No.50(2005年7月号から)

単独行動主義によって存在意義失ったサミット

対米自立で平和・中立の日本を


 旧ソ連が崩壊して以後主要国首脳会議(サミット)の戦略的意義は大部分なくなった。共通の敵がなくなって残る唯一の超大国アメリカが傲慢になり、単独行動主義と称してイラクやアフガンや中央アジアに派兵した。とりわけイラクの占領は、アメリカの覇権のためのエネルギー戦略であり、ユーロを作ったEUを睨んでいる。

 旧ソ連の崩壊でEUも自信を深めた。EUの東方への拡大による統合は、アメリカを超えるほどの巨大な統一市場の誕生であった。

 拡大したEUは、アメリカとイギリスのイラク戦争に反対した。

 イラク戦争がユーロに対するドルの国際通貨としての地位を守るための覇権主義の侵略戦争であったのだから当然であった。

 旧ソ連という共通の敵がなくなりNATOの歴史的役割もまた終わった。アメリカはNATOに変わるものとして日米同盟を掲げてEUに対抗しようとしている。それは経済発展を続けるアジアをドル支配下におくことが、アメリカの覇権にとって重要性を持っているからである。

 アメリカがエリツィン時代にロシアに急進的資本主義化を選択させてロシア経済を意図的に破綻させたのは、それによってロシアの戦略核兵器の保持の経済的基礎を破壊し、解体させるためであった。

 アメリカの覇権主義戦略が、逆にロシアに中央集権的なプーチン政権を生む結果を導いたのである。“強いロシア”の政策のゆくえから世界は目を離せなくなった。

 アメリカの進めた経済のグローバル化が世界の諸矛盾を強めさせているのである。ネオコンのブッシュ政権は「21世紀をアメリカの世紀」とするために一極支配を目指しているが、他方ではグローバル化の結果として世界の多極化が確実に進んでいる。

 「国連改革」とはそうした多極化を国際社会としての国連に反映させるものであり、米・中などが既得権が弱まると考えて反対している。

 イギリスでのグレンイーグルズ・サミットは、人類共通の課題をテーマに掲げることでその形骸化を克服しようとした。そのための議題は@高騰する石油A地球温暖化問題Bアフリカ支援であった。@についてはイラクの泥沼化や中国の急成長による需給バランスの崩れのため解決策はない。Aについては最大のCO2排出国のアメリカがそっぽを向いていては話にならない。Bについてはアメリカの食糧支援は実際にはアフリカの農業を破壊するものとなっている。重要なのはアフリカから農産物の輸入を拡大することであり、資源略奪を先進国がやめることである。大切なのはアフリカの経済的自立による農業と工業の発展を計画的に支援することである。

 つまりグレンイーグルズ・サミットは中身のない“たそがれ”のサミットとなったのである。

 ロンドンで起きた同時自爆テロが反テロのサミットを印象付けたとはいえ、テロの原因となっているイラクとアフガンへの侵略から見れば、テロはアメリカとイギリスが招いているのであり、自業自得といえるものである。

 ブッシュはイラク泥沼化で支持率が急落し、アメリカに追随したブレアも小泉も政権のレイムダック化が進み、シラクはEUの憲法批准に失敗し、シュレーダーは地方選に負け続けて次の総選挙の敗北が確実視されている。

 力を失いつつある指導者が集まっても何も解決できないし、アメリカが単独行動主義で傲慢に振舞う時代に、サミットは何の意味も持ち得ないのである。

 今意義を持ちうるのは、反米・反覇権主義・反単独主義の国際統一戦線である。

 ブッシュのように地球温暖化問題の深刻さが理解できない指導者が世界を一国で支配しようとしているところに現代世界の悲劇がある。自国の国益しか目に入らない指導者に地球環境問題を説いても無駄というものである。彼らには地球環境問題が人類共通の深刻な課題となっていることが見えていないのである。石油の高騰が世界経済にどのような打撃となるのか省エネルギーに取り組むことが環境問題だけでなく経済面でも重要なことがわかっていないのである。

 サミットの形骸化はもはや隠しようもない。

 テロを防止するには、その原因となっているイラクやアフガンやパレスチナでの一方的殺戮をこそやめなければならないのである。ところがブッシュやブレアは「テロとの戦い」と言って逆に人々の憎悪を拡大再生産しているのである。

 アメリカとイギリスがイラクでの戦争を続けることで、軍需産業や石油産業が利益を享受するという、反動的な利益誘導構造(=産軍複合体)が問題なのである。

 パレスチナやイラクやチェチェンの民族自決権を奪い取っているものがテロを招いているのである。

 内政不干渉と民族自決権は守らなければならない国際社会の原則である。「反テロ」や「民主化」や「自由」の名でこれらを踏みにじるものこそ“ならず者国家”なのである。

 ブッシュの戦争路線にどこまでも追随する小泉は、日本を亡国へと導いているのである。アメリカは単独行動主義で全世界の敵となりつつある。