No.58(2006年3月号から)

イラク人同士を戦わせる米軍の占領統治

宗派対立は米軍の陰謀である


 泥沼にはまったアメリカ軍の、イラク占領統治策が明確になってきている。

 先月22日のシーア派の聖地、アスカリ廟爆破の後、イラク中南部全域でシーア派民兵などによるスンニ派モスクや住民への攻撃が広がっていると報道されている。

 イラク駐留米軍のケーシー司令官は、3月3日の記者会見で30のモスクが攻撃され、民間人約350人が死亡したことを明らかにした。

 しかしその後の報道によればシーア派の聖地アスカリ廟などの爆破は米軍特殊部隊がおこない、宗派対立を煽っていることが伝えられており、イラクの各団体はアメリカの陰謀に引っかからないようイラク人民に呼びかけている。アメリカは傭兵を双方の宗派に潜りこませ、住民を無差別に攻撃して「宗派対立」を演出している。

「宗派対立」がアメリカの意図で激化して以降、米軍とスンニ派武装勢力が戦っていた図式が一変し、シーア派とスンニ派の戦いで米軍は傍観を決め込み、したがって米軍の犠牲は急減している。

 古くからイラクではシーア派とスンニ派住民は平和的に共生してきたのであるが、米軍はイラクの占領統治が行き詰る中で、植民地を争わせて支配するという手法を用いている。かつての帝国主義の分断支配の手法が、アメリカ軍占領下のイラクで復活したのである。

 しかし、イラクの先進的人々は、イラクにおける主要な矛盾がアメリカ占領軍とイラク人民の矛盾であることを忘れておらず「宗派対立」あるいは「内戦」はアメリカ軍の陰謀であることをすでに見抜いている。

 イラクを北部のクルド族、中部のスンニ派、南部のシーア派と3分割し、対立させて混乱と治安維持を口実に、アメリカ軍が長期に居座る狙いであることがうかがえるのである。

 イスラム圏がスンニ派とシーア派の二つに割れて戦えば、イスラエルの占領地の拡大・維持にとっても有利となるし、イラクのアメリカ占領軍は高みの見物を決め込むことが出来るのだから、アメリカのイラク統治はより安全になる。

 イラクの良識ある指導者達が聖地爆破の米英に対して報復を呼びかけているのは正しい判断といえる。

 アメリカのイラク「内戦化」による“イラク人同士を戦わせる”という占領謀略は逆にイスラム圏を団結させ、イラク人民を団結させて、反米愛国の民族統一戦線を誕生させる可能性が生まれていることを見てとらねばならない。

イラク国内では、すべての情報がアメリカ軍を通じて流れており、このアメリカ軍による情報操作が一時的にイラク人民を「宗派対立」へと向かわせても、真相はしだいに明らかとなり、最後はアメリカの陰謀は破綻をまぬがれないであろう。

 占領地の人々を互いに戦わせる手口は、ベトナム戦争での“ベトナム化”の占領統治と同じものであり、使い古された侵略者のヤリ口である。

 イラク人民と各宗派勢力は、イラクにおける主要矛盾が“米占領軍とイラク人民の矛盾”であり、アメリカ軍が撤退しないかぎり、この矛盾は変わらないことを鮮明にして、イラクの真の独立をめざし反米・愛国の民族解放戦争を持久的に展開しなければならない。