No.40(2004年9月号から)

米ハゲタカが狙う日本企業買収

詐欺的手法で日本企業の支配策す


 9月2日付の新聞に新生銀行がりそな銀行系の大手リース会社昭和リースに対し、年内に数百億円を出資し、傘下に収めるという記事が載った。9月9日の日経新聞には経済産業省が外資の敵対的買収の防衛策に取り組む、という記事が、さらに9月11日の朝日新聞にはUFJホールディングスは経営統合で基本合意している三菱東京ファイナンシャル・グループを引き受け先とする7000億円の増資を実施すると発表した記事が載っていた。

 外資の敵対的買収に対する防衛策だというのである。

 日米構造協議(1989年)以降金融自由化や規制緩和、市場開放政策によって、外国資本が日本市場に進出しやすい状況が作られてきた。

 特に昨年の小泉政権の20兆円を越える莫大なドル買い支えで流出した円が、ハゲタカと呼ばれる国際金融資本の日本株購入資金となって日本に逆流している。(他方日本が買ったドルは米国債購入という形でアメリカに還流している)  この結果外国人の持ち株比率が上昇している。例えばキヤノンでその比率が50%に達し、トヨタで40%弱になっており、外資がこれら企業の経営権を入手しようと思えば可能な状況が生まれているというのである。

 株式の価値には二つの側面があり、その1つは配当請求の側面、2つは経営権の参加という側面である。

 外資系ファンドは、秘密裏に株を買い進め50%以上の株を入手するや会社の支配権を握り、別の会社と合併させたり、資産を売却し、巨額の利益を手にしたうえ株を売り逃げする手口で短期に莫大な利益を手にするといわれ、アメリカではコーポレート・デストロイヤー(企業破壊屋)と呼ばれている。

 ハゲタカファンドが買収しようとするのは、金融資産や不動産を多く持っている企業であり、これら標的の企業の資産を担保に資金を集めて株を買い集め、経営権を取れば買収企業の資産を売り払い、その借金の返済に充てるという、いわば詐欺的な手法で企業を手に入れるのである。

 また米スーパー大手のウオールマート等の日本進出を狙う企業も企業買収という形で進出を狙っている。こうした敵対的買収から企業を防衛するには、 (1)増資によって総発行株式を増やして買収しにくくするか、 (2)自社株を買い取って経営権を取られないようにするか、 (3)配当を増やして株主を定着させる、 等の手法があるが、資本力が桁違いに大きい外資には十分な対策とはならない。企業の金融資産を削減することも対策になる。

 昭和リースを傘下におさめようとしている新生銀行とは、7兆円近い税金を投入した長銀をただ同様に手に入れ、「瑕疵担保条項」や「上場益非課税」のあの悪名高き銀行であり、それが外資の日本企業買収の拠点となっているのである。

 2006年にはグローバルスタンダード(国際会計基準)の減損会計が導入され、07年からは海外企業にも株式等価交換方式による合併・買収が許可されることになっている。アメリカ企業は自社の株券を印刷して、自社の株券と日本企業の株券を交換すれば「買収できる」つまり金を使わなくても優良企業を買収できるようになる。

 外資が日本の企業を買収するのは実にうまみのある商売だといわれている。それは第一に日本企業に金融資産が多いこと、第二に不動産が多いこと、第三に株価の発行総量が少なく安いこと、第四に技術力が高く、従業員が優秀なこと、第五に小泉・竹中らの売国的政治家が外資の進出に協力していることである。

 ジャーナリストの徳本栄一郎氏に寄れば、小泉政権誕生(2001年4月)とりわけ竹中経済金融財政相が金融相を兼務した2002年9月以降日本株への投資を目的に設立されたファンドが急増しているという。

 小泉のドル買い支えが円高を防止して外資の日本株への投資への支援となっている。小泉の自由化・市場開放によって日本企業が次々と買い取られている。今のところ、こうした小泉の政治を批判している政治家は自民党の亀井だけである。

 日本にはアメリカの戦略企業や資源を買うことは禁じられているため、輸出で稼いだドルは米国債ばかり約400兆円も買わされている。この金は事実上アメリカの借金の穴埋めのための上納金である上に、今度は日本企業が狙われ、さらには郵政の分割・民営化で350兆円の郵貯・簡保の資金が狙われているのである。

 新生銀行の背後にいる米リップルウッドの悪らつな手口を日本の当局は誰も気づかなかったといわれている。アメリカ金融資本のやり口は屍肉をあさるハゲタカと呼ぶにふさわしく、しかも彼らは米政府の政治力をも使って日本企業や銀行を追い詰め、不良債権の処理を迫り、借入金の多いダイエーなどの「ゾンビ企業」を狙っている。

 売国的な日本政府は、自分で金融の市場を開放しておきながら、今になって外資の敵対的買収の防衛策を考えるというのだから笑わせる。彼らの「防衛策」がポーズだけだというのは明日ではないか!  日本はEUのようにアジア地域の共通通貨を作り、ドル支配による収奪を防止するべきである。

 日本の金融資産は日本のために国内に投資すべきであり、アメリカに貢ぐべきではない。

 米ハゲタカの汚い収奪を許すべきではなく、小泉・竹中の売国政治家を一日も早く追放しなければならない。

 日本は対米自立しなければ金融資産と企業のすべてをアメリカの金融資本に奪い取られることになるのは明白である。