No.53(2005年10月号から)

批判者を失った翼賛政治の危険!

“自民もどき”となった民主の裏切り!


 衆院の代表質問を経て民主党の前原新代表の政治姿勢が明確になってきた。前原は「民主党は国民全体の利益になることなら政府・与党に協力します」とし、主要な政策課題には対案を示し、「真の改革を競い合いたい」との考え方を示し、民主党の政策をこの方向で具体化している。

 まず郵政民営化の対案では、郵便は公社、貯金は預け入れ限度額を段階的に半額の500万円に引き下げ縮小する。簡保は廃止といった内容である。貯金の縮小は、赤字を増やし、いずれ廃止につながるので民主党案は、郵貯・簡保の廃止というアメリカ案に極めて近いといえる。これは民主党がアメリカの方に顔を向けることが政権への近道と考えていることを示している。

 公務員の削減については自民党は5年で5%、10年で10%削減を主張し、民主党は「2割削減がスタートライン」だとしている。これでは“50歩100歩”である。

 議員年金制度の見直しには前原代表は「いいことはどんどん協力していけばよい」と語っており、ここでも自民党と民主党との政策的違いは見られない。こんな前原を小泉は「前原さんなら入閣間違いない」と評価した。

 憲法については衆院に「日本国憲法に関する調査特別委員会」の設置が自民、民主、公明の賛成で決まった。また民主党憲法調査会は10月5日に「憲法提言」の原案を示した。それによると@平和主義A制約された自衛権B国連の集団安全保障活動(武力の行使を含む)への参加C民主的統制(シビリアンコントロール)の4原則を明確にするとしている。これでは改憲でも自民党と民主党の間に違いを見つけるのは難しい。

 前原民主党の政策を見る限り、民主党は先の総選挙で自公政権よりは良いと思って民主党に投票した人々を明らかに裏切っているといわざるを得ない。

 マスコミの翼賛選挙に載せられて“うっかり投票してがっかりしている国民が多い”といわれるのもうなずける話である。

 総選挙後、国民の66%の人が今後の生活に不安を感じているのも翼賛体制下の増税路線の反映である。かれらの「小さな政府」とは国の支出を削減し、変わって国民の負担を増やすことになるのである。

 小泉は郵政民営化だけで選挙を戦いながら今では大増税も改憲も何でも通る翼賛体制なので悪法をどんどん作ろうとしている。

 この自公民体制はいずれもアメリカの要求する構造「改革」を推進する立場であり、アメリカに自己を売り込むために「「改革」の「競い合い」をやり「いいことはどんどん協力する」のだから、これはもはや小泉独裁体制と呼ぶべきかもしれない。

 日本の政治で何が問題なのか? それは日本の政治が「外圧」で左右されること、すなわち対米追随であることが問題なのである。日本国民の個人金融資産でアメリカの国債を買い支えることで、アメリカの財政赤字の穴埋めに使われ、自衛隊がアメリカの戦争に「貢献」の名で動員される。自公民はこのアメリカのための政治に賛同しているのである。かれらの改憲はアメリカのためのものである。

 それでは9条改憲に反対している共産党と社民党はどうなのか?  9条改憲に反対すれば現状では日本の防衛は」よりアメリカに依存することになる。憲法9条は元々日本を自立できなくするための条項なのである。したがってアメリカは改憲の必要はなく、集団的自衛権さえ合憲と解釈を変えれば良いといっているのである。

 つまり日本の政党は与党も野党も自立戦略を持っていないことを特質としているのである。

 対米自立戦略がなければ、アメリカの戦争に参加するための9条改憲となり、またアメリカのために従属状態を続けるための9条改憲反対となる。

 対米従属を続けるのか、自立を目指すのかが対立点であるのに、アメリカが怖いので9条改憲にだけ反対するというのでは国民の圧倒的支持を得られないであろう。

 重要で危険なことは、戦前の翼賛体制の例を見てもわかるとおり、この国の議会が真の批判者を失ったとき、暴走を始める特質を持っていることである。

 野党という立場にある限り、与党案に対する批判の立場を絶対に捨ててはいけないと思うのである。野党としての批判者としての立場を捨て去るのなら、民主党は解散して自民党に入党すればいいではないか?!  今の日本に必要なのは翼賛政治の危険を阻止する批判勢力としての野党の存在ではないか? 少なくとも絶対安定多数の自公政権に協力する野党など必要とはしていないのである。

 対米追随の戦争路線に真っ向から反対する、対米自立の平和路線に立った政党が求められている。自公民の翼賛体制の暴走を止める、自立と平和をめざす運動を必要としている。

 アメリカの従属状態にある日本が平和主義を堅持するには対米追随を対米自立へと変える以外に道はないのである。

 アメリカが軍事力による中東支配(エネルギー支配)で世界覇権をめざす以上、対米追随の政治が“亡国の道”であることははっきりしている。歴史上侵略者が滅びなかった例は一つたりともないのである。

 アメリカはイラクの泥沼にはまり、ハリケーンの被害で内外とも困難に直面している。しかも世界は資本主義の不均等発展によって急速に多極化へと進んでいる。多極化とはアメリカの力の相対的縮小を意味している。ブッシュの日米同盟の重視は、かれらの困難の反映にすぎない。日本の対米自立の好機が来ていることを見て取らねばならない。

日本の今後の戦略的方向を切り開く民主的民族運動の発展が必要である。少なくとも野党であるなら、日本国民の金融資産をアメリカの略奪から守ろうと、なぜ主張できないのか? アメリカの顔色ばかりうかがう売国政党はもはやこれ以上必要ではない。

 “自民党もどき”となった民主党に日本人民はなにも期待できないのである。

 議会において批判者を失った翼賛政治の危険を重ねて指摘しなければならない。翼賛政治が数々のタブーを生み、やがては非国民運動で暴走し始めた戦前の経験を、日本人民は決して忘れてはならないのである。