No.60(2006年5月号から)

米戦略下での日米軍事一体化狙う

沖縄の負担軽減は口実


 米軍の地球規模でのトランスフォーメーション(再編)の一環として、日米両国は5月1日の日米安全保障協議委員会(2プラス2)で在日米軍再編に関する「ロードマップ」に合意した。

 2プラス2の共同発表文によれば、日米同盟関係は「地域及び世界の安全保障環境における変化に成功裡に適応してきており」とか「地域及び世界の平和と安全を高める上で極めて重要な役割を引き続き果たすよう協力を拡大」というふうに、全世界を対象とした日米同盟が強調されており、アメリカの新戦略に基づく“不安定の弧”に対応する在日米軍と自衛隊の再編である。

 とくに注目すべきは表面上“沖縄の負担軽減”を突出させて、実際には米軍と自衛隊の軍事一体化・日本の前線司令部と出撃基地化であり、その費用を、日本が「260億ドル(約3兆円)」(ローレス米国防副次官)負担するというものである。いわばアメリカの侵略戦争に日本を組み込み、合せて日本の国家予算を略奪するというのが「在日米軍の再編」である。

 その具体的内容は、米海兵隊の新出撃基地をグアムと沖縄に新設し、“殴り込み部隊”である米陸軍1軍団司令部と陸上自衛隊中央即応集団司令部を神奈川県キャンプ座間に移転、空母艦載機を厚木から岩国基地に移転、航空自衛隊司令部を府中から米第5空軍司令部のある横田に移転、嘉手納の米軍F15戦闘機隊の訓練を本土の空自6基地に移転、さらには有事に米軍を運ぶ高速輸送艦を導入すること、また岩国に給油機部隊を配属することなどを内容としている。

 つまり在日米軍の再編だけでなく自衛隊の実践化に向けて再編することが“セット”になっているのである。

 それにしても「3兆円」とは、アメリカも吹っ掛けたものである。当初の予算では総額1兆円といわれていた。それが3倍にもなったのはブッシュ政権首脳と関係の深い米軍需産業のカーライル・グループ等をグアムの新基地作りに参加させ、高い利益を与えるためと見られている。

 安倍官房長官は「途方もない額」などと第三者のような発言をしている。3兆円を他国のために出費するのに、日本政府はいまだに国民に何らの説明責任も果たしていない。小泉首相にいたっては、3兆円の費用負担についての法案は次の国会に先送りすることを表明している。自分は9月までの任期だから、やっかいな事は次期政権に“丸投げ”という無責任極まりない態度を取っている。

 何の説明もなく「沖縄の負担軽減」の表面上の理由だけで、日本を戦争路線に巻き込むことは、納得できない事である。

 毎度の事ながら、アメリカの要求を一方的に受け入れるのが小泉外交なのである。小泉はアメリカのために、日本が3兆円も負担する法的根拠を説明すべきである。

 ウソを口実に国民をだましてイラク戦争に突入させ多くの人々を殺した事で、ブッシュはアメリカ人民の非難を受けている。小泉の自衛隊のイラク派兵は、アメリカに強要されてから、国民をだまして法律(イラク特措法)を作って対応した、これが日米の支配従属関係の現実ではないか!

 今回の「米軍再編交渉」もアメリカのプランを一方的に受け入れただけである。とても評価できるものではないのだ!

 しかし防衛庁幹部は「安保改定にも匹敵する、百年に一度の日米関係見直しだ」(選択5月号)といっている。新聞報道でも日米両政府が「日米同盟の協力が新しい段階に入る」と言っている。

 新段階の中身は、米軍と自衛隊の軍事一体化を先行させ、参戦のための法整備を進めることを次の課題とし、日本の国家予算を含めた米戦略への取込みである。

 つまり日米同盟の次の課題は、集団的自衛権の見直しと、9条改憲によるアメリカの戦争への自衛隊の戦場投入である。国民投票法案は、改憲に向けた“布石”である。

 イラク戦争を見ても分かるようにアメリカはイラクの油田を手に入れたが、日本は負担と危険だけかぶることになる。

 アメリカが日米同盟を重視するのは、日本の国力を自己の戦略に利用しつくす為である。現在のブッシュ政権は、戦争で儲ける人達で構成されているのである。

 つまりアメリカの侵略戦争への日本の“組み込み”は亡国路線と言うほかないのである。日本人民は、日米協力の名によるアメリカの、日本の国家予算の分捕りと戦争動員に反対し、集団的自衛権の憲法解釈変更と9条改憲に反対しなければならない。

 日本は対米自立によらねば、平和主義を堅持できない時代が来ているのである。