No.60(2006年5月号から)

日本を監視社会にする「共謀罪」新設反対!

思想の取締りが狙いか?


 4月21日の衆院法務委員会で、政府が提出した「共謀罪関連法案」の趣旨説明が強行されました。この法案は、国連総会で採択された「国際組織犯罪防止条約」の加入条件を表向きの法律新設理由にしています。グローバル化の中で犯罪も国際化していることの反映と言えなくもありません。

 しかし困ったことに、この法案は「国民を国際組織犯罪から守る」と言いながら、法案で取り締る対象を「国際組織的、犯罪集団」とは限定していないのです。犯罪を実行しなくても、何人かで話合って合意しただけで罪になる「共謀罪」は、対象となる罪が(死刑または無期もしくは刑期4年以上の懲役、もしくは禁固の刑)、619もの広範なものとなっています。

 これでは市民運動も労働運動も取締りの対象になります。この取締りのためには警察は盗聴を大規模におこない、スパイを市民運動団体や労働組合に送り込むことになります。つまり日本弁護士連合会が危惧するように「思想の取締りにつながる」のは確実です。

 罪刑法定主義(ある行為を犯罪として処罰するためには立法府が制定する法律において、犯罪とされる行為の内容、及びそれに対して科される刑罰を予め明確に規定しておかなければならないとする原則)が崩れ、何人かで話合って合意しただけで「共謀罪」が成立します。例えば長時間の団体交渉を計画し、話合っただけで組織的監禁共謀罪で逮捕されかねず、マンション建設反対の阻止行動を話合っただけで、組織的威力業務妨害共謀罪になる可能性があります。

 日本では今も、警察の別件逮捕がまかり通り、ビラを郵便受け箱に配布するだけで逮捕され長期拘留される例があります。このように民主主義が形骸化している社会で「共謀罪関連法案」が成立すれば“現代の治安維持法”として運用されることは避けられないのです。

 日本ではすでに盗聴を合法化する盗聴法(犯罪捜査のための通信傍受に関する法律)ができており、その上に「共謀罪」が立法化されれば“盗聴”と“スパイ”“密告”の社会となり、もの言えない人権無視の社会になりかねないと危惧されています。盗聴と監視カメラの中で、国民は警察のスパイに気を使い、かつての軍国主義の時代のようにもの言えぬ社会、他人をスパイではないかと不信の目で見る陰湿な相互監視社会・警察が無限の権力を持つ警察国家になる可能性が強いのです。

 政府が本当に「国民の一般的な社会生活上の行為が本罪に当たることはありません」と言うなら、法律の対象を外国のマフィアや暴力スリ団や、テロ組織に限定すべきです。「共謀罪関連法案」が国民の人権を大きく侵害する可能性が強い上、私達は同法案に絶対反対の姿勢を置くほかないと考えます。

 与党(自民・公明)と小泉政権は、日本をアメリカルールの社会にしようとしており“反テロ”を口実にして“現代の治安維持法”を成立させようと狙っています。

 現在の日本では無差別テロは起きていないのに、なぜ小泉政権はこのような反民主主義の法案を成立させようとしているのでしょうか? そこには自由化・民営化・規制緩和によって極端な格差社会に、日本がなりつつあること、つまりグローバル化にともなう野蛮な資本主義化の進行が、組織犯罪(特に企業や暴力団)を助長すること、社会を“勝ち組”“敗け組み”に分断するアメリカモデルの社会への移行は、必然的に広範な敗け組みである被抑圧階級の反抗を生み出します。今回の「共謀罪」がこうした人民大衆の反抗に焦点を合わせているのは疑いないことです。

 思想・信条の自由を踏みにじる法律は憲法違反であり、考え、話合うだけで人を処罰するような非民主的法律の立法化を許してはならないと考えます。

 「共謀罪関連法案」が、アメリカによる日米の軍事一体化と、日本の出撃基地化の進行と一体の法案であることを見てとらねばなりません。米戦略の下での日本の侵略体制整備の一環としの「共謀罪」なのです。

 日本の監視社会・スパイと密告の社会へと導く「共謀罪関連法案」の成立を阻止しましょう!