No.52(2005年9月号から)

“亡国の悲劇”招く大ブルジョア独裁の誕生!

“翼賛選挙”がもたらした自民大勝!


 郵政民営化を争点として闘われた第44回総選挙は、テレビ、新聞を総動員した“小泉「改革」支持”の大翼賛運動によって、自民党の地滑り的大勝利となった。自民党は単独過半数(241以上)を上回る296議席を獲得し、自民・公明の与党で合わせて定数の3分の2を超える327議席を占めた。

 この自民圧勝を受けて、郵政民営化法案の成立は確実となり、与党内では小泉首相の任期延長論が広がっている。解散の狙いはまさに小泉独裁体制の確立にあったといえる。

 今回の総選挙ほど、ブルジョアマスコミの世論誘導の役割が露骨に表面化したことはかつてなかったことである。テレビのニュース番組から、政治討論番組、はてはワイドショーまで露骨に“改革抵抗勢力と闘う小泉”を大宣伝し、あたかも小泉が“正義の味方”であるかのようにテレビや新聞が競うように演出した。それによれば小泉は“改革の旗手”であり“閉塞した社会を切り開く英雄”として  革命家であった織田信長に例えて小泉の非情が語られた。あたかも旧守派の“悪玉”に美人の刺客を送り込む“小泉劇場”が大宣伝された。

 「改革」を必要とする日本の財政危機を招いたのが、ほかならぬ自民党であることは誰も触れようとしなかった。「自民党をぶっつぶす」と叫んで自民党を大勝させる手口は“詭弁の小泉”らしい政治手法であった。

 不思議なことに野党第一党の民主党はまるで勝つことを回避するかのように小泉の「郵政民営化」の引き立て役を演じた。覇気のない党首と中途半端な政策、「日本をあきらめない」というキャッチコピーは敗北を前提にして選んだのではないか? と疑うほどお粗末なものであった。

 財界は80%が小泉改革を支持し、かつてない企業ぐるみ選挙を展開した。官僚も民主党の公務員削減に反発して自民党支持に回った。

 アメリカではマスコミが小泉の郵政民営化でアメリカ政府や米金融資本が一番儲けることができると興奮気味に小泉自民党を支持し、その勝利を願った。

 米日の金融独占が結託してマスコミを総動員して日本の国民をだまし、自民党の大勝利を仕組んだのである。アメリカはイラク戦争の泥沼化で膨れ上がる財政赤字を日本に米国債を買わせることで解決するとともに日本からアメリカに流出した資金で日本企業と資産を買い取るというのがハゲタカ(米金融資本)の狙いである。

 日本の大企業と大金持ちは、郵政民営化で民間に資金が流れ込み、株が上昇して金儲けができると思い込んで自民大勝の“翼賛選挙”の片棒をかついだ。彼らは欲に目が眩んでアメリカの資金略奪に加担し、アメリカの日本買いの資金を提供する仕組み作りに加担した。

 こうして“オールキャッチ政党”としての自民党の大ブルジョア政党への脱皮を小泉は果たした。しかも議会の圧倒的多数を支配する“翼賛体制”が実現した。保守反動の売国連中は「今ならどんな法律も通る」と有頂天になっている。

 総選挙期間中テレビも新聞も小泉の“失敗した外交”には一切触れることなく「改革を止めるな」と叫び続けた、あたかも郵政民営化すればすべての「改革」が前進するかのように日本の国民をだましにかけたのである。かれらの言う「改革」とは人民にとっては改悪である。それは具体的には大増税であり、大リストラであり、弱者と地方の切り捨てであり、高負担だということを極力隠し続けたのである。こんな詐欺師的手法が通用するのが属国の政治の現状なのである。

“翼賛選挙”助けたおろかな野党

 おかしなことは、野党が小泉の「郵政民営化」を自民党をぶっつぶして進めるという、詭弁の政治手法を一切批判しなかったことである。マニフェスト選挙に幻惑されて年金(民主党)、9条改憲反対(社民・共産)という咬みあわない政策を掲げ、まるで野党まで翼賛選挙の“切られ役”を演じたかのようである。

 金融自由化した状況の下で、郵政を民営化すれば、巨大な郵貯・簡保の資金は金利の高いアメリカに流れることになる。そうなると日本の国債市場は大破綻に直面するのである。すでに日本の国債を大量に買っている銀行や生保などが国債の値下がりで巨大な不良債権を抱え込むことになる。日本国債の利子を上げなければ国債を消化することもできなくなる。

 アメリカは日本経済を自分の支配下に置くつもりなのだ。かつてのイギリスのように日本のすべての銀行がアメリカに買い取られる日が近づいている。なぜ野党はこの事をはっきりと主張しないのか? 今日本が必要としているのは民営化ではなく対米自立だと、なぜ主張しないのか? アメリカの手先によるアメリカのための政治はたくさんだとなぜ言えないのか? タブーに屈する属国野党は、小泉ポチの“引き立て役”でしかないのか?  アメリカによる属国日本の金融支配を実現する政策としての「郵政民営化」を実現する小泉独裁体制ができてしまったことは日本の民族的敗北と言うしかない!  小泉首相は郵政民営化がもたらす日本の国債市場への打撃をどう回避するのか説明する義務がある。アメリカの金融支配をどう阻止するのか説明すべきである。この説明をできない点に小泉の売国奴の正体が示されている。

 「民営化」とは利権を既得利益集団から別の集団が奪い取ることである。ところがその民営化を小泉に要求したアメリカの狙いは、もっと悪どいものである。日本から流出した金で日本経済を支配すること、これこそ世界の基軸通貨としてのドルを握るものだけが実現することができる帝国主義的金融支配である。

 日本は対米自立によってアメリカの属国から抜け出さない限り、アメリカに金融資産も不動産もすべて奪い取られることになる。

 グローバル化が導くのはアメリカの1人勝ちの経済だと言うことを日本は近々体験することになることは避けられない局面を迎えているのである。小泉改革が日本民族の厄災を招く可能性は高いのである。

 アメリカで巨大ハリケーンの深刻な被害によって「小さな政府」の弊害が明白となった時、日本が「小さな政府」へと小泉独裁体制を生みだしたことは皮肉としか言いようがない。

 物事を深く考えない人は詐欺師に身ぐるみはがされないとその本質を見抜けないのである。日本人民はもっと政治的に成長しなければならない。

 我々は対米追随の小泉政治では、やがてアメリカの戦争に追随して“亡国の悲劇”を招くことになるのだということを日本人民に広く訴えなければならない。

 日本のマスコミは対米従属派に握られており、日本人民はワイドショーにあやつられて売国奴を独裁的首相の地位に付けたツケは大きいことを知るべきだ。

 対米自立の日本を実現する民族運動を発展させることが急務となっている。