No.61(2006年6月号から)

背後に消費税16%の目的税化の狙い

社会保険庁の年金違法免除問題


 「不正隠し底なし」「年金違法免除さらに5県」(朝日新聞)「社保庁不正全国に」「組織の病巣根深く」(日経新聞)などというマスコミの社保庁批判の世論誘導にのせられてはいけない。

 社会保険事務局・事務所が正式な申請がないのに免除手続きをして納付率を上げる手法を取っていたことが「違法」「不正」と糾弾されているのである。

 社保庁では07年度迄に年金保険料の納付率を80%にするという方針が出され、年金納付率の目標を「必達納付率」という言葉を使用して、目標が達成されない場合所長が上京して説明しなければいけないという、上からの圧力があったための結果だと言われている。つまり納付率を上げるため「分母を下げる」ことでノルマを達成しようとしたこと、また年金保険料を納められない人が将来無年金者にならないようにするためもあって、本人に代って国民年金保険料免除の手続きを全国で計8万2040人におこなったというものである。

 大新聞やテレビが大さわぎするような問題ではない。免除手続を本人がしない限り無年金者になる制度が悪いのである。しかもそれが周知されていないことが問題なのだ。

 もっと言えば、終身雇用を放棄し、リストラや規制緩和で生活基盤を破壊させられた人々に、年金保険料など払えるわけがない。満足な仕事もなく、日々バイトで食いつないでいる若者の年金保険料など払えるわけがない。大量失業時代にあって貯金のない家庭が20%をこえ、資本主義が労働者を養う事を放棄した野蛮な資本主義にあって、年金納付率を上げよと命令するほうが間違っている。

 今回社保庁を批判する人々には悪質な狙いが隠されていることを見てとらねばならない。彼らは無年金者を大量に生み出した上で、消費税の福祉目的税16%の導入のテコとして利用しようと企んでいたのである。その彼らにとって将来の無年金者を減少させる社保庁の“分母減らし”はゆるしがたい行為なのである。

 年金破綻の原因を作ったのは、規制緩和によって“弱肉強食”の経済にし、リストラと賃下げと、長時間労働で労働者・人民を生活できないほど追いつめた小泉政権にある。

 驚くべきことは年金保険料すら払えないほどに困窮した人々が20%以上に達していることである.かって1億総中流と言われた日本がである。なさけないことに、このことが問題とはならず、社保庁の無年金者を減らすために免除を代行したことが批判されていることである。「悪法も法だ」と言うのか!? 社保庁が年金資金を目的外にに使いまくっていたことは非難されるべきであるが、今回のことは非難する側に悪意を見てとることができる。

 年金保険料の免除手続きを知らない人々が多くいるのに周知もせず無年金者を作り出して消費税16%導入のテコとしようとする連中こそ批判されるべきである。

 年間3万人以上が自殺し、300万人以上が失業し、多くのパートやアルバイト等の半失業者を創り出した政治が批判されるべきではないか!?  大新聞やテレビが“小泉悪政”の手先となって世論誘導をおこなっていることが問題なのだ。

 労働力を“流動化”して、賃下げをおこなうために終身雇用制を破壊した者達が、年金制度を破壊したのであり、「改革」と称した小泉自公政権の野蛮な資本主義化に、今日の日本人民の貧困化の根本原因がある。

 社保庁は今回に関しては無年金者を無くそうとしたのであり、悪いのは免除手続の必要を報じなかった者、周知しなかった者である。収入の無い人々を多数生み出しておいて、その人達から保険料を取れと言う方が間違っているのだ。

 年金制度を目的意識的に破壊した者達は、無年金者を多数生み出すことで消費税の目的税化を狙い、消費税で年金をまかなえば企業の年金負担が無くなると考えているのである。つまり企業が年金負担を免れることで利益を倍増しようとたくらんでいる者達が、今回の社保庁非難の演出者であることは疑いない事である。

 日本の労働者・人民は、大新聞やテレビの世論誘導の欺瞞にだまされないようにしなければならない。