No.60(2006年5月号から)

日本は米覇権主義の“捨て石”とされる

日米新時代の意味するもの


◆日本の属国化促した反日運動の誤り

 日本人の目には異常とも見える中国・韓国の反日運動にはさまざまな背景がある。一般的に言われているのは、両国とも反日を利用して政権の支持率を高めようとしている。というものである。だけどこれは一側面にすぎず、他に戦略的な狙いがあることを知らねばならない。

 かつてアメリカ政府と軍の高官達が、ことあるごとに「在日米軍は日本軍国主義のビンのふただ」と発言した。この「ビンのふた」論は、在日米軍は中国や朝鮮の人々にとって脅威ではなく、むしろ日本軍国主義の脅威をなくしている。と欺瞞的にアメリカ覇権主義を正当化するものであった。

 しかし中国と韓国の「反日運動」はこれ以後激化するのである。

 現在進められている米軍と自衛隊の軍事一体化に中国が反対していないことも不思議である。むしろ中国も韓国も北朝鮮も、日本の属国化を容認しているように見える。

 アジア諸国は日本の対米自立が再び軍事大国化を招くことになることを恐れているのである。アジア諸国に、こうした共通する“恐れ”を抱かせているのが小泉首相の靖国参拝であることは間違いない。A級戦犯を崇拝するかのような小泉の行動が、日本の対米属国化をうながす在日米軍と自衛隊の一体化を「正当化」させている。中国や韓国の狂気じみた反日から日本を防衛するにはアメリカに守ってもらうしかないと、日本の人々に思わせているのである。

 つまり日本人に最も愛国的と思われている小泉の靖国参拝が中国や韓国を刺激して、アメリカの日本属国化を容認し、アメリカの日本の金融と軍事的支配という売国的な属国化外交を「正当」なものと見せかけているのである。

 かつての中国の指導者毛沢東は「日本のような偉大な民族が長期にわたって外国人の支配を許すはずがない」と語って日本の対米自立を支持した。しかし今の中国の指導者達は、毛沢東を裏切った“走資派”であり、彼らは中国がアジアのリーダーであり、アジアの覇権を狙ってアメリカの日本属国化を容認し、米軍が近い将来アジアから撤退した時に、アジアの覇者となる戦略を持っている。

 他方アメリカは、資本主義の不均等発展で相対的に衰退しつつあるので、日本の自衛隊を自分の軍隊にして覇権の延命を狙っている。

 日本が対米自立しようとするなら、アメリカと中国・韓国、そして日本の売国派指導者達の“靖国参拝”と“反日運動”の欺瞞的世論誘導にだまされないようにすることが重要である。

◆国際政治の非情さを知れ

 アメリカを民主的で穏やかな勢力と見誤ってはならない。中国が「ビンのふた」論でだまされ容認している日本の属国化で、日米の軍は一体化し、その指揮権はアメリカが握れば、矛先は中国に向かう事になる。中国にとっては日米同盟の新段階は危険この上ない脅威となる。反共のアメリカは、一党支配を容認するはずがなく、中国やロシアのような大国こそアメリカの覇権の競争相手と認識しているので、この両国の解体が今もアメリカの戦略目標となっている。ただ現在のところイラク占領が泥沼化しているので「敵でも同盟国でもない協調関係」をとっているに過ぎないのである。

 このことはアメリカが、資本主義化をすすめるロシア(当時エリツィン大統領)に急進的資本主義化政策を助言して、意図的にロシア経済を破綻させ、ロシアから核戦力を維持する経済力を奪い取った例を見てもわかる。アメリカの戦略は自国の覇権を脅かす大国(日本・ロシア・中国)を属国化するか解体することにある。旧ソ連の勢力圏であった東欧や中央アジアの国々は今やロシア圏ではない。中国や韓国が“反日運動”を煽ってアメリカの日本属国化を容認している誤りは明白である。

 帝国主義の新段階が覇権主義であるのだが、このアメリカ覇権主義が一極支配を追求している下での世界の国々と人民の闘いは、アメリカ覇権主義に反対することであり、これが国際統一戦線の今日的課題となっているのである。

 中国がアメリカに膝を屈し、日本主敵の外交をとる姿勢は、国際統一戦線に対する裏切りであるだけでなく、毛沢東の「第三世界」論に基づく反米路線に対する裏切りでもある。

 日本とロシアと中国は、多極協調外交によって一極支配に終止符を打つ和平外交をブッシュの侵略路線に対置しなければならない。

 日本にとって、「日米同盟の新段階」とは、日米が「一蓮托生」の関係になるのではなく、日本がアメリカ覇権主義の“使い捨ての手駒”となる関係にすぎない事を知らねばならない。

 “寄らば大樹の陰”というのは農耕民族のお人好しである。大国にとって属国とは自己の戦略目標を実現する“捨て石”であり、国際政治とはそうした非情なものだということを知っておくべきである。つまり日本にとって“日米安保安上がり論”の時代は終わったのである。米軍のための3兆円もの負担はやがて亡国につながるのである。