No.47(2005年4月号から)

アメリカの牛肉輸入再開圧力に屈するな!

食料安全委に責任転嫁する小泉首相


 アメリカでBSE(牛海綿状脳症)発生が確認されたのが一昨年12月であった。それ以降米国産牛肉の禁輸が続いていいる。

 日本は全頭検査を実施しているが、アメリカはわずか0.7%しか検査しておらず、しかもBSE感染の可能性の高い死亡牛の検査を義務付けていない。こんなずさんな検査で「米国の牛肉は安全だ」というブッシュ大統領やライス国務長官の主張を認めることはできない。

 事は、ブッシュが大統領選挙で「市場を開くよう、日本を説得する」ことを公約したことから始まる。

 昨年10月には、日米局長級協議でBSEの発生例のない生後20ヶ月以下の牛に限定した輸入再開を日本政府が約束したことが、アメリカの強硬姿勢となっている。

 小泉首相は「日米関係を損なわないように取り組む」と言いながら、実際に輸入を再開し、万一BSEが表面化した場合政府の責任を問われることを回避するために、「食品安全委員会」に“丸投げ”した。

 食品安全委員会の専門家の人達は、BSE発生の責任を押し付けられることを許さないとして、まじめに審議しようとしているが、どう考えても「安全・安心」とは言えない。その結果は審議が長引くことになる。

 ブッシュ大統領は、昨年10月に生後20ヶ月以下の牛の輸入再開を日米で合意したことで、再開がすぐにも実施されると考えてアメリカの畜産業界に大々的にアピールし、それがあって再選を果たした。

 ところが小泉は、責任逃れから問題を専門家(食品安全委)に“丸投げ”した後であり「日米関係を損なわないように取り組む」と約束しても、ことは簡単ではない。

 3月15日付けニューヨークタイムズ社説は、牛肉貿易を再開する「唯一の責任ある道」は牛の全頭検査だとして「必要なら全頭検査を行うべき」であり「BSEの蔓延につながるような餌の与え方をきっぱりやめるべきだ」と主張している。

 アメリカ政府は「科学に基づいたグローバルスタンダード(世界基準=アメリカ基準)があり例外を認めるべきではない」(ライス)と主張している。

 0.7%しか検査していない方が全頭検査より科学的で安全だと言っているのだ! 重要なことは、この牛肉輸入問題がこれまでの日米摩擦とは根本的に違うことである。繊維や鉄鋼や自動車のように業界だけの問題ではなく、ことは全国民の“食の安全”に関わっているのである。

 誰が考えても全頭検査の法が0.7%の検査より安全だということははっきりしている。

 日本はアメリカに譲歩する必要はない。牛肉はどこから買おうと自由であり、それがグローバル化である。もしアメリカの「制裁」の圧力に屈し、米産牛肉を輸入再開しても、日本の消費者がソッポを向けば、日米関係は一層こじれることになる。

 しかもアメリカは、7月になっても日本の輸入再開がない場合には、輸入対象を生後30ヶ月以下の牛に拡大して再交渉する意向を日本側に表明している。

 アメリカのずさんな安全基準を北米自由貿易圏(アメリカ・カナダ・メキシコ)の「国際基準」として日本に受け入れさせる意向なのである。つまりアメリカ政府は牛肉輸入の全面再開の突破口として、生後20ヶ月の牛肉輸入再開を主張しているのである。

 支配従属関係があるゆえに「制裁」をちらつかせれば日本政府はすぐに屈服する、とアメリカは考えている。

 “食の安全・安心”を守るには、日本の対米自立が必要である。

 アメリカは相も変わらず傲慢で、小泉は相変わらず無責任だ!  アメリカは全頭検査がいやなら日本への輸出分だけ検査すればよいのだ。0.7%で安全ならアメリカ国内向けだけ0.7%の検査でいいではないか。ダブルスタンダード(二重基準)はアメリカの得意とするところではないか!  なぜ日本がアメリカの圧力で全頭検査をやめなければいけないのか、小泉首相は科学的な説明を日本国民にすべきである。同時に肉質を見ただけで20ヶ月以下の牛肉と判断できる科学的な根拠を説明もしてほしい。

 アメリカは20ヶ月以下とは言いながらBSE牛肉の可能性のある肉を検査せず日本に輸出しようとしているのである。

 日本政府は無責任にもアメリカの圧力を受けて「食品安全委員会」に審議を急がせて輸入再開を迫っている。

 米産牛肉を今のまま輸入再開することは、日本政府がその責任を負うことになる。日本には“食い物の恨みは恐ろしい”という言葉がある。

 日本人の食の安全にこだわる食文化とその安全を無視し、日本の消費者を馬鹿にした全頭検査の放棄と輸入再開を阻止しなければならない。アメリカの言いなり政治はもうたくさんだ!  もし日本政府が牛肉輸入再開を強行するなら、全国的不買運動で反撃しなければならない。