No.54(2005年11月号から)

米戦略に自衛隊組み込む軍事一体化

危険な日米同盟の「変革と再編」の合意糾弾!


 日米両政府の外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)が10月29日にワシントンで開かれ、在日米軍の変革と再編(トランスフォーメーション)に関する「中間報告」が合意の上発表された。

 中間報告はT、概観で日米同盟が世界の安全保障環境の変化に応じて発展しなければならない事を提起し、日米の「共通の戦略目標」を追求する上でのU、役割・任務・能力とV、兵力体制の再編の二つの部分からできている。  U、は「日本の防衛及び周辺事態への対応」と「国際的な安全保障環境の改善のための取り組み」の二つの分野にわけている。とりわけ重要なのは「国際的な安全保障環境を改善する上での2国間協力は、同盟の要素となった」として地球規模での日米軍事協力が主要な日米同盟の任務となったことを明確にしていることである。

 ここで具体的に列挙されている2国間協力とは「弾道ミサイル防衛」「拡散阻止活動」「テロ対策」「機雷掃海」「監視・偵察」「人道救援活動」「復興支援活動」「平和維持活動」「在日米軍施設の警護」「大量破壊兵器への対応」「後方支援活動」等といったおよそ戦闘以外の全分野に及んでいる。

 ここでいう2国間協力とは戦争をするのはアメリカであり、それを自衛隊が支援する事である。

 そして協力態勢を強化するため「共同作戦計画」「相互協力計画」についての検討作業の必要を確認、合わせて日本の空港・港湾を「自衛隊及び米軍が緊急時に使用するための基礎が強化された日本の有事体制を反映するものとなる」としている。

 このための各レベルでの運用の調整、計画検討作業、情報の共有、相互運用性の向上、共同訓練機会の拡大、施設の共同使用、弾道ミサイル防衛(BMD)での緊密な連携などを進めるとしている。つまり日米軍事協力とは明らかに米軍の指揮下での軍事一体化のことである。

 Vの「兵力態勢の再編」では、(1)「指針となる考え方」として日本は米軍に対して「追加的かつ補完的な能力を提供する」こと、「米軍と自衛隊のプレゼンスは、地域や世界の安全保障環境の変化と、日米同盟における役割と任務についての両国の評価に伴って進展しなければならない」として、世界情勢の変化と米戦略の中に日米同盟の強化を位置付けていつことである。

 (2)「再編に関する勧告」では、横田基地に共同統合運用調整所を設置する事、キャンプ座間への米陸軍司令部と陸上自衛隊の新司令部設置、米空軍司令部のある横田基地に航空自衛隊司令部を移転、ミサイル防衛に伴うアメリカの新レーダー基地を日本(青森)に建設する事、米海兵隊の緊急事態への対応能力の強化、普天間ヘリ基地に代わる最新鋭の新基地を日本がキャンプ・シャウブに建設する。海兵隊の声援要因など7000人削減し、内3000人〜5000人をグアムに移転する。空母艦載機の厚木基地から岩国基地へ移駐する等を盛り込んでいる。

 この他日本は有事に米軍を運ぶ高速大型輸送艦を導入する事、沖縄の新米軍基地建設などの経費(約数千億円)やアメリカ海兵隊のグアム基地の施設建設費用を日本が負担する事、日本政府はこれを一般の防衛予算と分離した「米軍再編枠」を新設する事を約束している。これは総額1兆円を超える第2の思いやり予算というべきものである。

 つまり日米同盟の変革とはアメリカによる日本の国家予算の分捕りのことなのである。

 このほか日米政府は10月27日に横須賀を母港とする通常型空母キティーホークが退役するのに伴い、後継としての2008年にニミッツ級の原子力空母を配備することで合意公表した。

 以上が今回の日米同盟の強化の主要な合意内容である。

 日米同盟の強化と称していてもその内容は、日本の戦力と経済力をアメリカが自己の戦略に取り込む事であり、アメリカがイラクの泥沼化で自覚した自己の戦力不足をカバーしようとする狙いがある。したがって今回の日米同盟の「変革と再編」の中心は自衛隊の司令部をアメリカ軍司令部の下に置き、双方の軍事一体化を推進し、結果日本の自立を防ぎ、日本の対米従属を一層強化するものである。

 多極化の傾向を強める世界の現状にあって、アメリカは世界第二位の日本の経済力と自衛隊を自己の戦略下に置くことで覇権の再構築の夢を追っているのである。

 現在日本政府と自民党が進める改憲は、この日米同盟の変革とセットとして位置付けているアメリカの為の“従属改憲”といえるものである。

 覇権を目指す侵略国家に追随する危険は、ナチス・ドイツに追随して亡国の憂き目をみたことでもうたくさん、というべきである。

 世界の多極化は、食料と石油をアメリカに依存している日本にとって、多極外交の展開によって自立が可能となる好機なのに、小泉はアメリカに追随・貢献すことばかりを考えているのである。  アジアの平和を守る外交努力もせず、自己の売国奴としての正体を隠すための靖国参拝で、アジアを敵にまわす小泉外交は対米追随の売国路線というべきである。

 我々は、日本の民族的悲願である自立による平和路線堅持の立場から今回の2プラス2による地球規模での軍事一体化、すなわち日本のアメリカ戦略への取り込みによる従属の固定化に断固反対する。

 日本は平和主義を堅持する道を対米自立に求める以外にないと我々は考えている。