No.60(2006年5月号から)

経団連の身勝手な消費税10%案

他方で法人税の引き下げや廃止を提案


 日本経団連(奥田碩会長)は、4月18日「歳出入一体改革に関する中間とりまとめ〜スリムで強靭な政府の構築を求める〜」を公表した。

 この長いタイトルの政策要求は、もっともらしい「改革」と称したうたい文句とは裏腹に、大企業の利益だけを追求し、社会保障給付の見直し、消費税を段階的に10%に引き上げ、法人税は引き下げるというもので、これに公務員の削減と地方の歳出総額の削減で、国地方の債務を削減しようとするもので、大企業だけが利益を受ける「改革」案となっている。

 日本経団連の「歳出入一体改革」なるものは要約すると以下のようなものである。

(1)行政では公務員制度の改革と情報通信技術の有効活用
(2)財政では地方財政の縮減
(3)社会保障では年金、医療、介護の給付の抑制、見直し、社会保障と税の共通番号、社会保障個人会計の整備
(4)税制では、国際競争力に資する法人課税の見直し(法人実効税率の引き下げ、減価償却制度の抜本的見直し、地方における法人所得課税の段階的な廃止、地方消費税の拡充、できるだけ早期に消費税率を段階的に10%に引き上げる)

 問題になっている国・地方の長期債務残高が対GDP比で150%を超えるほど、わが国の借金が膨れ上がったのは、大企業が公共事業などで国・地方の予算を食い散らかした結果なのである。今度はこの借金の穴埋めを、人民大衆の消費税増税でまかない、あわせて法人税を削減・廃止して企業の利益を増大させようとたくらんでいるのである。これでは自分の借金をこじつけの理由で他人に支払わせる詐欺師と変わらない。

 経団連は2004年に消費税の16%への引き上げの必要性を主張していたが、今回の中間とりまとめはそれを段階的に行なおうとするものである。

 日本の大企業の溜め込んだ利益(内部留保)は80兆円の規模にまで膨れ上がっており、他方人民大衆の預貯金は大幅に減少している。

 大企業が作り上げた国・地方の借金の返済は、本来大企業が溜め込んだ利益に対する法人課税・資産課税によってまかなうべきであり、人民大衆への福祉の切捨てや増税や地方切捨てでまかなうべき性質のものではない。

 日本経団連が「政治献金」の名で政治家を買収し、自分達の利益のみを「改革」として追求した結果、日本は野蛮な資本主義・弱肉強食の格差社会となった。

 日本経団連の今回の「中間とりまとめ」は、この野蛮な資本主義化をを一層進展させ、地方の切捨てと大衆課税によって、日本の個人消費を大幅に減少させようとしている。その結果は、日本経済は急速に内需依存から外需依存の経済に変わり、侵略性を強めることになる。つまり経済構造の侵略性の強まりが、上部構造の反動化と軍国主義化をうながしているのである。

 日本経済の今回の身勝手な政策要求に見られるように、最近の日本社会の最大の問題は、大企業の“なんでもありの経営”によって企業の犯罪が急増し、日本経団連は今や犯罪企業集団の様相を呈していることである。

 日本経団連が金で買った政治力を武器に日本を崩壊へと導く「改革」(実は私的利益誘導)を許してはならないのである。

 日本経団連の身勝手な法人税減税と消費税10%増税提案に反対しなければならない。

 日本人民の今日の困難は、アメリカと日本の二重の支配から来る搾取・収奪によってもたらされており、対米追随と地方と弱者切捨ての政治をこそ改革しなければならないのである。

 日本人民は対米自立によって、民族の自立と平和主義の政治・弱者と地方重視の政治を確立しなければならない。

 “富の一極集中”の小泉「改革」を粉砕せよ!