No.61(2006年6月号から)

日本の属国化進めるアメリカの陰謀

日米の軍事統合と経済統合進めるブッシュ政権


 日本政府は欺瞞的にも「沖縄の負担軽減」を口実に、在日米軍の再編に3兆円もの負担を約束した。5月2日の日米安全保障協議委員会(2プラス2)では、日米の同盟関係での協力が「新たな段階に入る」事を宣言した。

 この日米協力の新たな段階とは司令部から末端の部隊まで、自衛隊と米軍を一体化することが含まれている。

 5月20日の防衛庁の「米軍再編シンポジウム」ではメア在日米大使館政治部安全保障部長が、在日米軍再編について「一番重要な目標は、我々の同盟能力を維持・向上させることだ」と強調し「米軍と自衛隊をもっと融合して、ある意味で統合する必要がある」と日米両軍の融合・統合に言及したことは重要である。

 7月には日米両政府が弾道ミサイル政策としての「情報共有システム」の構築に向けた検討に着手することになっている。

 日米の一体化は軍事面だけではない。経済面では6月下旬の小泉首相の訪米を前に、アメリカ産業界で自由貿易協定(FTA)よりも幅広い内容を含む、日米間の「経済統合協定」締結の検討を促す意見が浮上している。

 既に日本に進出している米企業で構成する米日経済協議会(本部ワシントン)は、日米経済の統合協定に関する提言を作成していると報じられている。

 また在日米商工会議所のチャールズ・レイク会頭(アメリカンファミリー生命保険副会長)も、日米の政官民が「日米関係をじっくり話し合うべきだ」としており、アメリカ産牛肉の輸入再開が解決すれば、「統合協定の討論に弾みがつく可能性もある」(日本経済新聞)といわれている。

 日米の軍事統合と経済統合とは自衛隊を米軍の一部とすることであり、日本経済をアメリカが略奪支配すること、つまり日本の対米属国化を一気に強化することなのである。

 日米の従属・支配の関係において「統合」とか「融合」とかいうものは「支配」と同義なのである。

 アメリカが世界通貨としてのドルの発行権を持っている以上、日米の経済統合はドル圏への取り込みであり、アメリカ金融資本による日本のドル支配のことである。

 このことは、アメリカがEUのユーロを意識して、日本をドル通貨圏に囲い込むものであり、事実上ユーロとドルの通貨戦争が始まっていることの反映であり、世界のブロック化、もしくは多極化が経済面で進んでいることを意味している。

 最近のドル下落は、原油高値で一大金融資産を保持する中東産油国が、ドル暴落を恐れて外貨準備をドルからユーロにシフトしていること、さらには中南米とEUのドル離れなどが反映しており、イラクの泥沼化とアメリカの孤立化の反映と言える。つまり現在のドル安が教えているのは、ドル支配が“落日”を迎えていることである。世界の国々は“落日”の覇権主義の凶暴性に警戒しなければならないのである。

 資本主義の不均等発展の法則はアメリカの世界経済に対する相対的な力を減退させており、明らかに世界は多極化へと向かっている。

 アメリカが“日米同盟の新段階”として軍事一体化と経済の統合を進めているのは、多極化の中で日本の対米自立の好機が生まれているので、それを恐れ、防止しようと日米従属関係の深化を狙っているのである。

 アメリカルールの下で経済を統合すれば、1200兆円といわれる日本の個人金融資産は奪い取られ、日本の銀行も大企業も、アメリカ金融資本に支配されることはわかりきったことである。

 小泉首相は「日米同盟の新段階」について、国民に対する説明責任も一切果たさず、独断で日本の運命を決する属国化を受け入れている。

 日米関係については、アメリカの高官が一方的に日本の3兆円もの負担を発表するなど、重大な戦略的・売国的決定が、日本政府の国民に対する説明もなしに決まっていく“なさけない”現実がある。

 世界が一極支配から多極化へと動いている時に、日本は反動的戦争勢力として孤立しているアメリカに追随して大丈夫なのか? 日本は無一文になって、アメリカの“戦略的捨て石”にされるのではないか?  日本人民は国際政治の非情さを忘れてはならず、戦争勢力に追随して“亡国”を招く危険に反対し、対米自立の必要条件を整える多極外交への転換を要求しなければならない