No.40(2004年9月号から)

米主導の9条改憲による戦争・属国化陰謀反対!

誰のための常任理事国入りなのか?


 アーミテージ米国務副長官は、今年7月21日、訪米中の中川秀直自民党国対委員長らと会談し「憲法9条が日米同盟関係の妨げの一つになっているという認識はある」と述べ、さらに日本の国連安保理常任理事国入りについて「我々は強く支持している」としながらも「常任理事国は国際的利益のために軍事力を展開しなければならない。それができなければ常任理事国入りは難しい」と述べ、集団的自衛権の行使を認めるよう促した。

 8月12日にはパウエル米国務長官が「日本が国際社会で十分な役割を演じ、安保理でフルに活躍する一員となり、それに伴う義務を担うというのであれば、憲法9条は検討されるべきだろう」と発言した。

 この二人の国務省高官の言う「国際的利益」「国際社会で十分な役割」とは、アメリカの利益のことであり、イラク戦争で力の限界をいやというほど身に染みたアメリカが、その戦争政策に日本を動員することを指している。

 この間の日本での憲法や自衛隊をめぐる動きを見ると、小泉首相の私的諮問機関「安全保障と防衛力に関する懇談会」が自衛隊の国際活動を「本来任務とすることは重要」とする議論のまとめを公表した(7月27日)防衛庁はその後の「本来任務」の方針を固めている。

 財界の政策提言団体である日本経済調査協議会は、改憲をめざした提言をまとめ「憲法改正により、軍事力使用の枠組みを憲法に明示すること」を求めている(7月29日)。

 防衛庁は8月7日、自衛隊の改革素案を発表し、空挺団、特殊作戦群など陸上自衛隊の機動部隊を束ねる「中央即応集団」を新設し、その下に海外派兵に対応する国際任務待機部隊を編成することを検討している。

 さらには、経団連が改憲に向けた検討委員会を開き、また「武器輸出3原則」と「宇宙の平和利用原則」の見直しを求める提言を発表した。

 また防衛庁は、新「防衛大綱」の検討作業を進めている中で「防衛力の設計段階から国際活動を考慮する」方針を示している。

 野党第1党の岡田克也民主党代表は7月29日訪米し、「憲法を改正して国連安保理の明確な決議がある場合、海外での武力行使を可能にし、世界の平和維持に積極的に貢献すべきだ」と語って、民主党と自分をアメリカに売り込んだ。

 こうした、米高官の発言と、その後の一連の動きが示しているのは、アメリカ主導の9条改憲であり、その下での自衛隊の海外派兵に向けた体制整備が急ピッチで進んでいることである。

 同時にそれは日本の経済界も多国籍企業化で、戦争路線への欲望と軍需産業への願望を強めていることの反映でもある。

 我々は、アメリカの戦争支援のための9条改憲に断固反対する。

 そのための自衛隊海外派兵は、日本の従属状態とアメリカの覇権を維持するためであり、平和路線の下での日本の対米自立にはつながらないからである。

 アメリカの戦略への自衛隊の“組み込み”は、日本の一層の従属固定化につながるのであり、したがってアメリカ主導の改憲は、アメリカの政治的陰謀といえるものである。

 アメリカ政府は、イラクにおける軍事力の限界(占領の失敗)を外交的・政治的に取り戻そうとしており、9条改憲と自衛隊の米戦略への取り込みで、日本の対米自立を阻止し、日本の属国化を進め、米戦略の建て直しを狙っているのである。

 小泉首相は、9月21日に予定されているニューヨークでの国連総会での演説で、安保理常任理事国入りをめざすことを表明をする方針を発表している。

 国連安保理は、アメリカにとってEUや発展途上国との対立ですでに存在意義を失っている。その現れが単独行動主義と先制攻撃戦略なのである。したがって日本の常任理事国入りは拒否権の壁で実現しそうにない。つまりアメリカの狙いは常任理事国入りにあるのではなく、それを口実にした9条改憲で自衛隊を米軍の指揮棒の下に活用することである。

 日本の政治がアメリカの意向で動かされていることの実例を我々は今目にしているのである。それは日米の従属同盟の結果であり、屈服と追従の政治の悲しさなのである。