No.44(2005年1月号から)

冷戦の遺物としての金正日政権の正体

時間稼ぎと対立固定化のための6カ国協議


 北朝鮮という国は、米英ソ中を中心とした反ファッショ戦争(第二次世界大戦)の中で、主にソ連のテコ入れで生まれた国である。

 しかも米ソ二超大国の「冷戦」の中で38度線を挟んでアメリカ軍と対峙する中で、ソ連と中国の莫大な援助によって国力に反して100万の軍事力を持ち、そのことによって(=軍事偏重ゆえ)経済建設に失敗した。

 ソ連崩壊後もこの援助にたかる体質は改革できず、援助がなくなった後は、ニセドル札を印刷し、覚醒剤を売り、日本人を拉致するなど“犯罪国家”の様相を強めた。

 アメリカの封じ込め政策という冷戦体制の中で軍事独裁国家となった北朝鮮は、その国名(=朝鮮民主主義共和国)とは正反対の国家となった。

 報道によれば北朝鮮には45もの階級があり、国家の最高権力を父から子に世襲する、まるで封建王朝のようであり、基礎的な治山治水もできず、農業も工業も建設できないお粗末な国で、これではとても『社会主義』とは言えない。

 人民には民主主義は保障されず、食料も満足に生産できず、人々は飢え死にする自由しかなく、多くの国民が中国へ逃げ出している。

 北朝鮮は実際には軍事官僚組織を握る金正日の個人独裁の“王朝”なのである。

 この世界史的に見ても劣悪な政権は、半島における冷戦の遺物ともいうべき国であり、アメリカと日本という巨大な敵を意識的に強調することで政権を延命してきた。

 最近では核兵器開発をテコにアメリカに金正日体制の存続の保証を得ることを目指している。

 ロシアは北東アジアとEUとの間をシベリア鉄道で結ぶことで自己の戦略的地位を高め、多極世界の一角を占めるため、日本の資金でシベリア開発を目指し、金正日政権の崩壊で難民の流入を恐れ、半島の緊張緩和を目指している。

 一度は北朝鮮を“悪の枢軸”呼ばわりしたアメリカは、イラクの泥沼化で最近では北朝鮮の体制存続によって北東アジアの対立構造を当面残すことで、日本の従属固定化を進め、日本の力を自己の覇権確立に利用することを優先している。

 アメリカも中国も北朝鮮も、日本が対米自立するよりもアメリカの属国として軍事的弱国として継続することに戦略的利益を見出しており、こうして米中朝の時間稼ぎともいえる実りなき6カ国協議がおこなわれた(米大統領選をにらんで現在は中断中)。

 日本と韓国とロシアが求める北朝鮮との関係改善は、こうした状況下では無理というものである。

 6カ国協議に日本は多くを望めないし、金正日政権が続く限り拉致問題の完全な解決は難しい。

 アメリカは「北朝鮮の脅威」が存続して始めて日本のミサイル防衛システムへの取り込みによって属国固定化が可能となると見ており、彼らにとっては北朝鮮の核開発だけが覇権の確立の上で問題なのである。

 アメリカと北朝鮮との間では、いまもニューヨークで外交的接触がやられており、日本の属国固定化で双方の秘密合意の可能性も見ておくべきである。

 アメリカは、中央集権化を進めるプーチンのロシアを警戒しており、北東アジアとEUをシベリア鉄道で結ぶというプーチンの多極化戦略を認めるわけにはいかず、また日本のシベリア開発(=二島返還論)も日本の自立と多極世界につながると見ている。

 中国の多極化を展望する「アジア経済圏構想」もアメリカはドル支配からの離脱として警戒しており、したがって6カ国協議は再開したとしても北朝鮮の核放棄と安全保障のバーターを目指しながら、結局は時間稼ぎとしての意味しか持たないのである。

 北朝鮮が核を放棄すれば、それは金正日政権の終わりの始まりとなるのは確実なのである。

 金正日政権の危険性は、その建国の経過から、南朝鮮の「解放」と南北の統一は戦争という形態をとるしかないと今尚考えている点にある。しかし、その軍事戦略は“テロ”という形態しかなく、口先だけの勇ましさ、猛々しさをもてあそぶ、こけ脅しの政権が本質なのである。

 北朝鮮は潜水艦や戦闘機を保持していても、すでにポンコツで動かすこともできない。今や日本にとって北朝鮮の軍事的脅威というものはなく、ただ工作員のテロだけ警戒すればよいのである。

 日本人民は、北朝鮮のミサイルと核は、日本を今後もアメリカの属国としておくための関係国の陰謀としての側面をこそ見ておかなければならない。

 「北朝鮮の脅威があるから日米安保条約が必要で、日本はアメリカに守ってもらう」という日本売国反動派の他力本願の安全保障論(=対米従属容認論)に対し、対米自立による独立・自主・自力更生の安全保障論を対置しなければならない。