No.50(2005年7月号から)

−郵政茶番のシナリオ=郵政民営化法案−

再修正で参院通過へ

投稿 文筆家 佐藤 鴻全  


21cジャーナル編集部に佐藤 鴻全氏より投稿がありましたのでご紹介します。
佐藤氏のホームページ

 郵政民営化法案は、7月5日に僅差で衆院本会議を通過して参院に送られた。参院は自民党から18人が反対に回れば否決となり、衆院以上に熾烈な戦いが行われる。

 政治闘争は言わば、政治生命を掛けた戦(いくさ)である。

 小泉首相は、懲罰や衆院解散や公認取り消し等のムチや、ポスト約束の釣り等のアメをちらつかせて反対派の切り崩しを図っている。恐らく、スキャンダルネタを掴み脅しを掛ける等の「裏技」も使うのだろう。

 今後の展開を予想してみたい。

 公明党とその巨大支援団体は、都議選直後で身動きが取れず、小泉首相の衆院解散を許可する事はない。

 万が一、それを振切って解散した場合も、参院の法案否決で衆院を解散する事は誰が考えても倒錯した世界であり、首相の狂気を演出する分には良いかもしれないが自民党は選挙を戦えない。

 従って、実際には首相に解散の選択肢はない。

 反対派切り崩しが上手く行かない場合、残された可能性として継続審議があるが、事実上の政治的敗北となり今後求心力を失うため首相は選択しないだろう。すると、残るのは会期末直前の法案再修正での参院可決となる。

 現在、執行部は再修正はしない方針だが、首相のこれまでの行動パターンから言って、これで落ち着くと観られる。

 旧くは、消費税導入が焦点となった衆院選で、消費税は良い税で反対する国民が間違っていると言わんばかりの態度だった当時の小泉議員は、投票日の前々日辺りからガラリと態度を変えお願い口調で政見放送をおこなった。因みにこの時最後まで態度を変えなかった山中貞則は落選した。

 また、8月15日を直前の13日に代えて行った就任後最初の靖国神社参拝等、直前回避は首相の行動の特徴の一つである。

 恐らくは、道路公団民営化のように反対派の顔を立てると共に、一方で法案成立の成果を強調できるような微妙な再修正を行い、首相は内側と外側の2つの顔を使い分ける事になるだろう。

 これら自体は妥協の芸術と言われる政治のテクニックの一つであり、筆者は非を唱える者ではない。

 しかし、将来的な国のかたち、社会の姿が論じられず、国民のナショナルミニマムのレベルについてコンセンサスが出来ておらず、かつ国民の資産340兆円が何の投資ノウハウもない元役人や国益に無関心な素性の怪しいコンサルタントの手に任せられ、気が付けば外国籍になり兼ねない今回の性急な民営化法案には、筆者は反対の立場を取る者である。 国民、言論人、マスコミの冷静公平なジャッジの下に、議員諸氏が法案賛否に関わらず、国民の長期的利益を念頭に信念に基づく責任ある行動を取る事を期したい。