No.61(2006年6月号から)

小泉「改革」が招いた社会の劣悪化

大量自殺・少子化・福祉の切捨て・マネーゲーム・・・


 最近次々と明らかになる数字や事件が示しているのは、それらが小泉「改革」が招いた結果であり、この国がますます悪い方向に向かっていることを示している。

 6月1日に発表された警察庁のまとめによれば、昨年1年間に全国で自殺した人は3万2552人で、前年よりも227人増え、8年連続で3万人を超えたことが明らかとなった。

 同じ1日に発表された厚生労働省のまとめによると、05年度の長時間労働が原因での過労労災の認定が330人(前年度2.2%増)と過去最多となった。また日本人女性が産む子供の平均数を示す05年の「合計特殊出生率」が1.25と過去最低を更新したことが同じく厚生労働省から発表された。

 6月5日には村上ファンドの代表・村上世彰がインサイダー取引の疑いで逮捕された。

 村上ファンドやライブドアのマネーゲームは、小泉「改革」の“申し子”とも言われており、小泉の進めた“ゼロ金利”と“金融自由化”が巨大な不労所得を獲得するマネーゲームを招いたのである。

 日本郵政公社が5月24日に発表した06年3月期決算は純利益が1兆9306億円と前期に比べて56%も増えている。これは郵便貯金の資金を株式相場に運用し、株価の上昇局面で、評価益が膨らんだことが主な原因である。株価の上昇で各銀行の決算も利益を急増させている。日本経済全体がマネーゲーム化しているのである。

 今国会に提出され審議が進んでいる医療改革法案には、高齢者の患者負担を2倍3倍にする“悪法”である。また4月からの診療報酬改定で、これまで無制限に医療保険が適用されてきたリハビリの利用日数に病気ごとに上限が設けられ、医療現場から猛反発が起きている。

 雇用を“流動化”すると称してパートや派遣や請負等の不安定雇用(半失業者)を増加させる政策がやられている。また弱者切り捨て、地方切り捨ての政治が「改革」の名でやられている。

 凶悪犯罪と自殺は増え続け、医療は高負担となり、金持ちと大企業はマネーゲームでボロ儲けする、これが今の日本社会なのである。

 日本人民は今、日々貧困化し、劣悪化する社会の中で苦闘している。人々が生きるための闘いに直面していることは重要なことである。

 現在の日本社会で起きていることは、すべて小泉「改革」の結果生み出されたものである。それは一口で言えば“野蛮な資本主義化”の結果であり、“日本経済のアメリカ化”のことである。

 「我慢をすれば良くなる」と小泉は人々を騙して「改革」を5年間にわたって進めた。それは政治家が詐欺師と同レベルに堕落したことにほかならないのである。

 拝金思想にとりつかれた経営者は“ヒルズ族”から“拘置所族”になりはてた。ホリエモンや村上は、大金融資本の上前をはねる行為が咎められたのである。

 日本の若者には展望がなく、労働者は急速に勤労意欲を失いつつある。

 大量失業と大量自殺と少子化が示しているのは、日本資本主義が労働者・人民を食わせることができなくなってきていることである。

 「改革」の名で日本社会が劣悪化していることを今広範な人々が憂いているのである。

 経済のマネーゲーム化は、日本を急速に弱肉強食の経済に変えている。地方に大型店舗が進出すれば、地方の商店街が“シャッター通り”と化することは分かっていた事であった。規制緩和とは、資金の巨大な企業が中小企業や商店を絞め殺すことであった。

 今世界中で“民営化”がやられているが、それは利権の再配分であり、国有資産の略奪のことであった。

 「改革」とは高負担で福祉を切り捨てることであった。

 日本は社会的弱者が割りを食う社会となり、“額に汗して働くもの”が貧乏くじを引く社会となったのである。

 経済のマネーゲーム化、軍事面での米軍と自衛隊との一体化、そして法律面では9条改憲のための国民投票法案、「愛国教育」とは思想面での戦争体制作りのことである。

 外交面では対米追随一辺倒の対米属国化である。小泉は今年夏に定例の“参勤交代”にワシントンに行くこととなる。

 日本社会の劣悪化は、“戦争よりも悪い平和”と言えるが、その日本は、アメリカの戦争路線に追随しつつあることの意味をしっかりと認識することが重要となっている。

 日本はすでに商品輸出国からマネー(資本)輸出国になっている。

 企業は多国籍化し、金融的利権は世界中に拡大しており、こうした経済的基盤の寄生性が対米追随の戦争路線を選択させているのである。

 日本人民は結果(社会の劣悪化)から原因(小泉「改革」)を検証して、小泉「改革」の本質が野蛮な資本主義化であることを鮮明にして、属国政治と決別していかなければならない。