No.57(2006年2月号から)

行政責任と更なるもの −ライブドア事件の闇−

投稿 文筆家 佐藤 鴻全  


21cジャーナル編集部に佐藤 鴻全氏より投稿がありましたのでご紹介します。
佐藤氏のホームページ

◆首相の反省

 一連のライブドア事件に関し、小泉首相は当初、昨年9月の衆院選で自民党がライブドア前社長の堀江貴文容疑者を実質支援したことについて「事件と選挙応援は別問題」と発言していた。

 しかし、先月末になり、世論の非難に押されて「私も党本部で会って写真を撮った。幹部も応援した。総裁・小泉の責任と批判されるなら甘んじて受ける」と責任を認めた。

 その上で「メディアが(衆院選の際に堀江前社長を)持ち上げ、他の候補者に比べてはるかにテレビに出させた。逮捕されると、手のひらを返すのもどうか」とメディア批判も改めて展開した。

 この嫌々ながらの反省の弁は政治家以前に社会人としての常識も疑わせるが、首相に道義的責任感を求めるのは、元々八百屋に行って魚を求めるようなもので無い物ねだりであった。

 世間も、小泉首相のこの「憎めないキャラ」から発せられた反省の弁によって早くも免罪したようで、事件によって50%を大きく割り込んでいた内閣支持率は再び回復し、ホリエモンと新生ライブドアの運命はともかく政治的には事件は幕引きへ向かう気配が濃厚になっている。

◆行政責任と更なるもの

 さてしかし、ここで忘れてはならないのは、小泉政権はホリエモンを選挙に利用しただけで無く、一連の事件および疑惑の持たれている期間についてライブドアを監督すべき立場に立っていた事だ。投資事業組合を使った偽計取引、マネーロンダリング、粉飾決算等々。

 これらについて、見抜けなかった証券取引等監視委員会、金融庁、ライブドアの宮内氏が取引に関しお墨付きを貰っていたとする国税当局等の行政責任は免れない。

 これらについて、証券取引等監視委員会を始めとする行政機関はどのような情報収拾、検討、意志決定を行ったのかそのプロセスを白日の下に晒すべきであろう。それが、事件の再発を防ぐための法令、組織体制の見直しには不可欠である。

 更に、時間外取引を使ったニッポン放送株取得では、村上ファンドの村上世章氏や外資系証券会社が「たまたま売りに出していた」株を数十分の内にライブドアが取得し、累計約35%を取得、同社筆頭株主になった。

 これについて証券取引等監視委員会と金融庁はお咎め無しとしたが、筆者は当時「政権に近いとはこういう事か」と素朴に思ったものである。同じような感想を持った国民は多かったはずだ。

 一説では、検察は既に官邸と手打ちが済み、事件をこれ以上拡大させない方針を決めたとも聞く。

 しかし、正すべきものがあるとするならば、国民の信頼と正義感を裏切らぬよう信念に従って行動して頂きたい。

 また、立法府においては、野党はたとえ行政責任の面からだけでも当時の担当大臣等を喚問する必要がある。

 ホリエモン一人が消えて丸く収まる子供騙しで済ませるなら、野党に存在意義は無く直ちに解党すべきだろう。