No.45(2005年2月号から)

ロシアとの平和友好条約締結へ踏み出すべき時だ!

[提言] 日・ロの戦略関係構築は日本の自立に不可欠である


 新聞報道によれば1月14日の日ロ外相会談で、ロシア側は56年の日ソ共同宣言に基づき歯舞・色丹の2島返還で平和条約締結の考えを示し、日本側は4島の帰属を確認した後に平和友好条約を締結すべきだとの考えを譲らなかった。

 戦争で失った領土の返還を平和的に実現するという、およそ実現不可能なハードルを設けて戦略もなしに日本とロシアの平和友好条約締結をさまたげる行為は、日本をいつまでも対米従属下に置く狙いを秘めているのである。

 ロシアは、東欧諸国や中央アジアの旧ソ連時代の衛星国を欧州やアメリカに奪い取られつつあり、チェチェン問題も抱えもはや超大国の面影はない。

 アメリカはエリツィン時代に、ロシアに急激な資本主義化を指導し、意識的にロシア経済を破綻させ、巨大な軍事力、とりわけ核兵器体系を維持する経済的基礎を奪い取った。したがって今日のロシアは資源の輸出にたよる普通の国となっており日本にとって軍事的脅威でない。

 アメリカはEUの政治統合をにらんで中東の石油を軍事支配するためイラクを占領した。EUは数年後に北海油田が枯渇するためロシアの天然ガスと油田に依存を強めざるを得ない。

 中国は市場経済化で戦略的脆弱性を強めている。エネルギー多消費型の市場経済化によってエネルギー輸入大国になりつつある。シベリアの油田への関心は切実なものとなっている。

 つまりは欧州も中国もロシアの資源を狙っているのである。

 イラク占領の泥沼化でアメリカの“双子の赤字”は危機的に拡大している。アメリカはこの重荷にたえられなくなり、いずれイラクから撤退に追い込まれるであろう。

 米軍撤退後の中東が大混乱に巻き込まれ日本への石油供給を危ういものとする可能性がある。原油の高値も続いている。日本は石油危機に備え、エネルギー供給源の多元化を進めておくべき時である。

 石油の確保は今も国家にとっての戦略的課題なのである。

 アメリカはイラク戦争で自らの力の限界を知ったので、第二期ブッシュ政権は、覇権戦略には変わりはないが、当面イラク以外の地域については外交的解決をめざすことになる。アメリカは、自己に対抗する軍事大国を創らないことをもっとも重視している。日本を従属下に置き、アメリカの戦略に奉仕させ、軍事大国にせず、ドル支配下で国家的搾取下に置くというのがブッシュの対日戦略なのである。

 時間稼ぎともいえる6カ国協議の推移を見ればアメリカは、日本を軍事大国にしないため従属下に置き続けことで、北朝鮮・中国と、密約をしていると見なければならない。つまり中国と北朝鮮のしつこい“反日”は政治的狙いがあると見なければならないのである。

 アメリカの忠実な下僕である小泉首相は、北方領土問題を解決しての日ロ平和友好条約の締結に冷淡である。

 イラクの泥沼化による重荷によって、アメリカにとっての日本の戦略的価値が高まっている今こそ日本はロシアとの関係強化を進めなければならない。周辺国との経済関係を強固にし、友好関係を強化することは日本の自立への必要条件なのである。

 プーチン大統領は、現在非常に強固な権力基盤を維持しており、北方領土問題に決着をつけるだけの力がある。日本とロシアの戦略関係を打ち立てる好機であることを知らなければならない。

 第二次世界大戦中の日ソ不可侵条約が破棄された例をあげて「ロシアは信用できない」と言う人がいる。当時の日ソ関係には経済的相互依存関係が無かったがゆえに双方にとって二正面回避のための一時的な不可侵条約となり、それゆえ情勢が変われば(=ドイツが敗北すれば)意味をなさない条約であった。

 現在は日本とロシアの関係を戦略的な関係とすることが経済面・エネルギー面、さらにはアジアの経済発展と、その主導権にとって重要な価値を持っているのである。

 戦略的検討もなしに政治的ハードルを作り、外交の幅を狭めることは日本の従属の固定を狙うアメリカの思うツボであり、「国益」を口にしながら実は国益を失う行為なのである。

 “日の丸油田”の獲得をめざしたがゆえに、アメリカに打倒された田中角栄の例があるので、アメリカをひたすら恐れ、対米自立を口にすることを回避している保守政治家が、「北方領土」や「靖国」を持ち出して、自己の売国的正体をごまかしていることを指摘しなければならない。

 真に愛国主義者なら日本とロシアの戦略的関係を築き、ロシアのシベリア開発への全面協力によって両国の経済を発展軌道にのせることこそ重視しなければならない。

 ロシアのプーチン大統領が提起している国内の反対を押しての勇気ある「2島返還」論を、日本政府は、戦略的視点から検討するべき時であると、あえて提言したい。

 なぜなら、日本の政治家たるべき者は、自立のための必要条件を整えるための外交をこそ優先して追求すべきことが民族的義務と考えるからである。

 日本民族は偉大な民族であり、いつまでもアメリカの属国であることを決してゆるさない、と私は考えている。

 日本の自立を口にせず、自立外交に反対する者こそ対米従属容認派であり、売国政治家なのである。

 日本の自立と平和をめざす市民連合  代表 角野 守