No.38(2004年7月号から)

小泉「改革」で自壊し始めた自民党

深まるオールキャッチ政党のジレンマ


 参院選の結果だけ見るなら、民主党は笑えないほどの勝利であり、自民党は泣くほどでもない敗北だった。しかし選挙結果が示しているのは議席以上に深刻な自民党の“自壊”である。

 自民党は本来大企業経営者から中小企業、商店主から農民・漁民まで幅広い層を支持基盤としていた。これをオールキャッチ政党という。ところが小泉「改革」は規制緩和・自由化・民営化で弱肉強食の経済へと誘導し、大企業と大金持ちの利益だけを代表する政治を本質としている。つまり「改革」を進めれば進めるほど自民党が“自壊”し、利益誘導型選挙は成り立たなくなるのである。

 小泉が自民党内の既得利益集団とたえず妥協を繰り返してきたのは、こうしたジレンマを背景としていたのである。

 新聞やテレビは自民党の敗北を「人生いろいろ」発言や曽我ひとみさん家族の再会お膳立てによる見え透いた人気取りや詭弁の答弁に示される小泉の独善と思い上がり、年金問題や自衛隊の多国籍軍参加の説明不足をあげている。

 しかし年金問題では自民と民主の間は「三党合意」に示されているように違いはない。

 多国籍軍参加問題でも、9条改憲反対を掲げた共産・社民が敗北しているのだから、これも自民敗北の原因ではない。

 自民敗北の第一の原因は、オールキャッチ政党としての自民党の特徴点が崩れ始めたことなのである。

 このことが鮮明になっていないのは、公明党=創価学会の支援が自民党敗因の表面化を見えにくくしているからである。

 民主党は勝利したとはいえ、自民党と同じ保守であり、人民大衆の積極的支持があったわけではない。自民党への批判票が共産から民主に流れたに過ぎず、広範な無党派層は今回はあまり動かず、したがって投票率は前回同様低かった。

 自民党は公明・創価学会の支援で政権は維持したが「比例代表」の得票は民主を下回った。反創価学会系の宗教団体や郵政関係者が自民から離れ、自民党の集票のための“足腰”は弱体化している。

 つまり組織力を強化するという努力を放棄する安易な公明依存が自民党敗北の第二の原因となっている。

 共産党と社民党の敗北の原因はどこにあるのか、それは、小泉「改革」と多国籍軍参加問題がアメリカ追随の結果であり、政治の焦点が対米自立か対米従属かが対立しているときに、彼らの「護憲」はピンぼけもいいところである。

 現憲法下で自衛隊のイラク派兵が実現しているのだから、彼らの「護憲」は平和を意味していないのである。

 対立しているのは対米自立による平和か、対米従属による戦争かである。

 「護憲」は日本の非武装と米軍の日本駐留を前提としている。アメリカの日本支配を許す「護憲」では勝利は望めないのである。

 憲法9条は日本の従属条項であり、共産党は「憲法9条は日本の宝」という誤った主張を放棄すべきで、憲法は自立政権の手で作りなおすべきである。それまでは9条改憲に手を付けるべきではないというのが正しい主張である。

 社民党は弁護士の党首の影響で再び「自衛隊違憲」の法的観念論に立ち帰ろうとしている。

 日本の野党はいずれも、アメリカが恐いので「対米自立」を主張せず、したがって「対米追随」の小泉に有効に対立面を形成できていないのである。

 小泉「改革」で自民の没落は避けられない。民主党は自民に変わって政権を手中にするかもしれないが、その役割は消費税大増税であり、自民と民主は保守二党制で、日本経団連などの大企業と大金持ちの政策課題を、対立を演出しながら果たすことになる。

 衆院の小選挙区制と参院の全国区の廃止によって、もはや小政党が生き残る可能性は狭まっている。

 共産党と社民党が生き残るには民族的課題である対米自立による平和路線を小泉親米売国派と対立面を形成するしかない。

 韓国のリベラル派大統領が「対米自立」で国民的支持を獲得していることに、なぜ共産党と社民党は学ぶことができないのか、それは日和見主義と法的観念論という体質に原因がある。戦前の反動的民族主義ではなく平和的民族主義を対米追随派に対置すべきなのである。

 民族的課題となっている「対米自立」を掲げることができない政党は国民的支持を獲得することはできない事を知るべきである。

 アメリカの要求した「「構造改革」が実は日本の米金融資本による支配が狙いであることは、旧長銀の略奪や郵政民営化による金融資産略奪の狙いから明白であり、自衛隊の「多国籍軍」参加も、小泉「改革」もその根底には対米従属が根本問題となっているのである、「対米自立」という当然過ぎる民族的政治課題を掲げる政党がないという現実が、日本の人民大衆が選挙に何も期待できない無力さを生み出している。

 「対米自立」の運動の発展が急務となっている。