No.38(2004年7月号から)

アメリカ型経営が生み出す野蛮な搾取図

秘められた狙いは日本の属国固定化


<リストラと対米従属が日本をダメにしている>

 日本の金持ちや生命保険会社や政府が計約400兆円近いアメリカ国債(米財務省証券)を買っている。昨年末での日本の外貨準備は6735億ドルに達している。

 金融ビッグバンで日本の金融資産が一気にアメリカに流出し、日本国内の中小企業に資金が回らなくなり(貸し渋り)その結果昨年だけで12,000以上の会社が倒産した。

 アメリカの国民だけが生産した以上の消費を続けられるのは、日本が紙切れに等しい米国債を買って彼らの借金の穴埋めをしているからである。

 米国債は金利が高いといってもその分以上にドルのタレ流しで、ドル安が進んでいくのだから、アメリカは元本を返す必要がない。しかも少しでも売ればドルが暴落するので売れない、つまり事実上の上納金、もしくは略奪なのである。このアメリカによる搾取によって日本の野蛮な資本主義化が急速に進行しているのである。

 アメリカの経営に学んでリストラ経営がおこなわれて、大量失業が定着している。

 2004年の15才から24才の日本の若者の失業率は11、1%である。なぜリストラがいつまでも無くならないのか、その理由は政府がリストラで人員削減した企業に巨額の減税をおこなっているからである。

 例えば、正社員を削減した派遣や請負によって消費税が減税となる。最近では1999年に産業再生法が施工され、企業が人員削減すればするほど減税される仕組みが出来、そのため大企業はなりふり構わず人員削減に狂奔しているのである。

 報道(赤旗7月4日号)によれば、大企業が94、139人の人員削減によって870億円も減税を受けていたそうである。小泉は国民に我慢を要求しながら、大企業には莫大な利益をお手盛りしているのである。

 個別に見ると、みずほ銀行は7、600人の人員削減に対して274億円の減税を受け、りそな銀行は8、591人の削減で159億円の減税を受け取っている。純利益1兆円を超えたトヨタでさえ3、259人の削減で3億5、500万円の減税を受けている。欠陥自動車で死者を出している三菱自動車は4、096人の削減で6億900万円の減税である。このリストラと能力主義が一体となったのがアメリカ型経営の特徴なのである。

 財政赤字で国民の負担は急増しているのに、国家が大企業にリストラ推進の報奨金を出しているようなものである。それもアメリカに貢献するために・・・。

 今日本には失業者が300万人以上に増加し、同数以上といわれている職探しを諦めた潜在失業者がいるといわれている。それなのに政府と財界は、フィリピンやタイなどから安上がりの労働力を解禁しようとしている。より一層日本の労働者の賃金の切り下げのテコとするためである。これも移民流入で安価な労働力を確保しているアメリカの手法である。

 アメリカは自分たちは保護貿易をやりながら他国には市場開放を要求して、金融的支配を拡大している。このアメリカの言いなりになった小泉の「規制緩和」のおかげで日本のアメリカ型の野蛮な資本主義化が急速に進行している。そして、そのしわ寄せを最も多く受けているのが労働者階級なのである。

<野蛮な資本主義の犠牲となった若者>

 学校を出ても正社員の職がないので、しかたなくアルバイトで食いつないでいる若者が多い。

 今や日本では有力な“ツテ”(てづる)を持たない人は正社員になれない状況が生まれている。

 親のスネをかじって気楽に“フリーター“をやっているのは極一部(フリーターの7割以上が正社員を希望している)なのに、あたかも若者が怠けているように主張するのは間違っている。

 企業が減税と年金負担を回避するために、正社員を短時間労働者に切り替えているとき、若者に正社員の働き口などあり得ないのである。産業の空洞化も若者の就職口を狭めている。

 しかも求人時の労働条件はウソばかりで、サービス残業や夜勤の連続で、企業は初めから青年を短期回転の安上がりの使い捨て労働力と位置づけている。昔のように企業が若者を教育しつつ育てるということがなくなってきたのである。

 高齢労働者へのリストラで技術と技能の継承は絶たれ、能力主義の導入で社内はギスギスした職場となり、能力がないが要領のいい狡猾な人間だけが増加している。

 能力主義を導入しても、能力を査定する人物の能力には考慮を払わなかったため、労働者の働く意欲は急速に冷えつつある。

 かって高度経済成長を支えた日本的雇用関係を捨て去ったことで、日本企業は取り返しのつかない過ちをおかしているのである。

 アメリカ経済の“一人勝ち”は、アメリカ型経営に原因があるわけではない。それは、覇権国としての軍事力と、ドルという世界通貨を裏づけにしており、目先の利益を追い求めるアメリカ型経営の成果ではない。ところが日本の大企業経営者はアメリカ型企業統治を最良と誤認して自分たちの経済構造と経営上の長所を捨てつつあるのだから話にならないのである。

 アメリカの秘められた狙いは、「改革」で日本経済のアメリカ依存を深めさせ、財政赤字の穴埋めをやらせ、日本の成長を抑制し、永遠に日本を自己の属国とすることにあることを見て取らねばならない。

 日本は対米自立したのち、独自の民主的民族経済の再建を目指さなければならない。