“亡国の道”なのである。

 日本人民は対米自立の多極外交による平和主義の堅持をこそめざさなければならないのである。

 小泉首相の「日本は常にアメリカの味方だ」との“ゴマすり発言”は、一国の指導者としてはあまりにも無責任な発言であり、売国奴と言うしかない。

 また対米自立か、対米追随一辺倒か、が問われている時に、憲法の従属条項(9条)を守ることを目的とした「9条の会」運動は、“ピンボケ野党”というべきで、決して「確かな野党」ではない。日本の国民が切実に求めているのは、アメリカの要求にもとづく「改革」(=野蛮な資本主義化)路線との決別である。

 アメリカは、9条改憲ではなく、集団的自衛権の憲法解釈の変更による、日本の戦争動因を狙っていることを忘れてはならない。