No.57(2006年2月号から)

小泉「改革」ではびこる「なんでもあり」の経営!


 ホテルチェーン大手の「東横イン」の偽装工事問題が世論の非難を浴びている。

 「東横イン」は障害者用の室やトイレや駐車場など条例で定められた施設の違法な改造を全国のホテルで行ない、その結果建築基準法に定める容積率をオーバーしていたというものである。この偽装は21都道府県で60棟以上にのぼっている。

 「東横イン」の社長がテレビカメラの前で「条例に違反しました」「自動車で言えば制限速度が60kmを67kmから68kmでオーバーしていたようなもの」と、まったく罪悪感を持たずに“アッケラカン”と語っていたことが人々の怒りをかきたてた。

 この経営者の考え方の背後にあるのは、小泉首相の「規制緩和」の政策の下で、経団連などが法律違反の既成事実を作り上げ、そのことを根拠に規制を緩和してきた手法が“習い性”となっていることがある。特に労働分野の規制緩和についてはこの手法が広く用いられてきたのである。

 “東横イン”の社長が最初の記者会見で反省のそぶりも見せず、事故の法律違反をしゃあしゃあと認める発言をした背景にはこの既成事実作りという発想が存在していたこと、また利潤追求のためには何をしても良いという「なんでもありの経営」がはびこっている結果である。

 法律違反のパートや派遣や請負などの不安定雇用は既成事実を先行させたうえ、実態を追認する型で不安定雇用の「合法化」が次々と進められたのである。こうした既成事実先行の手法は経営者の常套手段である。

 資本主義の最低限の「規制」は、社会にとって必要なものであり、これがなければ自由競争は社会そのものの破壊、あるいは労働力の食いつぶしを招くことになり、人々の安全が脅かされ、社会的弱者が犠牲にされる社会になる。

 つまり規制緩和は野蛮な資本主義を招くのである。

 建築設計の強度偽装も同様の利潤第一の経営がもたらしたものである。より多くの利潤のために鉄筋の量を減らせば安全が犠牲になるのはわかりきったことである。

 107人もが死亡したJR西日本の尼崎事故が示したものは、民営化で私鉄との競争を優先して、列車のスピードアップを追求した結果、おこるべくしておきた“人災”であった。

 ライブドアも利潤第一で株価を吊り上げるマネーゲーム的手法が違法行為を招いたのである。

 小泉が推し進めた弱肉強食の野蛮な資本主義化が、日本の経営者の中に熱狂的拝金主義をはびこらせ「何でもありの経営」が法律違反へと平気で突き進む風潮を生んでいるのである。

 「規制緩和」「民営化」「自由化」の政策が、日本経済が育んできた日本企業の大切なものを破壊しつつあるように思える。

 拝金思想に取り付かれた「何でもありの経営」は、日本の経営者の多くを欲望を抑制できない犯罪者にしつつあるといえる。

 「構造改革」と称して規制緩和・自由化・民営化を日本に強要したアメリカの真の狙いは、日本に拝金主義をはびこらせ、強欲な経営者の腐敗による、日本経済の弱体化と、それによって可能となる金融支配にあったのである。

 かつて驚異的成長を遂げた日本経済は「構造改革」によって低成長となり、もはやアメリカの脅威ではなくなったのである。

 人々は今、生活実感を通して「改革」によって高負担となり、貧富の差が拡大し、日本社会が悪化しつつあることを認識している。

 政府がいかに「格差は拡大していない」と強弁しても、それは嘘だということは明らかだ!  アメリカのために、日本社会を悪く「改革」することが対米従属の政治なのである。